#4 マネジメント技術 「投げる」「振る」「渡す」の違い
はじめに
仕事の依頼について、マネジメント側の観点も書いて欲しいとリクエストをいただきまして、今回は「仕事の受け方」ではなく、「仕事の出し方(依頼法)」について、QCDとは別の観点から説明できればと思います。
「仕事の受け方」についての解説は下記をご覧ください。
三種類の依頼方法
仕事の依頼については、「投げる」「振る」「渡す」の3種類があります。
①投げる
・依頼内容や簡単なやり方のみを伝えるパターン
・即時処理できる内容に使われることが多い
・「○○様に今日中にメール送っておいてください」
「○○の提案書作成を1週間後までにお願いします」等
②振る
・依頼内容や詳しい方法(段取り)とともに、業務ゴールを伝えるパターン
・短時間でも打ち合わせを通して詳細に依頼することが多い
・「○○の提案書(企画書)作成を1週間後までにお願いします、
提案骨子はこちらで、ゴールは■■です。主な段取りとしては・・・です。
1週間までに完成なので、3日後の時点では一度チェックさせてください。
の時点で、△△までは完了しておいてもらえると助かります」等
③渡す
・依頼内容、方法(段取り)、業務ゴールに加え、
業務の目的背景や実行者にとっての意義を伝えるパターン
・担当者が背景を詳細に理解することでズレが生まれにくい、
また業務の意義や価値をより感じ取れるように依頼することが多い
・「○○の提案書/企画書作成が必要になった背景には、
経営者が現場の皆さんにプロジェクトの価値と流れを理解してほしい
という想いがあります。先方の士気向上を意識して進めてください」
・「提案書を作成する中で、本テーマの知見を得て、次回以降
経営者への価値発揮ができるようになってください。また、
情報の整理の仕方が問われるので、その精度を高める機会にもなるので
この機会をうまく活かしてくださいね」等
「投げる」ことは悪いのか?
上記のとおり、「投げる」→「振る」→「渡す」の順番で、より丁寧になります。
常に「渡す」が求められるということでもなく、タスクの性質を前提に、相手の能力や状態に合わせたアプローチが大切です。
「投げる」「振る」という言葉がいささか乱暴な物言いでネガティブに聞こえるかもしれませんが、「投げる」こと自体は悪いことではありません。「ゴールや段取りは自分で考えてください」という依頼でもあり、相手への信頼を基にしているケースもあるわけです。
一方で、本来は、「振る」べき業務を、「投げてしまっている」ケースは散見されるので注意が必要です。部下の手が止まってしまい業務が進まない、提出されたアウトプットが期待値に届いていない ということに直面した上司は少なくないはずです。
業務がうまくいかなかった際に、上司の依頼方法のミスである可能性も十分に考えられます。その場合、部下の能力不足ではなく、上司の能力不足=仕事の出し方の精度不足なわけです。
プレゼントとしての業務
「渡す」の丁寧さは、メンバーのモチベーション配慮から来ている側面も強いです。
同じ業務を依頼しても、イキイキと取り組むメンバーもいればそうでないメンバーもいます。“お金を頂戴している仕事なのだから、モチベーションの話に逃げるな“というプロフェッショナルからのお言葉はそのとおりです。
一方で、現実的には、人間は常にモチベーションに左右される実態があり、その現実を見つめれば、業務の意義づけによるモチベーション向上は、マネジメント層にとって必要不可欠なスキルだとわかります。(自身のモチベーション維持の観点においても重要)
人間の性質として、「なぜ・なんのために」を問い続けるということがあります。日々、メンバーは「お客様にとってどんな価値があるのか?」「この業務に自身の成長やキャリア開発の為に何の意味があるのか?」と考えながら、業務を進めているわけです。「渡す」とは、そうした問いに答える依頼方法と言えるでしょう。
“業務とは、自身が成長発展する為、そして、お客様に喜んで頂くことで自らも幸せになる為のプレゼントである“ と理解しましょう。そして、そのようなプレゼントは“渡す“もののはずです。決して、自身の成長の為だけではダメですが、前者の観点も重要だということも頭の片隅に入れて頂けたら幸いです。
おわりに
本日は、「仕事の出し方(依頼方法)」について記載しました。
三種類の業務依頼について意識しながら、取り組んでもらえたら嬉しいです。
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