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新婚当時の料理は下手すぎて夫が弁当買ってきてた話

料理が壊滅的に下手だった。

いまでも得意とは言えないが
独り暮らしの経験がない上に
もともとセンスがなかった私が
新婚当初していた料理は実際のところ
料理ではなく理科の実験の失敗だった。

わすれもしない結婚してすぐの頃
わたしは自身の貧血のひどさもあり
よせばいいのに
割りと美味しくつくるのに
普通でも難易度高めの
豚レバーを調理しようとしていた。

豚レバー。

臭いをけすという概念も知らないまま
ただ、肉はコーラに浸ければ
柔らかくなるというサブカル的な
知識はあったのでそれだけ実行せんと
なにを血迷ったか
家の近くの自販機にあったデカビタCに
豚レバーを半日浸け込んだ。

コーラがなかったんだもん。

わたしとしては
炭酸だし甘いしなんか似てる気がしたのだもん。

そして夕飯時になり
熱したフライパンで炒め
皿に盛り付けた。

ニラと一緒にいためるなど
知識もなかったため
茶色の汚物のような物体を
皿に載せた状態でイーオットに出す。

恐る恐る口にする
イーオット。


一口かじったかかじらないかぐらいの
タイミングでそっと箸をおき

「薬品の臭いがする。」

と虚無僧のような目で呟いた。

食べ物を粗末にすることを
何より嫌う彼がこの日だけは
絶対に夕飯に口をつけなかった。

次の日には
レンチンで簡単✨
あさりの酒蒸し🎵
と新たな料理に手をだすが
レンジで温めすぎて
身が小さくなりすぎ
イーオットが怪訝な顔をして

「え、これ、シジミ?あさり?」

と混乱していた。

それから数日イーオットは
夕飯は自分で買ってくるようになり
わたしは専業主婦なのに
主婦業を干される日々が続いた。

あれから15年。

いまでも得意とは言えないが
人並みにはできるようになった。

ハンバーグだって
からあげだってつくれちゃう。

あの地獄みたいなご飯の日々を
めげずに一緒に過ごしてくれ
諦めずに結婚生活を続けてくれたイーオットに
心より感謝申し上げます。

ちなみに最近になって
「まぁ、なんだかんだ
新婚当初のあれも楽しかったよね~」

と他人事のように
私がのんきな顔でいうと
わたしをまじまじと見つめ
清水豊松よろしく

「わたしは、、、
生まれ変わったら、
お前になりたい」

とひとりごちていた。

心よりお悔やみ申し上げます。
アーメン。



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