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AfterShokz Aeropex

 色々やイヤフォンやヘッドフォンを所持していますが、今日は僕がサイクリングや散歩のときに使用している「骨伝導ヘッドフォン」について書きます。

そもそも「骨伝導」って?

 まず我々が鼓膜で聞きとっている音は、空気の振動が外耳、中耳、内耳と伝わることで聴覚へと伝わります。空気を媒介して伝わるので「気導」と呼ばれます。スピーカーやヘッドフォン、イヤフォンの音も空気を媒介して聴覚神経に伝わっているのです。一方の骨伝導は空気ではなく骨を媒介して音を伝えることを指しています。気導に対して「骨導」とも呼ばれます。気導と骨導、聴覚神経に到達するまでの伝送経路が違うんですね。

骨伝導のメリットとは

 しかしながら、音を聴くだけなら普通のイヤフォンやヘッドフォンでも十分ではないでしょうか。わざわざ骨伝導というシステムを使うに値するメリットがあるのでしょうか。そのメリットとはズバリ「耳を塞がない」ことです。これは言い替えると「骨伝導ヘッドフォンをしていても耳から音を聞くことが出来る」ということです。
 自転車を運転する時には周囲の安全に注意しなければなりません。周囲の安全を確認するのには視覚以外に聴覚も重要になってきます。耳を塞ぐ通常のイヤフォンやヘッドフォンだと、どうしても周囲の音が聞こえにくくなります。これは機構上どうしようもないことです。周囲の音が聞こえにくくなるということは、聴覚に頼っている部分の安全確認が不足してしまうということになります。後ろから車が接近している場合など、ロードノイズやエンジン音で知覚できますが、耳を塞いでしまっているとそれができない、あるいは気づくのが遅れてしまいます。そういった時に骨伝導ヘッドフォンであれば、耳を塞いでいないため通常と遜色ない知覚が可能ということなのです。

AfterShokz Aeropexについて

 自分が使用している「AfterShokz Aeropex」は骨伝導ヘッドフォンのブランドである「AfterShokz」の現時点(2021年5月25日現在)での最上位モデルです。骨伝導ヘッドフォンはその機構上、音質の面で従来のイヤフォンやヘッドフォンに劣ってしまいます。特に低音域の再現を苦手としており、AfterShokzの過去の製品群においても、ラジオみたいなトーク中心のコンテンツであれば問題ないけど、音楽のリスニング用途としては音質が厳しいかなという印象でした。それがAeropexの登場により、ようやく肩を並べられたかなといった感じになったのです。また、従来品では音量を上げた際の音漏れが顕著でしたが、Aeropexは接触部の改善などで従来品よりは音漏れしにくくなっています。とはいえ、音量を上げれば音漏れはしてしまいますが。
 接続はBluetoothで行います。対応プロファイルは「A2DP、AVRCP、HSP、HFP」です。骨伝導ヘッドフォンの音質面を考えると、対応プロファイルはこれで必要十分です。ペアリングは電源オフの状態から電源ボタンを押し続けることでペアリングモードに入れます。音声で「ペアリングモード」とのアナウンスがあるのでわかりやすいです。
 バッテリーは公称スペックでは8時間とされています。自分の個体はもう既に2年近く酷使しているので、そこまではもたないかなぁといった印象です。それでも5~6時間程度は使えると思います。バッテリー切れが近づくと音声で「充電してください」とのメッセージが流れます。このメッセージが流れてからもある程度の時間は使用できます。

AfterShokz Aeropexの利用シーン

 主に使っているのはサイクリングの時ですね。前述したように、自転車の運転時には周囲の音を聞ける状態にしている必要があります。自治体によってはヘッドフォンやイヤフォンを使いながらの自転車の運転を取り締まり対象としているところもあるそうです。そういった時に骨伝導のAfterShokz Aeropexであれば、コンテンツを聞きながら、周囲の音もしっかり聞きとることが出来ます。しかしながら、骨伝導で耳を塞がないとはいえ、音量を最大まで上げて音楽を聞くと、周りの音も聞こえにくくはなるので、節度を持った音量調整をする必要はあります。
 もうひとつの利用シーンが楽器の練習ですね。自分はキーボードやギター、カホンなどのパーカッションを趣味でやっています。オケに合わせて練習したい時、キーボードの場合は音声をミックスしてやればいいのですが、ギターやパーカッションはそうもいきません。そういう時に骨伝導が役立つのです。オケをAfterShokz Aeropexで再生させて、自分の演奏は耳で聞くことが出来るのです。以前までのモデルでは音質が残念でしたが、Aeropexになってようやく聞ける音質になったので、この使い方も現実的になりました。

AfterShokz Aeropexの欠点

 こんないいこと尽くめなAfterShokz Aeropexですが、しっかりと欠点も存在しています。

1.充電に専用ケーブルが必要

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 これが最大の欠点だと思います。充電に専用ケーブルが必要なのです。電源側はUSB Type-Aのプラグですが、本体側が専用のマグネットプラグになっているのです。防水性能やプラグの脱着の簡便さなどの観点でこうなったのだと思いますが、充電切れの時のために持ち歩くケーブルが増えるのはマイナスです。また、汎用品ではなく専用品のため、断線などで使えなくなった際の調達も面倒ですね。製品には充電ケーブルが2本付属しているので、1本は自宅に置いておいて、もう1本を持ち歩くといった使い方も出来ますし、1本を完全に予備とすることも出来るかと思います。2年近く使っていますが、今のところケーブルの耐久性に問題はないです。

2.音漏れする
 
これは機構上仕方がないのですが、音漏れはしてしまいます。前世代機までと比べると格段に音漏れしにくくはなっていますが、それでも一般的なカナル型イヤフォンと比較すると雲泥の差です。アウトドアでの利用であれば問題ないでしょうが、満員の通勤電車の中などでは音量に注意する必要があります。

3.一定以上の騒音に弱い
 
これも骨伝導の機構上仕方のないところです。耳を塞がない構造上、当然外部の音は耳から入ってきます。ある一定以下の騒音であれば気にはならないのですが、一定以上の騒音になってくると骨伝導からの再生音が途端に聞こえにくくなります。これには個人差があるので何とも言いにくい点ではありますが。

4.音質ではやはり劣る
 
これも仕方のない点です。前世代機よりも音質の改善はされていますが、それでも通常のヘッドフォンやイヤフォンと比べると雲泥の差です。音質については「安全を確保しつつ音楽を楽しめる」という割り切りが必要かと思います。この製品は音質に期待して買うものではありません!

最後に

 今回は僕が愛用している骨伝導ヘッドフォン「AfterShokz Aeropex」について書きました。リスニング用途として考えると欠点だらけですが「アウトドアで安全対策をしっかり取りつつ、音楽・音声コンテンツを楽しめる」という点がこの製品や骨伝導ヘッドフォン、骨伝導イヤフォンの最大の武器です。そういった点を理解した上で利用する必要があるかなと思います。

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