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2021年の100冊 #27 「となりのイスラム」(内藤正典)

イスラム教についてどんなイメージがありますか?

女性のスカーフやヴェール、豚肉が食べられない、1日5回のお祈り、はたまた、テロや戦争・・・?

2021年の100冊、ジャンル問わずとにかく本を読んで勉強することを目的に開始。ログはスマホで20分で書き上げることを目標にしています。
(15分ではなかなか書けないので目標を緩めました。いつも30分以上かかってます)

2021年3月17日、27冊目はこちら。

仲良くやっていきましょう。

この本は、イスラム国(ISIS)によるテロが世界中で激化した最中の2016年に、東京大学大学院の社会学者・内藤正典氏によって書かれました。

テロや紛争の背景など歴史や時事問題に触れながらも、イスラム教とは、イスラム教徒とは、をやさしい言葉で解説してくれています。

みなさんの頭のなかにある、「イスラムは怖い」という思い込みを解いていこうと思っています。(まえがきより)

帯に、「仲良くやっていきましょう。」と書かれていました。

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の「神」は同じ

イスラム教は、キリスト教・仏教とともに世界三大宗教のひとつで、世界の人口の1/4がイスラム教徒といわれています。イスラム教というとイランやシリアなど中東のイメージがありますが、アジアではインドネシアやパキスタン、バングラデシュ、アフリカではナイジェリアやエジプトなどはイスラム教徒が多い国です。

イスラムとは、唯一絶対の神アッラーに従うことです。

イスラム教は、キリスト教の600年後に生まれました。ここが日本人にはよくわかりにくいポイントだと思いますが、キリスト教、ユダヤ教とは唯一神を共有しています。

神はひとりですが、それぞれの宗教に「神のメッセージを人間に伝えた人」である預言者がいます。ユダヤ教の預言者はアブラハムやモーセ、キリスト教の預言者がイエス、そしてイスラム教の預言者はムハンマドです。みんななんか聞いたことがある名前ですね。

ひとりの神が伝えたメッセージを、別々に信仰していると考えるとわかりやすいかもしれません。

(なので余談ですが、イエス=神ではありません。イエス=預言者=人間です。イスラム教の神アッラーは、キリスト教では”God”と呼ばれています)

理解したい

現在イスラム教徒が9割の国にいて、日常でイスラム教について意識せずには生活できません。

些末なところでいうと、男性社会なので服装には気を使うし、なんなら街なかはびっくりするほど男性だらけ。お酒は売っていないし、豚肉は食べられないし、朝5時半からスピーカーでコーランが流れるし、と日常でカルチャーショックはあります。

でも信仰深い人も多いし、神の教えに従うことが文化となっているので、どことなくやさしい人が多いのです。全力でもてなそうとしてくれたり、言葉が通じなくても心の細かい機微を感じ取ってくれたり、外国人である私の生活面にも気を遣ってくれたりします。

体調を崩したときに、こんなメッセージをくれた同僚がいました。

You suddenly fell ill, we were all worried, I and all my team are praying to Allah for your early recovery. May Allah help you for quick recovery, we will pray wish for you, please take care.
意訳:あなたが突然気分が悪くなったと聞いて、私と私のチームはみんなとても心配していて、みんなであなたの回復をアッラーに祈っています。アッラーがあなたの回復を助けてくれますように。

ベッドの中でとても感激しました。

本書では中東の紛争やヨーロッパでの扱い、難民、イスラム国によるテロについての解説もありました。特に難民については日常で意識することもないのでどこか他人事でしたが、政治的理由でなんの罪もない人が国を追われ、居場所がなく、苦しい生活を強いられていることはとても心が痛いことなのだと、わずかにでも感じることができました。

この読書ログでは深入りしませんが、難しい解説本ではなく本当にやさしい言葉で書かれているので、宗教について知る入り口として良書だと思いました。

(noteログ40分)


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