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トルコ・エジプト旅行記 2012/9/9-9/10

およそ7年前の旅行なんですが、自分のノートには記載したまま、かつFacebookには途中までしかuploadしていなかった旅行記でして、ところどころ追憶/追記しながら、当時の文章を起こしていきたいと思います。(すでに8記事は書いているのでスムーズにupできるかと・・・。

---start---

出発前、自分の気持ちは複雑であった。喜怒哀楽全ての感情が心の中を駆け巡っていた。そんな中、東京に帰る妹を新大阪まで送り、その後自らも関西国際空港へと向かった。若干雨が降る中、関西国際空港の近さに驚きつつ、国際線のターミナルへと辿り着いた。その後、よくわからない飲食店に入り野菜の天ぷらと蛸の唐揚げをビールで流し込んだ。
(追記: 喜怒哀楽の感情が混ざっていたのは女性関係だったと思いますw)

チェックインを済ませ、荷物検査、パスポートコントロール抜け、搭乗口付近に座った。夜の空港が何故か好きだ。控えめに流れるテレビに、かすかに聞こえる離着陸の音、そして飛行機を待つ人々の話し声。ようやく、一人になったという実感がもてた。程なく機内に乗り込み、約12時間のフライトを経て、気がつけばイスタンブールのアタチュルク空港に着陸していた。日付は9/10になっていた。

市内への移動手段は、電車にバスにタクシーなどがある。安さをとり、電車で行くことにした。地球の歩き方によると、電車は2TL(1トルキッシュリラ=約44円)で乗れるらしい。しかし、券売機には3TLの文字が。駅員に尋ねることに。

俺「ねえ、電車って3TLなの?」

駅「うん、そうだよ」

俺「ガイドブックには2TLって書いているんだけど」

駅「つい最近値上げしたんだよ。トルコでは物価が上昇中だからね」

俺「そうなのか。仕方ない」

安っぽいジェトン(チケット)を改札にぶち込み、電車に乗り込んだ。そして、乗り換えを行い、スルタンアフメットに降り立った。ブルーモスクがお出迎えだ。

すると、案の定キナ臭い男に話しかけられる。

男「こんにちはー」

俺「あ、どうも」

男「どこ行く?マイフレンド!」

俺「ホテルを探してるんだ」

男「へー。いいホテル知ってるよ」

俺「自分で探すからいいよ」

男「そうか。お前、バスチケットとかは持ってるのか?」

俺「いや、まだ買ってない」

男「んじゃ俺のオフィスで買え。すぐそこにあるんだ。着いてこい」

もちろんシカト。すぐそばに灰皿があったので、タバコに火をつける。すると、その男が振り返って俺を呼ぶ。

男「おーい。タバコ吸ってる場合じゃないよ。来いよ」

俺「バスチケットも自分で探すからいいよ。それより今はホテルに行きたいんだ」

男「ホテルはどこに泊まる?」

俺「このガイドブックに載ってるところにこれから向かう」

男「そこはどこだ?いくらだ?」

俺「お前に言う必要はないんじゃないかな。じゃあね」

まだ半分以上吸い終わっていなかったが、非常にめんどくさかったので、もみ消して立ち去る。どうして、こういった方法でしか客を呼び込めないんだろう。きっちりした商売をしているところの方が、どう考えても長期的に上手くいくで決まっているのに。でも、こういった状況は日本でも同じなのかもしれない。目の前の人から金を取ることばかり考えて、近い未来に痛い目に遭う。本当に今必要なことなんてそう簡単に分かるわけではないんだけど。

そんなどうでもいいことを思いつつ、目を付けていたホテルを回る。

トルコの物価は本当に上昇しており、日本と変わらないくらいだ。コーラ350mlが110円くらいだし、ドミトリーに泊まるのも1000円~2000円は確実にする。そのことを心に留めて何軒か回った結果、メトロポリスホテルにすることに。ドミトリーが空いており、屋上のテラスも非常に眺めが良かったので、若干割高であったが決めた。荷物をフロントに預けて、散歩に行く。歩きながら、この旅の行程を考える。

散歩ついでにスルタンアフメット地区にある、観光地に行くことにした。最初にトプカプ宮殿。皇帝の門をくぐり抜け、庭を突っ切り宮殿の入り口を目指す。すごい綺麗な庭の先に行列が見えた。

ちーん。並び過ぎ。チケット売り場も長蛇の列。(写真はチケット売り場ではない)しかも、20TL必要だし。ということで、引き返しました。その次に、アヤソフィアを見ようとしたが、清掃のため閉まっていた。残念。何も見れてない。

ということで、いきなりだがブルーモスクを見に行くことに。

どーん。でかい。そして、人がいっぱい。ただ、こちらは無料なので、見ることに。順番が回ってきて靴を脱ぐ。袋に入れて、いざ中へ。

こんなに天井が高い必要があるのか、と思うほど高い。天井や壁を彩る綺麗な青。そして、祈りを始めるイスラム教徒。(観光客もイスラム教徒も入り口は同じ)観光客に写真を撮られながら、お祈りをしていた。また観光客にお祈りの方法を教えているイスラム教徒もいた。こうやるんだよって。多い観光客に負けないくらい、ブルーモスクは凄まじい独特の雰囲気を内部に作り上げていた。ブルーモスクの6本のミナレットは、聞き間違いによって建てられたとか地球の歩き方に書いてた。色んな歴史がそれぞれの建物に刻まれているものだ。

そして、ブルーモスクを出ると、そこはまた客引き地獄だ。

次々に話しかけて来るトルコ人をよそ目に予算を考えた。思った以上にトルコの物価が高いので、もしかするとお金が足りなくなるかもしれない。そんな危惧を抱きつつ、街を歩いていると、珍しく女の人(推定40歳)に話しかけられる。

女「日本人かい?」

俺「あ、はい」

女「やっぱりー」

そう言うと後ろから強面のおっさんが登場

女「私の夫よ!」

どう見てもトルコ人顔だ。なんか危険な気がする。

お「がははは。トルコは初めてかい?」

なんだ、ハイテンション過ぎるぞ。ついていけない。

俺「あ、はぁ」

お「どこに行くつもりなんだ?」

俺「特に決めてはないけど、カッパドキアとパムカッレに行こうかと思ってる」

お「いいね!俺も行ったことがあるぞ!妻と。すごい良かったよなぁ?」

女「ええ。とても綺麗だったわ。」

俺「へぇ。で、なんで俺に話しかけたの?」

お「俺たちは日本人が大好きなんだ。何か手助けできればと思ってね」

怪しいにも程があるぞ。どうなってる。

お「バスのチケットに手配なら代理店を紹介するぜ?」

うーん。どうしよう。実際わからないことだらけだし、一旦行ってみよう。ただし、断る時はきっぱりと言おう。そう決心して、着いて行った。そして、代理店の青年が登場。

代「やぁ。よろしくね」

非常に笑顔がいい好印象の青年だ。ただいくら払わされるのかが重要だ。

俺「トルコってどこ行けばいいの?おすすめってある?」

代「カッパドキアやパムカッレ、エフェスなどかな。定番だね」

お「いえす!そのコースは俺たちも行ったけど、とてもよかったぞ!がはははは」

おっさんうるせぇ。と思いつつ、代理店の青年は何やら紙に書き出した。

代「その3都市を回るなら、こういった形になるだろうね」

非常にわかりやすく、旅の行程が書かれていた。すぐに理解することができた。

俺「いいじゃん。これっていくらくらいでいけるの?」

代「うむ。お前、カッパドキアの気球には乗りたいのか?」

俺「乗りたい。楽しそうじゃん」

女「あれはとても綺麗よ。空にいるときに・・・」

長々と早口で喋り始める。どこに国でも女の人の方がおしゃべりなのかもしれない。ヒアリングが得意ではない俺は、うなずいているだけだった。女の言葉が途切れた瞬間、代理店の青年が言葉を挟み込んだ。

代「うん。ツアー自体は7万円かな。そして、気球がプラスで1万5千円だよ」

俺「高ぇよ。無理だ。払えない。俺、トルコの後エジプトに行くんだ。お金が無くなっちゃうよ」

代「今は、若いからこの金額に対してためらっているのかもしれないけど、何年も経てば非常にいい思い出になっているよ!間違いない。約束するよ。それに、これでも安い方だよ?ホテルも朝飯、昼飯もバスも付いてるんだよ?」

俺「そうなのか?」

お「おい。佑貴。最近トルコでは物価が急上昇してるんだ。だから、このくらいの値段は当たり前だ」

俺「でもこのガイドブックでは、予算は6万円くらいって書いてるよ」

お「それを見せろ。ほら、2012~2013って書いてるだろ?古いんだよこれは」

いやいや、今、西暦何年だと思ってるんだよ。どの暦で過ごしてるんだお前は。最新にも程があるじゃねぇか。一旦ここは出よう。

俺「分かった。一旦別の代理店を回ってみるね」

お「ここが一番安くていいぞ?」

俺「残念だけど、まだ信じられないよ。また来るね」

そう言って、スルタンアフメット地区を回る回る。バスチケットだけを買って、自由にぶらぶらすることも考えたが、若干そちらの方が高くなりそうだった。何も決めずにぶらぶらしている時間がもったいない、という考え方になっていた。いくつかの代理店でツアーを聞くものの、10万円だったり、8万円だったり、どこも高かった。バスチケットだけ買おうかなと思って、歩いているとおっさんと再会。

お「やぁ、佑貴。いいツアーは見つかったかい?」

俺「いや、どこも高いんだよ。でも1つだけそこより安いところがあったからそこにしようと思う」(もちろんそんなところなどなかった)

お「何?それはどこだ?」

俺「そこらへんにあったよ」

お「いくらだ?」

俺「5万円ちょっとだったよ」

お「ほう。ちょっと、あいつにも言ってみようぜ」

これで安くなれば儲け物だと、着いて行った。今度は、トルコで有名なアップルティーが出てきた。

俺「アップルティーありがとう。これ無料なの?」

お「当たり前だろ。これがトルコの文化なんだよ。日本とは違うかもしれないけど、気にするな。飲めばいいんだよ」

すると、奥から相変わらずいい笑顔を振りまいている青年が出てきた。おっさんとトルコ語で会話をしている。

代「5万円ちょっとだって?どこ?」

俺「そこらへん」

代「そんなところ本当にあったのか?」

俺「信用してくれないの?それでもいいけど、そっちに行くし」

代「信用してるよ。もちろんさ」

二人の間に信用があるなんて、お互いが毛頭思っていなかっただろう。ただ、いい旅のため、商売のため、お互いが嘘を並べた。

お「佑貴。そういえば、お前は日本で何をしている?」

俺「大学生だよ」

お「おお。じゃあ安くできるはずだ」

ここからまたトルコ語で会話。大学生じゃなくても、何かしらの理由をつけて、安くしてくれたんだろうなぁ、と思った。

代「オッケー。じゃあ、ツアーは5万円、気球は1万5千円でどうだい?」

俺「高い。さっきのところは気球も込みだったよ」

ここでおっさんがまたトルコ語で話す。代理店の青年は困った顔をしていたが、その後ゆっくりと指先を動かし、これまでに書かれていた数字を書き換えた。

代「じゃあ、4万5千円、気球1万円でどうだ?」

だいぶ下がった。これは安い。まだ値下げ出来たかもしれないが、これで決めた。

俺「ありがとう。いい旅にするよ」

代「こちらこそ」

俺「おっさん夫婦もありがとね」

お「よかったよかった」

手続きを済ませて、代理店から出る。辺りはすっかり暗くなってしまっていた。ゆっくりと石畳を踏みしめながら、ホテルへと帰った。そして、ドミトリーの人たちと対面した。イギリス人、ドイツ人、アメリカ人、フランス人という構成だ。彼らと簡単な自己紹介的なものをした後、屋上のテラスに上がり、ビールを飲んだ。1杯6TLだ。とても大きなジョッキで安い。みんなの流暢な英語に、時々俺の拙い英語が混ざる。それでも会話はなんとか成り立った。そして、この後悲劇が起きるのだった。

ビールを4、5杯くらい飲んだ俺たちは、いい気分になっていた。そこで、アメリカ人とフランス人と俺で散歩をしていた。すると、謎の男に話しかけられる。

謎「やあ。君たちは旅行者かい?」

米「そうだよ」

謎「よかったら、ライターを貸してくれないか?」

俺「どうぞ」

謎の男はタバコをふかしながら、話を続けた。

謎「俺はサウジアラビアから旅行に来ている。トルコは2回目だ。いい店がある。よかったら飲まないか?」

よくある誘い文句だ。しかし、酔っぱらってたせいか、俺たちは着いて行った。そして、クラブらしきところに入った。重低音が鳴り響き、みんなが音に合わせて踊っている。

謎「みんなビールでいい?」

仏「いくら?」

謎「10TLだ」

そんなに高くない。まぁ飲むか。と思って飲んでいると、それぞれに女の子がついた。(ちなみにかなり美人だった)ここあたりで若干怪しいなとは思っていたものの、その場の楽しさが上回っていた。悲劇の前兆だ。

米「明日も早いし、そろそろ出るか」

俺「そうだな。お会計を」

すると、いかつい兄ちゃんが出てきて、みんなの席にバリケードを張った。しまった。と思った時にはすでに遅し。一人あたり、2万円だ。一瞬で酔いが冷めた。

米「え?なんでだよ。高い」

謎「女の子の飲み物もだよ」

やってしまった。とみんなの表情。隣にはいかつい兄ちゃん。まだ鳴り響く重低音。三人全員謎の男に怒りを露にしつつも、支払った。米はUSドルで、仏はユーロで、俺は円で払った。みんなTLは持っていなかった。

みんなでとぼとぼとホテルに帰る。本当に人生で一番とぼとぼと歩いた気がする。エジプトの資金はどうする?この後、トルコでも大丈夫なのか?様々なことが頭の中を駆け巡った。みんなで「いい思い出になるよ、これも」なんて慰めつつ、やや冷たい布団に潜り込んだ。

初日からこんな大きなトラブルに巻き込まれるとは全く考えていなかった。完全に自分たちが悪いのだが。次の日からはツアーに出発だ。なんとかテンションを戻そうと、アップテンポな曲を流しながら眠りについた。
(追記: 確かELLEGARDENのRed Hot)

続く

昼飯に食べたケバブ

値段は500円くらい。格別おいしいわけではない。

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