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【女風利用者の実体験】家庭内のモラハラについて

今回は、女風ユーザー様からのご相談で度々耳にしてきた
「モラハラ」について考えていきます。
※特に、現役セラピストの方も、お客様からこういう話を聞いていると思いますので、原点に立ち返るという意味でも一度ご覧いただけますと幸いです。

まず、以下の相談内容をご覧ください。
(※以前、有料相談にてご相談くださった方に許可をいただき、相談内容を一部引用しています)

普段は夫が忘年会に行っている隙に利用しています。
いつも外に出られない私の1年に数回しかない自由な時間で、
〇〇さんに会って名前を呼ばれる時、生きているって感じて涙が出てくるんです。

上記のご相談をした方は、
旦那様がご相談者様に外出を許可せず、自分本位に家族にふるまうとのことでした。お子様もそのような旦那様を見て、ご相談者様に強く当たるようになり、家族内で孤立しているとのご相談でした。

ご相談への回答をさせていただき、その後離婚されたとご連絡をいただきました。離婚後も元旦那様から執拗に嫌がらせを受けるため、弁護士に相談してしかるべき対処をしているそうです。
今は自分自身を大切にできて、女風も好きなタイミングで楽しめているとのことで、私も安心と同時に嬉しく思いました。


”モラハラ”とは

そもそも「モラル」とは道徳・倫理に反したハラスメントを指します。
精神的加害、言葉や態度による嫌がらせというとわかりやすいでしょう。
今では、一般企業でも認知・防止の一環としてモラハラについて教育が行われています。関連する書籍も多数出版されており、社会的に取上げられています。

家庭内でみられるモラハラ

コロナ禍で、家で過ごす時間が多くなった際、家庭内における問題も多数取り沙汰されるようになりました。
夫婦の不仲、義家族との関係、ストレス、ネグレクト、暴力・・・
感染対策に敏感になり、さらに家族間で適度な距離が保つことができなくなることで、今まで多方面に向いていた意識が家族に強く向くようになったのです。社会との関係が希薄になり、家庭内問題が今までより増えてきた、また顕在化してきたのではないかと考えます。

しかし、家庭内という小さな枠だからこそ、気づかれないこともあります。
その一つにモラハラがあります。
精神的加害、要するに身体に傷が見えない分、他者に気づかれにくいです。そして、次項で詳しく説明しますが、置かれている状況によっては、自分自身がモラハラを受けていると認識できない人も少なくありません。
また、加害している人も自身がモラハラをしていると思っていないのが特徴です。

モラハラの仕組み

モラハラがどのような原理で成り立っているのかは、昨今書籍等で詳しく学ぶことができます。また、心理学やカウンセリングを通して知ることができるようになりました。
ここでは、モラハラの仕組みについて簡単に概要をまとめます。

モラハラは洗脳のエッセンスが入っており、同じような過程をたどります。

⒈断絶
⒉制限
⒊否定
⒋刷り込み

モラハラを受ける側をA・モラハラをする側をBとして、上記の流れを見ていきましょう。

過程

まず、Aを社会と断絶させます。
社会・他者と距離を置かせることで正常な判断ができなくなります。

私たちが物事を考える際の材料のひとつに、社会交流が挙げられます。
仕事、友人、趣味など、日々何気ない生活の中にヒントがあります。
それらの中に自分に活かせるヒントを見つけたり、比較したり、アイデアとして取込むことで、新しい自分を見つけることができるものです。
しかし、社会から強制的に離れるとどうなるでしょうか。
社会交流から得ていたヒントがなくなり、さらに他者の意見を聞くことができなくなります。
判断基準がなくなることは、イコール モラハラをするBの世界がAの絶対基準になるのです。

次に時間や行動を制限します。
心理的に追い詰めることで心身の余裕がなくなります。

断絶の過程を経て、正常な判断ができなくなっている状態のAに様々な制限をかけます。
スマホ(連絡ツール)を取り上げる、外出させない、門限を定める、金銭を自由に使わせない、GPSをつける、精神的に貶める言葉や侮辱的な言葉を言うなど・・・。
これらはあくまで一例にすぎません。
通常だと、友人などに「こんなことされているんだけど・・・」と相談したり、普段の家庭内の話をしているときに、友人からの意見で「これはモラハラだったんだ」と他者に気づかせてもらったりすることができます。
ただ、交流を断たれているうえに、制限や精神的な侮辱発言を浴びていると正常な判断ができなくなり、この状況が当たり前となってしまうのです。

物事を考える余裕がない状態にさせた上に、否定行為をします。
人格や価値観の否定をして、Aをどん底に落とすのです。
最後に、新しい価値観(Bの価値観)を刷り込んでいきます。

誰の助けも得られない状態のため、またこれが当たり前の生活と認識しているため、Bから与えられる価値観をそのまま享受します。
それが、間違いであろうとも気づけません。
このような過程をたどることで、人為的に心身ボロボロな人が生まれるのです。

忘れていけないのは、モラハラをしているBは、これらの行為をおかしいとも、人を壊していることも、ましてや犯罪まがいの行為だと1ミリも認識していないということです。

皆様のご友人や知り合いで、連絡が途絶え関係が希薄になった方はいませんか。
何かと理由をつけて交流ができない人はいませんか。
夫婦関係で困っていると話す人はいませんか。
もしかしたら、と思い当たる方はいませんか。
モラハラは、「これはモラハラだ」と気づける人が手助けをすることで、
最悪の事態を防ぐことができるのです。


夫婦間でみられる過程

夫婦間では下記内容が多くみられます。

⒈外界の情報を遮断する
⒉異性との交流を避ける
⒊加害者の自己満足(=支配欲)

自分や交友関係を比較・否定したり、行動に制限を設けたりと、
先ほどのモラハラの過程と同じ流れです。
しかし厄介なことに、夫婦だからこそ、より相手の内面にフォーカスしてくる傾向にあります。

1.外界の情報を遮断するについては、先ほど述べた社会と距離を置かせることに該当します。
自由な外出ができない、働かせないなど、わざと孤立させるようにします。
夫婦間のモラハラは、居住する家から出られないとなると、極端に社会(世界)が狭くなる傾向にあります。働きたい・人と交流したい意思を封じられながら生活するのと、いわゆる専業主婦を希望して社会と距離を保ちながら生活するのは大きな違いです。
夫婦となると、お互いの収入を把握している場合が多いため、ばれないように内職や副業をしても、感づかれる可能性は大いにあります。

2.異性との交流を避けるとは、配偶者以外(=夫)の異性と関わりを持たせないようにすることです。嫉妬とも取れますが、モラハラの場合は相手を信用していない・執着レベルと言っても過言ではありません。

3.加害者の自己満足とは、支配欲と言い換えすることができます。
配偶者を自分の支配下に置くことで、優位になれる・自分がすべてになると考えるからです。人間、付き合いが長くなるにつれて相手の良いことろ・弱いところがわかるものです。加害者はそこを利用して、本人が気にしている部分を抉ってきます。

先ほど記述した、執着という言葉からモラハラをより深く見ていくと、
加害者には、配偶者を自分の所有物・支配したい欲求が生まれていることが多いです。むしろ、そのような気質を持っていた人であると考えることが正しいのかもしれません。
女風セラピストにインタビューをした際に、上記のような状態のお客様のご利用があると聞きます。年代は30代以降が多く、「結婚してから夫が変わった」と悩みを打ち明けるお客様も多いそうです。話を聞いていくうちに、結婚する前から元々モラハラの気質があった人だということがわかるのです。

モラハラに関わる人たち

ここではモラハラをする人(加害者)・受ける人(被害者)の特徴を記していきます。ここに書かれていることがすべてではありませんし、先天的(生まれ持った性格や幼少期の家庭環境)なものもあれば後天的(生きてきた環境・価値観など)なものもあります。
どのようにして、モラハラに関わってくるのか考えてみたいと思います。

モラハラ加害者の特徴

家庭環境
生まれ育った環境で人は良くも悪くも学び育っていきます。
例えば、「男性は働き女性は家にいる」「女性は炊事洗濯当たり前」などいわゆる男尊女卑・家父長制の考えがいまだに残っている家庭に生まれると、男性は女性を使うものという意識が自然と身についていきます。
それらが大人になるにつれて間違った認識だと気づけばいいですが、周囲の環境も男尊女卑・家父長制思考・異性と関わる機会が少ないなど、誤った認識を正せる環境にいなければ価値観や考え方は固定化されていきます。
年を取ったから、結婚したからといって、その人の根幹は残念ながら変わりません。

モラハラ加害者の家族(配偶者の実家)もだいたいそのような考え方を持っています。女性たちがせっせと料理を作るなか、男性たちはガヤガヤ喋り、あぐらを崩すこともなく「あれをくれ」「これはまだか」と指示しては「こいつはどんくさいからな」と見下し笑いあう始末。それでもこの構図が変わらないのは、誰一人としてこの状況がおかしいと思わないないからです。
結婚を考える時に、結婚相手はもちろん、義家族もよく見ろというのは的を得ていると思います。

性格
性格こそ、そう簡単に直せるものではありません。
ましてや、ストレス社会と言われる毎日を生き抜いている人間の性格ですから、私たち一般人よりも(あえてそう言わせていただきます)強靭で柔軟なものだろうと思います。

モラハラが気づかれないことの多くに「外部の人間には人当たりがよい」ことが挙げられます。DV加害者とも似ていますが、被害者の友人や家族・夫婦の共通の友人などには笑顔で時折ヘコヘコ頭を下げます。
そんな姿をみて、その人が妻にモラハラをしているなんて思いません。
そのような「周りを固める・味方につける」ことが、たとえ加害者の作戦でなくてもできているのです。だからこそ、モラハラを受けていると周囲に相談しても、「あの優しそうな人が?」「まさか~」「自分も悪いところあるんじゃないの?」と一蹴されてしまうのです。

もう少し専門的な要素でお伝えすると、モラハラ加害者に多い傾向として「自己愛性(じこあいせい)パーソナリティ障害」が挙げられます。(もちろん他の要因も考えられます)
この、自己愛性パーソナリティ障害には、自分の価値を過大評価しており、また優越感や自尊心を高めるために他者を低く評価する行為等があります。放漫で横柄な性格、相手への思いやりがなかったり自分が絶対であるという感覚を抱いている人は、場合によってはこのような精神障害に該当します。
そのため、本来は周囲のサポートが必要なのは加害者側ともいえるのです。


モラハラ被害者の特徴

自己肯定感の欠如
「自己肯定感」
という言葉は包括的で便利な言葉となりつつありますが、
ここではあえてその言葉を使い、被害者の心象を見ていきます。
なぜ、モラハラ被害者には「自己肯定感が低い傾向が多い」と言われるのか。それは自分自身への過剰な否定感情と、上手く欲求を伝えられない生真面目な性格、そして依存にあります。

家庭環境
正直、家庭環境が恵まれている・難ありの人でも、自己肯定感が低い人はいます。そのため、子は幼少期に親に何を求めていたか・それが正しく得られたかで性格や価値観が育っていきます。
親としては平等に接していたとしても、その時に少しでも「傷ついた」「私は他の子と違う」と感じると、徐々に自信をなくしてしまうようになります。モラハラ被害者はそのような負の感情が強かった傾向にあります。

青年期の間(一般的に11歳から20歳までを指す)は、特に自己の確立が求められます。しかし、この時期は未来に希望を見出したり、劣等感を感じたりと極端な感情・経験をしていく時期でもあります。そのような青年期を通して、最終的に親からの手を離れたときには、自分自身を否定的に思ったり、他人に依存していくようになる人も少なくありません。

他人への依存
私の友人に、過去モラハラを受けていた方がいます。
稼いだお金をそのまま夫に渡し、自分が自由に使えるお金はほぼなし。
当時のことを聞くと、その時は自分がいくら稼いだのかわかっていなかったと言っていました。モラハラだけでなくDVも受けていました。何度も頭を下げて、その場を耐えしのぐ日々。
その生活が数年続いていた理由も、
「必要とされていると嬉しかったから、夫のためになるのなら」。

幸いにも、彼女の様子を見ていた人がその状況はおかしいと判断し、彼女は離婚することができました。現在は一人で十分生きていける預貯金もあります。ただ、その代償としてPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患い、今でもフラッシュバックになるなど加害者からの呪縛にとらわれています。
彼女は外部との接触で現状に気づくことができましたが、それすらできない人もいることを忘れないでください。

私たちができること

改めて、皆様に警鐘します。

皆様のご友人や知り合いで、連絡が途絶え関係が希薄になった方はいませんか。
何かと理由をつけて交流ができない人はいませんか。
夫婦関係で困っていると話す人はいませんか。
もしかしたら、と思い当たる方はいませんか。

そして、あなたは配偶者(またはその他の人)にモラハラをしていませんか。

”外部”である私たちは、第三者の目線で手助けすることができるのです。
夫婦のことだから、家庭のことだからと、当人たちに任せるのではなく、
介入していくことが必要です。

コロナ禍の今、人と人・人と社会の距離を保つことが求められています。
それでも私たちは、「人と社会」に飛び込んでいかなければなりません。
大切な人を守るため、”外部”から接触していくと、その人の「本当の姿」を知ることができるはずです。

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