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そろそろ強い女がモテる時代が来てもいいでしょう?

※このエントリは梨泰院クラスのネタバレを含みます
※原作漫画は読んでいないのであくまでもドラマの話とご理解ください

いよいよ来週から長い育休を終え、仕事に復帰する。最後の楽しみとして、流行りの「梨泰院クラス」を鑑賞したのだが、色々と考えさせられたので今日はそれを書いていく。

青年の復讐劇「梨泰院クラス」

梨泰院とは韓国の地名である。ソウルの龍山地区にあり、外国人観光客が多く訪れる賑やかな繁華街だ。
その街で居酒屋を開店した主人公とその仲間が「韓国No1」を目指して奮闘していく。

それだけを見ると爽やかな青春ドラマっぽいが、この物語の核は「親の仇をうつための復讐物語」である。

父とふたりで暮らす主人公のセロイは、曲がったことが大嫌いで、警察官になることを夢見る誠実な青年だった。
ところが、高校を転校したことにより運命の歯車が狂い始める。
転校先のクラスには、父が所属する韓国一の飲食大手「長家」の社長の息子がいた。

この辺はTHE韓国ドラマという感じなのだが、この社長の息子が絵に書いたような「クソ野郎」で、権力を振りかざしクラスメイトを虐めていたのである。
誰もが逆らず見て見ぬ振りをしている中、正義感の強いセロイは果敢にその苛めを止めに入る。
そして結果、社長の息子を殴り退学になってしまう。
それどころか、その一件をきっかけに父まで職を失ってしまうのである。

父は叱るどころか「お前はカッコいい」とセロイを肯定する。めちゃくちゃいいお父さんなのだ。
退職した父と退学したセロイは、父の夢だった飲食店をオープンしようと計画する。
さぁ、これから第二の人生がはじまる…という矢先、なんと父がひき逃げにより亡くなってしまう。
この犯人がまさかの、あの「社長の息子」であったのである。

彼と、父である長家の社長は金と権力でその事実を隠蔽する。
そしてその事実を知って我を失ったセロイは、社長の息子を殴り殺そうとする。
すんでのところで止められたが、彼は暴行と殺人未遂で刑務所へ…

中々重たいストーリーである。前半はかわいそうすぎて見てられない。

刑期を終えたセロイは、父の保険金とキツイ労働で貯めたお金で、梨泰院に父の夢だった居酒屋「タンバム」を開く。
同じ飲食という土俵で、憎き「長家」を倒すために。

これが梨泰院クラスの概要である。

初恋の人と、新たな出会い

話のメインはこの復讐劇なのだが、梨泰院クラスでは「仲間との友情」そして主人公と彼らの「恋愛」も重要なストーリーとして描かれる。

主人公セロイは高校の同級生だったスアに恋をし続ける。孤児だったスアをセロイの父が娘のように可愛がっていたという縁もあり、ふたりは距離を縮めていく。
父の死、逮捕により長い間会えなくなってしまうが、セロイは一途に彼女を思い続ける。

「タンバム」を開いた後、セロイとスアは再会する。スアはセロイの服役中に、まさかの「長家」に就職しており(この辺が見終えた今でも、なんで???と意味不明感はある)再会した時には、出世して企画室長になっていた。

立場としては敵同士になってしまったわけだが、セロイは変わらず彼女に好意を持ち続け、またスアもその気持ちは同じであった。(ちなみにドラマでスアを演じる役者は元アイドルの超美人。中条あやみとヨンアを足したような顔立ちで、ひたすら眼福)

そんな中、物語の超需要人物となるイソがタンバムに入店する。
ひょんなことからセロイと出会ったイソは、トップ入学を果たしていた大学を諦め、タンバムで働くことを決める。
セロイに恋をしたからだ。
イソは「セロイに人生をかける」と宣言し、宣言通り身を粉にして働き続ける。
セロイより10個も年下で妹キャラなのだが、優秀さは抜きん出ており(そもそも天才児という設定)タンバムにとってなくてはならない存在になっていく。

スアとイソの性格は対照的だ。
同じく仕事ができてサバサバはしているが、どこか一歩引いたような印象を見せるスアと、「え?そこまで言っちゃう?」と引くほど酷いこともガンガンストレートに言うイソ。

物語の前半は完全にスアがヒロインである。
(というか、ヒロインでしかありえない美貌)
惹かれあっているのに、立場の違いにより距離を縮められないふたりのもどかしさ、あーこのふたりにどうか幸せになってほしい!
そう思う視聴者も多いと思う。

だが、途中から私はいつのまにか「イソ推し」になっている自分に気がついた。
スアとくっつくんだろうなぁ〜どうせイソは当て馬でしょ〜と思いつつも、気付けば毎話「イソがんばれ!」と応援してしまう。

なぜだろう。
イソがどれだけセロイにアプローチしても、セロイの気持ちは変わらない。
はっきりと「僕はスアが好きだ」「もう僕のことを好きになるな」と振られてもいる。
だけど、イソは諦めない。
「社長(セロイ)には、私が好きでいることを諦めさせる権利はない」と、ものすごくタフなのである。
そしてセロイのためだけに、過労で倒れるほど働き続ける。
仕事を頑張るのは、「それを無くしてしまうと、自分が彼を好きでいる資格すらなくなってしまう」とイソが同僚に告白するシーンは健気さに涙を誘われた。

だが、彼女もただただ強いわけではない。
振られた日には声を上げて道端で泣き崩れる。
何度も何度もセロイとスアの気持ちを前にして、心を痛めているのだ。

何でもハッキリズバズバ言うイソは、スアに対しても容赦ない。敵対心剥き出しである。
だが、スアの言うことにも耳を傾けて自分を変えようと努力もする。

共にセロイのことが好きでありながら、セロイの真っ直ぐさを「理解できないから、長家に居続けるスア」と「理解しようと自分を変えるイソ」の愛し方は対照的に描かれる。

そしてついにイソがスアに言うのである。
金持ちになってこい、私を苦しめる長家を潰せ。あなたは何もしないでお願いばかりしてる」と。
セロイは敵の立場でありながら、複雑な心境を持ち続けて長家で働くスアを、長家を倒すことで解放してあげようと思っていた。

そこをイソはズバリと突くのである。
いや、アンタは待ってるだけなの?ずるくね?と。

よく言った、イソ!!!!!
このセリフを聞いて、私はイソ推しの理由を自覚した。
そしてスアのような女性に対する、自分の嫌悪感にも気がついたのである。

へこたれない強い女?守ってあげたい女?

イソほど優秀でもストレートでも粘り強くもないが、私はどちらかというと完全にイソタイプの女性である。

この人だ!と決めた人のためなら何でもすると決めているし、彼に守ってもらいたいというより、支え合いながら一緒に歩んでいきたいと思っている。

この傾向は若い時から変わらなくて、そのせいで何度も悔しい思いをした。
やっぱりどこかで男性って「守ってあげたい女」が本能的に好きだよね?と何度も思った。

○○ちゃん(私)って雑草みたいだよね」と言われたこともあるし、「お前は1人でも生きていける」と突き放されたこともある。

一番辛かったのは、二者択一の場面で、明らかに心が通じ合っているのに「お前のことが大好きだけど、あいつは俺が支えてあげないとダメなんだ。死んでしまう」と言われて振られたことだ。

私は女としての勝負や気持ちで負けたのであれば、いさぎよく身を引く。
だけど、相手も自分のことが好きなのがわかっているのに選ばれないというのは意味がわからなかった。

私は強くありたいと思って生きてきた。
恋愛はしたいが男に依存する気はないし、精神的にも経済的にも自立した女性を目指してきた。
でも、選ばれないかもという不安の中で、傷つかなかったわけではない。
傷つき苦しむけれど、それを乗り越える努力をしてきただけだ。
なのに何にもしないで泣いてばかりいて、「私はあなたがいないと死んじゃう」とすがる女に負けるわけ??? 
そんなの全然フェアじゃない。

イソとスアを見ながら、私は自分自身を重ねていたのだ。
どんなに辛くてもへこたれず、努力し、愛するセロイを「幸せにしよう」と奮闘するイソ。
「私はキープなの?」と事あるごとにセロイに気を持たせる発言だけしておきながら、自分は何もしないスア。
このドラマでスアが選ばれていたら、私はずっとモヤモヤを抱えていただろう。

いつか幸せにしてね」「私を救ってね」というスアとのハッピーエンドじゃ報われない。
私が夢をかなえてさしあげます」と言い切って、有言実行、セロイの夢をかなえさせたイソが選ばれるべきだ。
選ばなかったら、お前の目は節穴だぞ!!!と途中からセロイに怒りすら感じ始めていた。

そしてこのnoteを書いていることからわかる通り、最終的に大逆転でイソが選ばれる。
これにはかなり「スッキリ!!!!!」した。あー本当によかった!とドラマの話なのに、自分まで報われた気分になった。

強い女であれ。強い女を選ぶ強い男であれ。

自分を肯定するわけではないが、私は人は強くあるべきだと思っている。
パートナーや親に依存するような生き方は、身を滅ぼすし、相手も傷つける。
「幸せにしてね」と自分の幸せを、誰かに任せるのなんておかしい。

幸せになりたいのならば、自分が努力しろ。
そして、幸せにしてもらいたいと思うのではなく、「誰かを幸せにしてあげよう」と思い生きよう。

そしてどうか、そんな女性が選ばれる世の中であってほしい。
守ってあげたい系女子ではなく、あいつ自立しててカッコいいよな!と、強い女性がモテモテになる世の中になることを心から望む。

ね、もうそんな時代でしょ?

本代に使わせていただきます!!感謝!