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ヌートリア・カンガルー・あらいぐまも!ジビエのおいしさに気づかせてくれた店

「今年、最初の鹿の赤ちゃんが誕生しました」

数日前、かわいい鹿の赤ちゃんの映像が流れ、おぼつかない足取りで一所懸命に立っている姿に

「頑張れ~」

なんてエールを送っていたが、

は!そういえばこないだ奈良で鹿食べたなと、赤ちゃんをみて思った。年をとると、いろんなことが大胆になってきて困る。赤ちゃんをみて食べたことを思い出すなんて・・・

舞台は近鉄奈良駅から近いセトレならまち

セトレシリーズはなかなか個性的な宿が多く、宿泊するたびに新たな発見がある。

私たちが一番大切にしていること。
それは「地域やみなさまとのつながり」です。

セトレ

というコンセプトにあるように地域に眠る数々の自然、文化を体験できるホテルなのだ。

セトレならまちには奈良にちなんで鹿・・・いや語弊がある。山間部が多い奈良には野生鳥獣が多く生息し、畑を荒らすなどの被害が出ている。

・駆除された肉はほぼ廃棄されてしまう
・畜産肉牛の需要が高まる中、ジビエを食用肉として活用する
・何より栄養価が高くヘルシーなジビエは健康にもいい

とのことから、セトレならまちにオープンしたのがその名も「じびえ井田」

井田シェフお手製の看板

1日3組6名限定の手間暇かけたじびえコース料理がいただける

目の前で丁寧に作られていく料理を見るのも楽しみのひとつ。さまざまなジビエを取り扱い、あくなき探求心で新しいジビエのおいしさを伝えようとしている井田シェフとの会話も楽しい。

店の奥には熟成機がスタンバイ。

リアルに血がしたたり落ちている。肉のうまみが存分に引き出されるタイミングを見極めるのもシェフの仕事。

さてさてどんなジビエ料理がいただけるか・・・とお品書きに目を通すと

羆(ヒグマ)、穴熊、孔雀、鹿、あらいぐま、カンガルー、うさぎ、ヌートリア、雉、猪・・・と相当たるラインナップ。

ヌートリアって食べられるのか?と思わず調べてしまった。

まずは羆のスープから。

至福の源 羆 すっぽん

ヒグマって・・・どんな味がするんだろうと恐る恐る飲んでみると、透き通っている。獣臭は一切しないし、一口サイズの肉も固くない。ほどよい弾力で噛むごとにうまみがしみだしてくる。

宴の始まり

手前右がカレー風味のあらいぐま。って書くとあのかわいいあらいぐまちゃんがカレーに?と思ってしまうが、鶏肉よりもちょっと弾力があるさっぱりしたお肉。

左手前が穴熊のベーコン。やや噛み応えがあり若干獣感がするものの、旨味があってワインによくあう。

その奥が鹿のロースト。弾力があり甘味うまみのバランスが最高!

そして、この皿一押しが右上の孔雀の梅肉和え。孔雀ってこんな味なのかと驚きいっぱい。ささみのような感じだが、こちらも弾力があって噛み応えがある。そしてかむごとに甘味たっぷり。次回、孔雀見ることがあったらおいしそうだなと思ってしまいそうなほどはまった。


器もご覧のとおりのこだわり。鹿が描かれている器の中身は鹿。でも奈良の鹿ではございません(笑)


演出まで考えた料理。愛媛のみかん畑を荒らしまくっていた鹿でおいしいみかんをたっぷり食べているのだそう。そのせいか、とっても食べやすい鹿肉になっている。なるほどそういわれると柑橘のような風味が感じられるようなないような・・・

目の前でいろんなお肉が焼かれていく。次は何がくるのか、どんな味なのかワクワクドキドキが止まらない。


見ただけではわからないこちらはカンガルーの味噌漬け。
その昔、オーストラリアでカンガルーの赤ワイン煮込みなるものをいただいたとき、めちゃくちゃ固くて噛み切れずに、こそっと吐き出してしまった記憶あり。高たんぱく低カロリーで健康にいいのはわかるのだが、あれだけ噛み切れないと健康よりもあごが外れる心配があった。

そんな記憶があるものだから恐る恐る口にいれてみた。

あれ?噛み切れる。というよりやわらかい。発酵食品の味噌にたっぷり漬け込んだからだろうか。初めてカンガルーがおいしいと感じた。カンガルーのおいしさに気づかせていただきありがとうございます。

奈良県の形をしたお皿の真ん中にあるのはジビエバーグ。
ここにあのヌートリアさまがいらっしゃるらしい。といっても、うさぎ、ヌートリア、あらいぐま、猪がミックスされちゃっているのでヌートリアなのかどうかわからない。食べた感じもいたってハンバーグ。とはいえ、いろんな処理をほどこしてやっとこさ、普通のハンバーグに仕上げているわけで頭が下がる。

鶏の胸肉っぽいさっぱりとした味わいの雉のから揚げを食べた後はいよいよ猪。

確かに弾力がある食べ応え。塩をちょっとつけて食べると後味がいい。
だんだん何のお肉を食べたかわからなくなっているが、ジビエはおいしい!という記憶を植え付けていただいた。


最後はさっぱりと桜の葉っぱの塩漬けで作ったアイスとりんごのコンポート。

今までもぼたん鍋やジビエを提供しているちょっとしたおしゃれバーに行ったことがあるが、ここまで多種多様なジビエをコース仕立てで食べるのは初めて。

食料自給率の低い日本に住んでいる限り、今後食糧難がやってきてもおかしくない。捨ててしまうお肉がこんな素敵な料理に変身し、食べられるなら大切にいただかねばならぬと考えさせられたジビエのコース料理。

とはいえ、自分で料理するのはかなりハード。

ということで、SDGs、エシカル消費、サスティナブルなんて言葉に敏感で社会貢献を食で叶えたいと考えている意識高い系の皆さん、奈良でジビエ料理三昧はどうでしょ?

帰りはこんなにかわいい大和肉鶏が見られますよ

ここが一押しのホットスポットとかで夜になるとわらわらと集まってぎゅうぎゅうになってねむるのだとか。

奈良県特産の大和肉鶏ということでいつか食べられちゃうのかな。みんな仲良しなのにと思い、スタッフさんに聞いてみたが、食用ではないとのこと。良かった?いやおいしく食べてあげたほうが彼ら、彼女らはうれしいのか?と思いながら舟こいでる大和肉鶏たちからなかなか離れられなかった。



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