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114. 「丁寧」の向こうに

昔鼓笛を習っていた時に指揮者の先生がよく言っていた、「ゆっくりのテンポで演奏できない人には、速いテンポで正確に音楽を奏でられるわけがない」という言葉。

今日はそんなことを思い出しながら、「丁寧さ」について考えていきたいと思います。

その向こうには必ず相手がいる

最近、良く思うことがあります。

それは、物事を丁寧に行う事の大切さです。「丁寧」という言葉を辞書で引いてみると、

細かいところまで気を配ること。注意深く入念にすること。また、そのさま。 (大辞泉より)

とあります。僕はこの「細かいところまで気を配る」ということが実は大きな意味を持つと思っています。

SNSでの発信における丁寧さ

一つの例を出します。それはSNSでの情報発信についてです。

僕が発信の際に心がけていることは、手を抜いたものを載せないということです。時間がかかっても良いから、出来る限り自分の出し得る全力を尽くしたものを提供することを常に心がけています。

世間一般的によく言われることとして、「まずはとにかく数を出せ」という意見があると思います。実際、何かの分野において上達を目指す際に、ロークオリティでもよいからとにかくアウトプットを大量にし続けてそこから改善点を見出していく方法は、確かに効果的だと感じることは多くあります。僕自身、こういった考えを持っていた時もありました。ツイッターなどでも、「フォロワーを増やすためにはとにかく1日30ツイートしてみなさい!」といったアドバイスをちらほら見たりすることがあります。

もちろんその心意気は大事だし、一つの正しい方法だとは思いますが、今の僕個人の意見としては、自分から何かを「人に対して提供する」という行動はつまり、確実に「他者の人生の時間を自分に充ててもらう」こととイコールだと思っているので、雑に作り上げた物でその人の貴重な時間を食うというやり方は自分には合っていないのかなあと思っています。

提供するもののクオリティが高いか低いかで合ったら、もちろん高い方がいいに決まっているし、それに割く時間が短い方が効率が良いに決まっています。ただ、そこに「相手」が存在するのであれば、今の自分が出せる最大限の努力をつぎ込むというのが、見てくれる方への最低限の敬意に値するものだと僕は思っています。

誰かに仕事を頼まれた時でも、何かを相手に伝えたいときでも、必ずそこには「相手」が存在すると思います。自分が何かしらの作業を行うことは、他人の人生に多かれ少なかれ介入することになります。もし仮にその行動が自分のために向けられていたものだと思っていても、その大半は、実はどこかで相手とつながります。

そしてこれは、ホッケーの練習でも同じです。

練習における丁寧さ

練習において、上手くなりたいと思ったとしても、「これをやれば絶対に得点が決められるようになるドリル」なんてものは存在しないし、一瞬でスーパースターになれる魔法のメニューは存在しません。いつだって上達するためには、基本練習が必要になります。そして、たいていの基本練習は地味で、目立つような物ではありません。こういった地味な練習というのは根気が必要だし、派手な練習をしている方が見た目はかっこいいかもしれません。ただ、僕の選手としてのゴールは「試合で高いパフォーマンスを発揮し、その姿を見ている人々を幸せにする」ことなので、個人練習を雑に行うということは、その観客の皆さんや自分自身との約束を破ることに値します。その瞬間は一人だとしても、そこで積み上げたものが必ず相手に伝わる瞬間が来るということです。結局、一見は自分自身に向けられたものだと思っても、それは必ずどこかで周りの人へリンクするものだと僕は思っています。だからこそ、一人でいても物事を丁寧に行う必要があります。

いつか自分に帰ってくる

「丁寧」に物事を行うことは、時間も手間もかかるかもしれないけど、そのものに対して自分が正面から向き合い続けることと同意義であり、つまりそれは相手に対して誠意を向けることと同じで、つぎ込んだ情熱というものはいつか必ずどこかで形を変えて自分に帰ってくるものだと思っています。

本当に細かいことかもしれないし、他人からしたら気づくこともないようなポイントかもしれなくても、とことんこだわり続けること。僕はこれが大切だと思っています。僕のアイスホッケーをしている姿を見た人、聞いた人や、僕の発信する情報を読んだ人が少しでも明るい気持ちになれるように、全力で「丁寧」に完成させる。

どれだけ丁寧にやったとしても、それは「下手」と思われるものかもしれません。でも、それでもいいのです。自分が、相手、物に対して、まっすぐな気持ちを注ぐことが何よりも大切だと僕は思っています。なぜなら、それは必ず自分に帰ってくるから。その瞬間瞬間で、自分自身ができる最大限の気持ちを込めること。それを心がけています。

もちろん僕は、一番は自分のために挑戦を続けています。それでも、僕の周りには応援してくれる人たち、見てくれる人たちがいっぱいいます。アイスホッケー選手としての「挑戦の軌跡」を周りの人に提供するときも、例えば練習の様子を提供するときも、見てくれた人が少しでもワクワクするような、楽しいと思えるような時間を過ごしてもらえるように、これからも丁寧に物事をこなしていきたいです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

三浦優希

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