見出し画像

麻薬スパイスが昔の記憶を消し去る

インバウンドが増えだしてから「春節」というと、

「あ~中国人旅行客がわんさかくるか~」

とげんなりする人もいるかもしれないが、大阪では大阪春節祭と銘打って、関西エリアの人気アジアングルメの店の屋台がずら~りと並ぶ「てんしば」のイベントがあって毎年楽しみにしている。


ステージイベントは本格派の獅子舞から、日本在住の中国人おばちゃんたちによる中国民謡?いや、カラオケ大会?といったうちわ盛り上がりのものまで、ステージイベントはかなり適当。まあ、それもご愛敬。

お目当てはグルメ!中国のほか、ベトナム、ミャンマー、タイなどアジアングルメが目白押し。予想通りの人混みなのだがどうしても食べたいものがあってついつい足を運んでしまう。

目印は火事か?!と間違うほどの煙がたちこめるエリア。


顔を隠さなくても隠れてしまうほどの煙。遠くからでもわかるくらい煙っている。

何を焼いているかというと中国東北地方名物の羊肉だ。

初めて北海道の地に足を踏み入れ、昭和新山でバーベキューだと大喜びしていた中学3年生のときの修学旅行。

そのときに食べたジンギスカン、いわゆる羊肉が臭い・固いで、質より量の中学生時代でもつい口から出してしまった。周りをみても食べ盛りの男子たちはタレをたっぷりつけて羊の味をごまかし、ご飯と一緒に詰め込んでいたが、女子はのきなみ出していた。

というファーストバイトの記憶が最悪で
「羊肉は一生食べない」
と誓ったのだ。

さらに追い打ちをかけたのがニュージーランド時代。豚や鶏肉よりも羊肉が安いからか、BBQに呼ばれると必ず羊肉がお出ましに。

なんの拷問だ!と思いつつも、もしかしたら北海道よりはおいしかもしれないとチャレンジ精神旺盛な20代。一口食べてやっぱり吐き出した。
固い、噛めば噛むほど臭い。

誰が羊肉を食べよう!なんていったんだ!

と羊肉嫌いに拍車をかけた。

そんな大嫌いな羊肉に再会したのが中国東北地方。シルクロードの取材でウルムチやら敦煌やらを回っていた時、市場で出会ってしまったのだ。

ただ、今までとは違い、見た目は、焼き鳥。
ということで、やったー!焼き鳥に遭遇!とビール片手に5本セットを購入。

まじまじとみてみると、レバーなみに固そうに見える。
そして、真っ赤なスパイスがこれでもかというほどまぶされていた。

これは本当に鶏肉だろうか?なんかの肝?しかも、この真っ赤な粉は何者だ?相当辛そうではないか?

などしげしげと眺めながら食べるのを躊躇していた。

が、かなりお腹もすいていたし、一緒に行動していた中国人のガイドさんがものすごくうまそうに食べている。

食べてまずかったら吐き出せばいい。辛かったらビールをがぶがぶ飲めばいい。

と言い聞かせ、勢いよくガブリ。

確かに、固いぞ・・・もぐもぐ・・・でも辛くないな・・・もぐもぐ・・・なんだろこの旨味は・・・もぐもぐ・・・柔らかくもなく、固くもなく・・・・ともぐもぐ・・・

要はうまいのだ。そう、うまいのだ。

なんなんだ!このうまさは!と一人大興奮してつぎつぎに食べていった。

中国人ガイドさんにこのスパイスはなんじゃらほいと聞くと山椒、クミン、唐辛子などお店独自の配合でブレンドされている麻辣粉というもので、この粉を振りかけるとなんでもうまい!となるんだと。

「へ~、それはお土産に買って帰らねばだな。鶏肉がこんなにおいしくなるなんて」

といったら

「え?羊だけど」

と指さした方向の屋台の暖簾をみると確かに「羊」と書いている。

なんと!あの固くて、臭くて、噛めば噛むほどはきそうになる羊だったとは!

臭みも固さもとるなんて、麻辣粉じゃなく、麻薬粉なんじゃないか。

この一件から羊肉を食べるなら、羊肉串となり、羊肉串にありつけるところがあるならどこへでも~と日本で食べ歩いている。

大阪春節祭でも3,4軒の羊肉串屋台があってどこのを食べようかものすごく迷ったほど、いい煙を出している。

人が集まるところにうまい店あり!なので、行列はいやだが、一番並んでいるお店でゲットした。


やはり麻辣粉がいい働きをしている。食欲増進効果もある。

今年の春節祭もうまい羊肉串にありつけた。まだまだ食べたい。

すでに来年が楽しみでならない。

ちなみに、現在は北海道のジンギスカンも食べられるようになった。いや、そんなもんじゃない、好きだ。特に漬けジンギスカン、最高!なぜ、昭和新山で漬けを食べさせてくれなかったのか。子どもの成長過程の妨げになるので、修学旅行のジンギスカンは漬けをおススメしたい。

この記事が参加している募集

ご当地グルメ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?