見出し画像

『人生を変えてくれた上司との出会い』

あなたが信じてくれたから、私も自分の可能性を信じられるようになった。

3年前、私は心の底からそう思える上司に出会いました。
彼との3年間で沢山のことを教えてもらったからこそ、それを言葉に残しておきたいと願い、このNoteを綴ることにしました。

Inteviewed by 石井彩
Photo by kuppography in IWAI OMOTESANDO

「可能性を信じる」という言葉をよく耳にしますが、本当の意味で「信じる」とはどういうことなのでしょうか。「信じる」ことは相手に期待し見返りを求めることではなく、自分が相手と能動的に関わっていくことで関係性を紡ぎ、初めて生まれるもの。そんなことを、このインタビューを通して感じます。「分かり合えない」ことを超えた先に「絶対わかり合える何かがある」と可能性を信じて向き合ってくれた人がいた。その先に、仕事の成長、人としての成長を感じ、家族との関係性まで変わっていった。見える世界が、彼と出会う前とまるで違って見えた。上司と部下という関係を超えた、上司の方と石原さんの歩みをロングインタビュー形式でご紹介します。

インタビュアー 石井彩

ー今回インタビュー記事を通して想いを形にしたいと思ったのはどんな理由からですか?

2024年3月末で今の職場 グロービスを卒業して、次の会社に転職します。このタイミングで、これまで入社以来ずっとお世話になってきた上司との思い出を風化したくなくて。仕事を超えて自分の人生にとって数多くの影響を与えてくれた彼との出来事を残しておこうと思ったんです。彼と仕事ができたことがあまりにも尊かったので。

ーそんな素敵な上司が...!詳しく教えてください。

始まりは入社してから1年半ほど経った頃。さらなるチャレンジがしたかった私は、新規事業室への異動を希望しました。ただ異動は簡単なことではなくて、その時に助けてくれたのが彼でした。
正直に悩んでいると伝えたときに、忙しかったはずの彼から「いっしー今どこにいるの?」と飛んできてくれて、そのまま一緒に飲みに行ったんです。
そのときに「やっぱり僕は一緒にやりたいです」と思いの丈をぶつけたら、「どんなことがあっても俺が支えるから、一緒にやろう」って言ってくれたんです。ちょうど彼が率いることになる新規事業チームが新しいプロダクトをローンチする4月を間近に控えた1月頃でした。

ー大変なスタートだったんですね!

新規事業は作りたてのサービスだからこそ、目の前のお客さんを120%満足させようと思うと自信がなくなって売れなくなってしまうことがあります。お客さんのことを本当に満足させられるのか?と思ってしまう。そんな時に彼はただ頑張れと伝えるのではなく「どんな前提があるのか?」から理解してサポートしてくれました。何とかお客さんを幸せにしたいと願う私に、
「新規事業のように未来を作る仕事って、ただ今ある価値をお客さんに届けるだけではなくて、価値を一緒に作ってくれるパートナーを探すことだと思う。今現在の新しいサービスで目の前のお客さんを120%幸せにすることは難しい。でも信じてくれたお客さんと一緒にプロダクトをより良くしていくことで、結果として価値を返せるようになる。そして、そんなお客さんがいてくれるからこそ、次の10社、50社、100社を幸せにできると思うんだ。お客さんの満足を大事にするいっしーだからこそ、サービスを牽引できる力をつけて、お客さんと一緒に作っていってほしい。」と伝えてくれました。
その出来事をきっかけに、営業だけでなく、カスタマーサクセスや事業開発、プロダクトの企画まで、どうやったら全てに関われるだろう?と行動が変わっていきました。
そして、常に彼はそこにチャンスをくれました。3ヶ月に1回職種が変わるような目まぐるしさで大変でしたが、この経験がなければ今の自分はいません。

ー元々プロコーチとして活動されてきたこともあり、目の前の方の幸せは大事にされてきた。それに加え、将来何人の人を幸せにできるんだろうか?という視点も持てるようになったんですね!

はい。新規事業においては初期は特にプロダクトだけでなく、人も介在して顧客満足を作りながら、未来のサービス作りをお客さんとする。それが未来を作る。そう思えるようになったんです。

ー素敵なエピソードですね。石原さんはリーダーも経験したと伺いました。大変なことはありましたか?

彼から貴重な機会を沢山いただきましたが、その一つがリーダーという役割でした。
しかしそれは簡単なものでは到底なく、本当に転んでばかりでした。
ビジネスチームのリーダーとして仕事を任せてもらった当初、チームメンバー全員からフィードバックを貰ったことがあったのです。(苦笑)

当時彼から、「みんながいっしーを信じて言ってくれたフィードバックだから、伝えるね。絶対乗り越えられるから向き合ってほしい。」と直球で伝えてもらいました。
”リーダーはこうあるべき”と自分がいかに勘違いしていたのかを痛感しました。その出来事をきっかけに、メンバー全員と1on1をしながらリーダーとしての在り方を見直していきました。彼はもちろん、当時のメンバーには本当に感謝しきれません。自分を育ててくれたのはみんなだと強く感じています。

ーすごく葛藤を感じていたんですね…!

そうですね。
それから半年後プレイヤー業務とリーダー業務の両立が難しくなり、リーダー業務が回らなくなって限界を感じていたこともありました。
年末年始に仕事から離れた時には、悔しさで涙が出るくらいで。そんな時も忙しい中で彼に時間を作ってもらい、話をさせてもらいました。
正直、その時は自分でできないことを認められない自分がいました。それでも信じてくれていた彼だったからこそ、業務を剥がしてほしいと伝える決心をしました。
どんな声をかけられるか、気が気ではありませんでしたが、開口一番に
「これを伝えることは、ものすごく勇気がいることだったと思う。苦労させたね。自分を信じて、本音を伝えてくれてありがとう」と。
「まずは自分が全力が出せると思った範囲で、リーダーを担って欲しい。でも、いっしーなら必ずできるようになるよ。」と力を貸してくれました。
悔しかったのと同時に、「こんなリーダーに必ずなりたい。恩を返したい。」と感じるエピソードでした。

彼の責任者としてのあり方を見ていると、根本が感謝と愛情に溢れている人だなと思うんです。
部下に対しても「ただ”アサインされたメンバー”ではなく、社会、そして会社の中で”自分の元を選んでくれた仲間”。だから、自分ができる全てを尽くして彼らの可能性を広げる力になりたい。それが彼らへの恩返しだと思ってる。」と。
そして、会社に対しても「僕たちは、新規事業という掛け替えのないチャンスをもらって、ここで働かせてもらっている。これは奇跡みたいなことで、心から感謝を持って向き合ってほしい。」と。
言葉にするだけではなく、心の底からそう信じているからこそ、一挙手一投足に宿る。そういうことを教えてくれました。彼の隣で成長できたことは、私にとっての大きな財産です。

ー本当に、根本が感謝と愛情にあふれている方なんですね。

もう一つ思い出深い話があります。自信についての考え方です。
彼に以前「いっしーはどこに自信を持ってるの」と問われたことがあるんです。事業開発にアサインしてもらった当初、思うようにいかなくて落ち込んでいる時に「どこに自信持ってるの?成功している自分?その先の成果?」と。

その時掛けてくれた言葉は今でも大事にしています。
「もちろん成果に自信を持つこともできるけど、上手く行ってない時に揺らぐよね。でも、いろんな壁があったり、変化が求められたりした時に、それを諦めずに変わり続けてきたってことを俺は知ってるよ。どんなことがあったとしても、自分がどう変わるべきか、変わりたいかを考えて、変わり続けられる、諦めないでいられる。そんないっしーの”あり方”に自信を持ってほしいな」と。

もちろん本当の意味で理解するのには時間が掛かりましたが、彼が信じてくれた自分だから、信じることを始められるようになりました。
だからこそ、私も誰かの可能性を、信じることで開いていこう。今そう思っています。

ー「誰かの可能性を、信じることで開いていこう」素敵な言葉です。上司の方とは人生にも大きな影響を与えてもらったと伺いました。どんな出来事があったんですか?

はい。彼には仕事面だけではなく、人生においても大きな気づきを与えてもらいました。
異動した初年度。年間のフィードバック面談で「いっしーの”優秀であり続けなきゃいけない”っていう切迫感や、ミスすることを恐れる姿勢。それは過去のお父さんとの経験から来てるんじゃないかな。」と言われたんです。当時から過去の葛藤については彼に話していたのですが、彼自身もお父さんと本気で向き合った結果、分かりあえた過去があったんです。そこにあるものを知っているからこそ「いっしーにも向き合ってもらえたら嬉しいな」と伝えてくれました。彼からの言葉だったからこそ、向き合えた自分がいました

ずっと分かり合えなかった父と、彼のひと押しのお陰で向き合うことができて、「分かり合えない」ということを超えた先に、「絶対わかり合える何かがある」って思えるようになったんです。

この経験を通じて、誰かと分かり合いたいと思ったときには、信じて踏み込むようになりました。今でもそれ自体は怖いけど、分かり合える道がきっとあるんだ、と信じられるようになったんです。

ー「絶対わかり合える何かがある」素敵な言葉です。

ある時、彼からとある社会人塾の最後にあるプレゼンテーションを見に来てほしいと頼まれたことがあって。その時に「自分はずっと仲間が欲しくて、ずっと一緒にいる誰かが欲しかった。 そしてそれが自分の原動力だった。でも今は自分の周りに一生一緒にいてくれる仲間がいるって分かってるから、それだけで強くなれる。」そう話していて、心から共感したんです。あぁ、この人もまた、深いところで同じ思いを宿していたからこそ、ここまで深くわかり会えたのかなって。

話は変わるんですが、先日(2024年1月)CRAZYのIWAIで結婚式を挙げまして、その時にゲストにキャッチコピーをつけたんです。
そこで彼には「人々が幸せに生き生きと働く社会を愛と感謝を忘れずに導く主人公」とつけました。それくらい情熱と愛情に溢れた人なんです。
式では”自分の可能性をずっと信じてくれたあなたへ”という題名で手紙も書いたのですが「俺の可能性をずっと信じてくれてたのもいっしーだよ。」と言葉をかけてもらったことは、私の宝物です。
私にとって上司という言葉では語りつくせない人です。彼と共に当時10人ほどだった組織が50人近く人になるまで一緒に走ってきて、仕事のスキルも人生のことも、あらゆる面でお世話になりました。

ー「彼が信じてくれた自分だから信じられるようになった」これも一つの自信の持ち方ですね。

はい。これまで自分は責任者という立場には興味がなかったんですが、彼から人生を豊かに、幸せに生きるヒントをもらって、次は自分の番だなと。

自分が今度はリーダーとしてそれを伝えていきたい。
全員が自分のあるがままで生きて輝けるようなチームを作る人になりたいと思うようになりました。彼のお陰で、私は自分のことを信じられるようになったので、今度は皆が自分自身を信じられるように、私から信じていきたいと思っています。

ー本当に人生における大きなターニングポイントだったんですね。最後に、上司の方に伝えたいことはありますか?

2つあります。

1つは、あなたが可能性を信じてくれたからこそ、僕は、自分の可能性を信じられるようになったということ。これは、何度でも伝えたいことです。
この3年間があったからこそ、僕は誰かの可能性を信じて生きていきたい、人の可能性に火を灯すような人生や事業を作っていきたいって、心の底から思えています。

もう1つは、僕は転職という道を選んだけれど、彼と異なる道を選んだとは全く思っていないということです。今後作っていきたい世界は、2人とも同じなんじゃないかなって。それを別々の場所で成し遂げるという違いだけ。だからこそ、もしかすると今まで以上に近い存在になるかもなという感覚すらあります。

だから、これからも一緒に歩いていけたら嬉しいです。
でも、先ずはこの3年間、本当にありがとうございました。

大好きな上司であり、仲間であるナカケンさんへ。


記事の作成に至っては、以前から友人であった石井彩さんに、言語化から記事の作成まで、沢山の力を貸してもらいました。本当にありがとう。
<石井彩さんのインタビューサービス>
https://coconala.com/users/1575365


この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?