ギリシャ神話 松果体ヘーラーの嫉妬

ギリシャ神話に登場すり最高神ゼウスの妻ヘーラー、ゼウスの妹でもあります。結婚、母性、貞節の女神である

ギリシャ神話は生物の発生や機能獲得の物語になっていて、ヘーラーは松果体にあたります。
松果体は概日リズムを調整するメラトニンを分泌する器官であり、また古代から第三の目と言われてきた。

松果体

発生過程を見れば、松果体は頭頂眼と源を一にする器官である。
脊椎動物の祖先は水中を生息圏として中枢神経系を源とする視覚を得る感覚器に外側眼と頭頂眼を備えていた。

外側眼は頭部左右の2つであり現在の通常の脊椎動物の両眼にあたる。
頭頂眼は頭部の上部に位置していた。初期の脊椎動物の祖先は頭部の中枢神経系で、つまり今では脳に相当する部分に隣接して存在したこれら左右と頂部の視覚器官を用いて皮膚などを透かして外界を感知していた。
しかし皮膚の透明度が失われたり強固な頭骨が発達するのに応じて外側眼は体表面側へと移動した。
また、外側眼が明暗を感知するだけの原始的なものから鮮明な像を感知できるまで次第に高度化したのに対して、頭頂眼はほとんど大きな変化を起こさず、明暗を感知する程度の能力にとどまり、位置も大脳に付随したままでいた。やがて原因は不明ながら三畳紀を境にこの頭頂眼は退化してほとんどの種では消失してしまった。

松果体は子供では大きいのに対して、思春期になると縮小し、メラトニンの生合成量も減少する。性機能の発達の調節、冬眠、新陳代謝、季節による繁殖に大きな役割を果たしているようである。子供の豊富なメラトニンの量は性成熟を抑制していると考えられる。

松果体は生命の初期から存在し、様々な役割を持っていた事がわかる。ここにヘーラーの嫉妬の秘密がある。

まず、光を感知する器官、つまり熱を帯びるため、焼けやすい。嫉妬しやすい。
だがエウローパへの嫉妬がない。
これは外側眼として視覚の同一の起源を持つためだろう。

だが、牝牛にされたイーオーは違う。
外側眼の発達が、ヘーラーの嫉妬を生んだ。
イーオーは後述するが、光受容体ロドプシンの進化に関わる。

アルテミス、アポロンを産んだレイトーも出産を妨害され、大変な目に遭う。
レイトーは生体内の様々な周期を指しており、そこから生じた太陽神アポロンは昼の活動と24時間リズム、月の女神アルテミスは夜の活動と28日周期を象徴。
概日リズムを支配する松果体にとっては、煩わしい存在である。特にアポロンが難産だったのはそのためである。

ヘラクレスが生まれる際にも妨害するが、これは受精と関係する。性徴をコントロールする役割があるため、受精可能となるタイミングを図らねばならなかった。
ヘラクレスがヘーラーの娘ヘーベーと結婚し、ヘーラーの怒りが解けるのは、青年期に突入した事を意味する。
このタイミングでヘーベーが給仕の仕事をガニュメデに代わるのは、成長期を終えた合図である。

結婚、母性、貞節の女神たるヘーラーは、未熟な状態で交配する事を許しはしなかった。

酒と酩酊の神デュオニソスも出産を妨害された一人。母セメレーは、脳下垂体中葉に位置し、デュオニソスは甲状腺刺激ホルモンほか体内を元気にする作用と関係する。

松果体のメラトニンは、セロトニンから合成されるが、このセロトニンの作用にデュオニソスが関わるため、出産が妨害された。

虹の女神イーリスと季節の女神ホーラたちは、ヘーラーの腹心の使者や侍女の役目を務めたのは、松果体が光の波長、光の日長を感知する特性から来ている。

毎年春になるとカナートスの聖なる泉で沐浴して苛立ちを全て洗い流し、処女性を取り戻し、アフロディーテにも劣らず天界で最も美しくなる。この時期にはゼウスも他の女に目もくれずにヘーラーと愛し合うという。
春は目覚めの季節、つまり朝の光を浴びて松果体は活性化する。

光は、神(の情報)そのものであり、それを感知する松果体ヘーラーと視覚。
伝達された神の意志(光)を発現させるのがゼウス。
視覚の発達は、視覚優位な文明を築いた反面、松果体の役割が失われていった。どちらも大切な機能である。

視覚だけでなく、松果体の活性化がバランス良い発展に不可欠であると思う。






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