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夏休み子ども科学電話相談を聞くと、大人もなつやすみに戻れる

NHK夏休み子ども科学電話相談がとても好きで、最近は出社を遅らせてまで、なるべくリアルタイムで聞く時間を伸ばしている。

夏休み子ども科学電話相談は、もう説明いらないくらい有名な番組と思うが、
子どもの夏休みの期間の午前中、子ども(中学生まで)の自然や科学の質問に、昆虫や動物、植物、天文などのそれぞれの専門の先生が電話で答える、シンプルなNHKのラジオ番組だ。

とにかく、一度聞いてみてほしい。または、Togetterにまとめられているのでまずはそれを見てもいいかもしれない。聞き逃し放送も聞くことができる。
自然や科学に対する子どもの純粋、かつ真理をつくような質問と、科学への愛があふれている先生たちの優しい答えや導き。
聞いていると、こみ上げてくるものがあって、泣けてしまう。科学っていいなぁ、地球ってすごいなぁ、子どもってすごいなぁと思うのだ。

たとえば昨日の質問。
幼虫が好きな4歳の子。
どうしたら蝶々がたくさんきてくれますか?という質問。
先生がていねいに、どんな蝶の幼虫を飼ったのか、その幼虫はどうしたか、なにを食べていたかなど聞いていく。
そうすると、その子がどんなに蝶々が好きで、そのためにどんな植物を植えてがんばっているかが、その子の話からボキャブラリーは少なくても伝わってくる。4歳なのに蝶々が好きな植物にもくわしい。セロリやパセリを一生懸命育てて、蝶々が飛んできてくれるようにがんばっているのが伝わってきた。蝶道というむずかしい言葉も知っている。
それに対して、パセリは花が咲いたあとは葉っぱが固くなって蝶々が食べなくなってしまうから植え替えるといいね、蝶道になるといいね、といったかたちで、先生がやさしく答えていく。

子どもたちは時に、特に4.5歳の子たちはまだうまく話せない。ことばが見つからなくて同じことばを繰り返しながらことばを探したり、じっと考えたり。考えていて相づちを忘れたり。
この、直接の電話相談だからこそのリアル感がぐっとくる。
テレビ番組やYouTubeで、編集されてテンポのよい番組ばかりのいま、こういうコンテンツはないからかもしれない。
ことばが出ない「間」や息づかいが、とてもよい。

先生たちの愛にあふれた話し方もとてもよい。
子どもの質問に対して、答えを出しつつ、みなさん観察と実験をすすめ、考え方をきいていく。
なんでそう思ったの?それはどう思う?ほかの植物や虫はどうかな?じゃあ今度やってみようか、など。
科学を愛する入口は観察と発見なんだなぁ、としみじみ思う。

天文の永田先生は「宇宙人はいい人なの?わるものなの?」という質問に対して、
「地球からほかの星にだれかが行くとした宇宙飛行士。宇宙飛行士は、宇宙船の中でケンカしたら大変だから、みんなと仲良くなれるひとじゃないとなれない。だから、ほかの星から地球に宇宙人が来るとしたら、仲良くできるひとだと思う。」と答えていた。なんてすてきな答え、考え方だろうと思った。宇宙人=侵略、というのは、未知への恐れと、映画などによって作られてしまった考えなのかもしれない。

アナウンサーの藤井さんもとても上手だ。質問の意図やなんで疑問に思ったのかをていねいに聞き出して先生にバトンを渡し、そして先生の答えを聞きながら、子どもが理解しているか確認したり、時に「全国のおともだち」代表として、さらに質問したり、解説を付け加えたりしてくれる。

ダイオウイカはどうやったら釣れますか、人間は男女で顔が違うのにイヌやネコはなんで違いがないんですか、カブトムシの幼虫はなぜ硬い土の中から出てこれるのか、地震はなぜ動物は予測できるのに人間はできないのか、などなど…

ふだん当たり前と思って疑問に感じなくなってしまった、自分のかたくなった頭に気がつき、
地球や自然、科学の面白さに気がつく。
大人も「なつやすみ」にもどれる、そんな番組だと思う。

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