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晴海フラッグ入居者の保育ニーズは、近隣の新設保育園/こども園で足りる? - 過去のデータからシミュレーションしてみた

はじめに - 晴海フラッグの保育ニーズは?

 先週、来年度の保育園申込のご案内が公開されました。来年度に向けての大きなトピックは、晴海フラッグの入居が始まること。2024年1月から順次入居する予定になっていて、その数は全部で4,177戸。

 このインパクトはかなり大きなものです。というのも、現在の月島エリアの世帯数は4万程度であるため。現在の世帯数に対して突如として10%増えるということになるわけです。

 もちろん、この入居に向けて近隣エリアには保育園、こども園などの保育施設が準備されています。具体的には以下の3施設。

・ポピンズナーサリースクール ららテラス HARUMI FLAG
・ポピンズナーサリースクール HARUMI FLAG PORT VILLAGE
・渋谷教育学園 晴海西こども園

 ここでの懸念としては、これらの保育施設の定員で晴海フラッグ入居者の保育ニーズを満たすことができるのか?という点。この点についてはすでに別の方が実施済ではありますが、いくつか追加のデータも追加して、シミュレーションをやってみることにしました。


推計の前提

 細々とした説明はマニアックなところなので順番として後回しにしようと思いますが、結果だけが独り歩きしちゃっても困るので、軽く前提についてお示ししておきます。

前提1:晴海フラッグ入居者&新設3園に特化していること

 今回の推計は、「晴海フラッグ入居者が、晴海フラッグ近接の新設3園に入ることができるか」という点についてのものです。要するに、その他のエリアの人たちを対象としたものではなく、入居者が新設3園以外に入れるかどうかを予想するものでもありません。若干遠くはなるものの、近隣の施設を選択肢に含めれば利用できる確率はもちろん上がります。

前提2:あくまで個人としての見解であること

 現在の立場は「区議会議員」ですが、この推計は区としての公式見解ではありません。細かい説明は省きますが「区議会」と「区」とは別個の立場で、この推計もあくまでわたしが各種データを集めて個人的に発信しているものです。この推計について区の窓口に問い合わせたりしても何も回答はしてくれません(多分)。

前提3:結果を約束するものではないこと

 今回の推計はあくまで推計で、最終的な結果をお約束するものではありません。入居者の家族構成や世代、コロナ禍における利用自粛からの回復傾向など色々と不確定要素がある中で、過去の傾向を踏まえてひとまず出してみる、といった性格のものです。

 これらの要素の変動によっては大きく外す可能性がありますのでその点はご容赦ください。ただし、どのような考えやデータに基づいて推計しているのかについては後段にお示しします。こういう観点も入れるべき、といったお考えがあればぜひコメントください。

推計の結果

 さて、前置きはこの程度にして。推計した保育ニーズの結果をまとめたのがこちらの画像です。

 縦軸が「歳児クラス」で、横軸が「人数」。そして、ピンクのダイヤが各歳児別での定員の数で、推計によって導き出した歳児クラスごとの保育の保育ニーズの値を範囲として示しています。

2023/09/27追記) さっそくご指摘をいただきました。以前に報告を受けていた定員数を元に図を作っていたのですが、直近で配布された利用案内では3-5歳児の定員枠が縮小されていたようでした。結果としては下記となります。考察等の文面は後に修正しますが、取り急ぎ。

晴海フラッグ入居者の近接保育園利用可否のシミュレーション(修正済)

2023/10/25追記) 保育園担当部署より通知があり、3歳児以降で定員が増えましたので修正します。カッコ書きは変更前の数字です。

 「0歳児」を例に挙げると、定員の数は「21」。一方の保育ニーズの推計値は最小で「27.7」、最大で「38.6」になるだろうということを表しています。この場合は定員の数が保育ニーズの推計の範囲よりも少ないので、定員よりも保育ニーズの方が多くなりそう、つまり待機児童が出る可能性が高いということです。

 1歳児以降については推計の範囲内に収まっていますが、希望する方がみんな利用できるだろうと安堵することはできません。推計の範囲内のどこに落ち着くかはフタを開けてみるまで結局は分からないためです。「1歳児」で言うと定員は「83」に対して最小の「78」であれば希望者が入れますが、最大の「93」であれば当然に一部の方は待機児童となってしまいます。

2023/10/25追記) 今回の定員増によって、1歳児から3歳児までは推計の範囲に収まることになりました。範囲の中での位置にはバラツキがもちろんあることから範囲内のどこに落ち着くかは安心できないものの、定員を増やしていただいたのは素晴らしいことです。

結果の考察

 一部の方が待機児童になるということは、それは利用指数、つまり保育園利用にあたっての必要性をポイント化したものの戦いの中で勝敗が分かれるようになるということです。となった場合、実際のところ自分たちの家庭のポイント状況で、保育園が利用できるのかどうか?という点こそが皆さんの関心あるところかと思います。

 この点について、「結果の考察」として各歳児クラスにおいて当落のラインがどのようになりそうかという点について最後に書いておきます。今回の推計の結果と過去の利用調整結果も考慮した上での予想になりますので、ひとつの目安としてお考えください。


 なお、過去の利用調整結果は中央区のWebサイトから確認できます。各施設ごとに、入園できた人の中での最低点数を調べることができます。

利用調整結果最終順位表

 この解釈の仕方について軽く説明しておきます。「40」と書いてあった場合にはその施設に入園できた家庭の利用調整指数が40点だったことを意味しています。こう書くと「そのまんまやんけ」なのですが、重要なのは40点が最低点数だった場合、40点である家庭全てが利用できたわけではないという点。

 基本的な考え方として指数が多い家庭から決定していって、定員が埋まれば残りは不決定となります。図示するとこんな感じです。

保育園の利用調整のイメージ

 上記の図のとおりで、決定できた人の最低の調整指数が「40点」であったとしても、「40点」の人全てが決定となっているわけではないのですね。No.9,10,11の人は不決定です。

当落ラインの予想:0歳児の場合

 まずは、0歳児の場合。定員の枠が少ないことから、もっとも競争率が高くなりそうです。

 とはいえ、41点以上であればこれまでの月島エリアの私立認可保育園やこども園の結果を見る限りは落選ということにはならないのではないかと思います。

 一方で、40点だと当選落選を決めるのは優先順位。この中での上位のみが当選ではないかと予測します。

当落ラインの予想:1歳児の場合

 次に1歳児。多くの家庭ではこのタイミングで育休から復帰することから例年激戦となっています。

 ただし、定員の枠が「0歳児」と比較すると増えていることから、41点以上はもちろん、40点の中での優先度:中位程度くらいまでは当選できるのではないかと思います。

当落ラインの予想:2歳児の場合

 2歳児。既設の園の場合には1歳児クラスからの持ち上がりの子が多く定員の空きが少ないため、何気に厳しい戦いになってたりしますが今回は新設園。

 「1歳児」の場合と同様、40点の中での優先度:中位程度くらいまでは当選できるのではないかと思います。

当落ラインの予想:3歳児の場合

 今度は3歳児。3歳児になると幼稚園という選択肢が増えることから、競争は緩やかになってきます。

 40点以上であれば大半は当選できるのではないかと考えます。場合によっては39点であっても当選できるケースもありそうです。

当落ラインの予想:4,5歳児の場合

 最後に4,5歳児。この枠については今回の推計を見ても保育ニーズが定員の数ほどは増えないであろうこと、そして過去の利用調整の傾向でもほとんどの施設で空きがあることを踏まえると、利用希望する家庭はほぼほぼ利用ができるのではないかと思われます。

最後に

 今回は、晴海フラッグ入居者が近隣の新設3園の保育園/こども園を利用できるのかについて、保育ニーズをシミュレーションして定員数に対して足りるのかどうかについて考えてみました。

 結果としては0,1,2歳児はけっこう厳しい状況、一方で3,4,5歳児については相対的に入りやすい状況であろう、というわりあい妥当な結果に落ち着きました。

 文中にも書きましたが、あくまで推測であることはご容赦ください。過去の傾向を踏まえておおよそこの辺だろうという予想ですので、諸々の前提条件が狂うと結果もずれる可能性があります。

 例えばプラス要因として考えられるのは、入居の状況。今回の前提としては全戸数である「4177」の世帯が3月末までに移住する(=世帯数として増える)前提での計算になってますが、入居が遅れる可能性もあるでしょう。

 マイナス要因として考えられるのはコロナ明けでの保育ニーズの回復や出生数の増加。ここ数年での傾向と変わって保育園のニーズが増えるとなると、これまで以上に定員争いが激しくなる可能性があります。

 こういった事情もありつつも、ひとまずは数字として出してみないと「余裕で入れるのか、全然入れないのか、何の見当もつかなくて不安」という状態かと思い、多々前提はあるとしてもこのタイミングで推計の値を出すことには多少なりとも社会的な意義があろうと考えてやってみた次第です。ご意見あれば適宜修正していきますので、お気軽にコメントください。


 以下、おまけとして推計の考え方についてお示ししてます。

おまけ - シミュレーションの考え方について

 保育ニーズのシミュレーションについて、あまり興味を持つ人はいないと思われるので最後に置いておきます。基本的には先行して予測をされていた中田さんの考えを踏襲しています。つまり、月島エリアの世帯数に対しての保育施設の定員数の割合を、入居予定の世帯数に掛けるという考え方です。

 ただ、この上で今回のシミュレーションではいくつか追加で考慮した要素があります。

追加要素1. データの取得範囲を広げる

 中田さんの推計では1歳児のみを対象としていましたが、データも揃っていたので0-5歳児も含めて推計をしてみました。また、年度によって多少のゆらぎはあろうということで、直近3年間のデータの平均も考慮してみました。利用したデータは、各年4月時点での世帯数、月島エリアの保育施設の定員と空き定員で、それぞれ入手元は下記のとおり。

4月時点での世帯数
 → 中央区Webサイト - 中央区の人口・世帯数(令和5年9月1日現在)
月島エリアの保育施設の定員
 → 中央区Webサイト - 認可保育所 利用案内
※ 当年度以前のデータは過去にダウンロードしたPDFを利用
空き定員
 → 中央区Webサイト - 保育園空き情報

追加要素2. 晴海エリアの年代別人口を考慮する

 中田さんの推計は、今回の増加分の世帯数と保育園利用の割合は月島エリア全体と同じであるという前提に立っています。

 この考え方は踏襲しつつもう少し進めて、晴海エリアであることの係数を足してみました。というのも晴海の方が月島エリアの中でも大規模マンションの割合が多く、今回の大規模入居も晴海であり、そこを考慮すべきであろうという点から。

 実際、年齢別での人口の分布を月島エリア全体と晴海(1丁目〜5丁目)とで比較すると若干のズレがあるのですね。

 「町丁目別x年齢別」という紙の情報を文字起こしするという気の遠くなる作業が最近やっと終わりまして、それを利用しています。特に大きくズレているのが子どもの割合。全体に占める割合が月島エリアでは1%前後ですが、1.5%前後となっています。この割合の違いを係数として推計に利用しています。

追加要素3. 結果に範囲を設ける

 すでに上で説明した通りですが、シミュレーションの結果としては範囲を設けました。具体的な数字をぴったり出すのではなく、最小値と最大値を設定してだいたいその間のどこかだろう、という考え方です。

 この範囲設定の元になっているデータは何かというと、保育施設の空き状況。待機児童が多かった時期にはどこでも入れれば良いという人たちが多く、4月時点での空き定員はほぼゼロでしたが、現状だと多少は空きがあるというのが通例。

 2023年4月の月島エリアでいうと、591に対して空き定員は70で、実際利用している人は521人。ただ、すべての保育施設で均等に空きがあるわけではありません。施設の設備やスタッフの質などの面、立地の面などによって人気不人気があって、施設ごとに空き状況がゼロだったりそうでなかったりは様々というのが実態。

 そして、今回新設の3園が人気となるかどうかというのは、当然にまだ開設していないのでどうなるかは分かりません。そこを踏まえると、平均的な人気となる(=エリア全体平均程度の空き状況である)場合を”下限”特に人気となる(=定員に対して空きがゼロになる)場合を”上限”として幅を持たせてはどうかと考えたのでした。

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 説明すべきと考えた点はひととおり説明したつもりではありますが、不明な点やおかしな点などがあればお声掛けください。適宜、アップデートしていけたらと考えております。

 


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