見出し画像

「インターセックス」と「DSD」(性分化疾患)

10月23日から、10月27日まで、インターセックスアジア フォーラム2022と研修プログラムということで、タイのバンコクでアジア圏の9カ国から21人が集まり、会合が開かれました。

その中で感じたこと、思ったことを素朴に書きます。あ、詳しい参加レポートはまた別にまとめますね。

インターセックスと言う言葉

インターセックスという言葉、日本では、どちらかと言えば、嫌われている言葉なのですが(昔、シカゴコンセンサスという国際会合で、インターセックスという言葉を、DSD(日本語で性分化疾患)に変更するとした経緯もあったり、LGBTQ+と分ける意味もあったり)、海外ではまたインターセックスという言葉が復権してきています。
主にインターセックスという言葉は、社会的ターム(社会的活動や権利獲得運動など)で使われる部分が大きいと感じました。また、DSD(性分化疾患)という言葉は医学ターム(医療用語)に近いのに対し、インターセックスという言葉は、脱病理化(まぁ、病気ではあるのですが、でも、病気から一旦離れて、社会的な活動、権利獲得運動、その他)を目指している言葉であったりして、近年のインターセックスの人々の権利獲得運動や社会運動には、どちらかといえばインターセックスという言葉がすっきりくるようです。

DSD(性分化疾患)という言葉

先ほど少し触れましたが、日本ではDSD(性分化疾患)という言葉の方がメジャーです。いろんな理由がありそうなって居るのですが、まぁ、私も、検索受けのためにDSDやら性分化疾患を利用しているので、あまり大げさなことは言えないのですが。

先ほども書きましたが、「インターセックス」という言葉が社会的ターム(社会活動や権利獲得運動など)な言葉だとすると、「DSD」「性分化疾患」という言葉は、「医学的ターム」(病理的なお話しや、疾患として取り扱う用語)なんですよね。なので、インターセックス(性分化疾患、DSD)の人の、社会的活動や、権利獲得運動には、あまり向かない言葉だったりします。

DSD(性分化疾患)は、あくまで、医学側から見た用語なのですよね。なので、患者(インターセックスのコンディションのある人)側から見た言葉としては、ちょっと違う部分があったりします。

あ、医学論文とかは、医学的タームですので、DSD(性分化疾患)で検索した方が早いです、国立国会図書館の検索とか、インターネット検索とかでも。

LGBTQ+との関係

今回、タイでのインターセックスアジア フォーラム2022&研修プログラムで一番強く感じたのは、LGBTQ+(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー等)と、特に友好な関係を築いているところが多いというところです。

詳しくは参加レポートに書こうと思っていますが、日本では残念なことに、LGBTQ+とインターセックス(DSD、性分化疾患)は仲があまりよろしくないのです。特に、T(トランスジェンダー)との仲があまりよろしくないのです。
これは、歴史的な経緯もあったり、いくつかの活動による物だったりするのですが、海外の様子(他のアジアの国の様子)を聞いていると、LGBTQ+アンブレラ(傘)や、LGBTQ+ムーブメントとうまくお付き合いしているケースが圧倒的に多かったです。

トランスジェンダーとの関係については、また別の見出しにして書きますが、インターセックス当事者の中には、「インターセクシュアリティ」(複数のマイノリティ=少数者、を持っている)のケースも結構見られ(かく言う私も、インターセックス、アセクシャル、Xジェンダーと、性関連だけでもマイノリティ=少数者、の連続ですしね)、そのために、LGBTQ+と協働している部分もある印象を受けました。

トランスジェンダーとの関係

トランスジェンダーとの関係で言うと、日本ではトランスジェンダーと性分化疾患(DSD)(ここでは日本のことなので、あえて性分化疾患を使います)はほとんど関係ない、という言説が圧倒的ですが、今回インターセックスアジア フォーラム2022&研修プログラムに参加してみて、各国の状況を聞いたり、参加者の状況を聞いたりした感じでは、

トランスジェンダー(Xジェンダーやノンバイナリー等も含む)と、インターセックスの間に、なんらかの関係性(両方持っている当事者がそれなりにいる)があると感じました。日本のように、完全別物です!と主張するのではなく、協働して、また、ダブルマイノリティ(インターセックスでトランスジェンダー)の人も、海外の事例では多い印象を受けました。

ですので、本邦(日本)においても、そこそこの割合で、ダブルマイノリティ(インターセックスでトランスジェンダー)はいるものと思量されます。

まぁ、私も、Xジェンダー(無性~不定性)をトランスジェンダーに含めるのであれば、インターセックスかつトランスジェンダーの当事者ではあるのですが。

今までの日本の方向性と海外の方向性が違う?

今までの日本の「DSD(性分化疾患)」としての動き(LGBTQ+とは距離を置き、トランスジェンダーとの関係は低いとしているなど)と、海外で復権しつつある「インターセックス」(LGBTQ+と協働し、またトランスジェンダーとの関係もそこそこある、など)の関係性について、日本と海外(他のアジアの国)では、大きく異なるんだなと言うのが率直な、インターセックスアジア フォーラム2022&研修プログラムに参加してみての感想でした。

もちろん、日本の動きが悪いとは言いません。でも、インターセックス当事者を踏みつけていないでしょうか。海外の動き(「インターセックス」としてのLGBTQ+との協働や、トランスジェンダーとの関係、またトランスジェンダーがインターセックスの人の中にいるという意識)のほうが、どちらかといえば、インターセックス当事者のためにもなるのではないかと感じました。

特に、インターセックスの人の権利活動・社会運動・コミュニティ作成は本邦(日本)では非常に弱いのが現状です。このあたり、考え直してみた方が良いかもしれませんね。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?