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【ショートショート】環境保護庁

チュン、チュンという軽やかなスズメの鳴き声で目を覚ます。
カーテンの隙間から差し込む朝の光が、本格的な春の訪れを告げている。

ホーホケキョ!

うららかな陽気に誘われて、どこかで鶯も鳴きだした。
こんな都会で、こんなに自然が感じられるなんて。
一時期はスズメさえいなくなって、無味乾燥だったこの街も、鳥や虫たちの声で生命力を取り戻したように感じる。

ホーホケ、ホケ、ホケキョ!

これも全て環境保護庁のおかげだ。
生き物たちが戻ってきた。
昨年の夏は久しぶりに蝉の声が戻ってきた。
それはうるさい程で、耳を塞ぎながら歩く人たちもいたくらいだ。

ホーホケ、ホケ、ホケ、ホケ!

若い鶯なのだろう。
まだ鳴き方に慣れていないようだ。
それもまた微笑ましく感じる。

ここは環境保護庁の監視部。
「部長、C6地区のスピーカーに不具合です」
「仕方ない、オフにしてすぐにリペア課に連絡してくれ」
またF社のスピーカーだ。
N社に比べて安いのは良いが、ここまで不具合が多いと、次は採用できないな。
「去年の蝉騒動もF社でしたね。調整が効かなくなって全部フルボリュームで」

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