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【エッセイ】モテる秘策とは

(1957文字)

先日、仕事の関係で山形のさくらんぼ農家さんと話をしていた。
さくらんぼの受粉は地蜂によって行われるため、さくらんぼの木の下に地蜂の巣になる木の箱が置かれて飼われている。
それだけでは足りないので、時期になると業者から蜜蜂を借りるらしい。
さらに、地蜂も同じ箱で代を重ねていると、次第に繁殖力が弱くなるので、定期的に卵を買って加えるという。
血が濃くなるということですね。

これは人間でも同じで、例えば江戸時代の農村部では、旅人に娘を差し出す風習があったと聞いたことがある。
江戸時代の農民は、生まれた藩の領内から出ることはできない。
自然と狭い地域で婚姻を繰り返すことになる。そうなると血が濃くなり、体の弱い子供が生まれやすくなる。常染色体劣性遺伝疾患ということらしいです。
昔の人はそれを科学的にではなく、経験として知っていたんでしょうね。
だから、外部の血を定期的に入れなければならないということで、娘を差し出していたのでしょう。
いやぁ、子孫のためとはいえ、女性は道具だったんだなぁとやるせない。

まぁ、今は自由恋愛の時代なので、もちろんそんな風習は残っていない。
そして、結婚相手は自分で探さなければならない。
それじゃ、異性からモテるにはどうしたら良いのかというのは、男女それぞれに高い関心ごとだと思う。

女性の場合。
これは、ボクが男性なので、こういうタイプがモテるよね、ということは言いやすい。
女性が意識すると良いのは「サイフォンの原理」です。
分かります?サイフォンの原理。
水槽からバケツにホースで水を移動させる時につかう方法。
あ、簡単に言うなら、石油ポンプ。あれね。
一度、ペコペコと吸い上げて、流れるようになったら、あとは何もしなくても流れていくあの仕組み。
一度、流れるようになれば、男ばバカなので水を流し続けます。
しかし、その水を動かすのに、ポンプのペコペコにあたる「呼び水」が必要。
それは何かといえば、
「少し大袈裟に喜ぶ」
これですね。
笑顔で見つめられながらお礼を言われると、男のポンプがペコペコ動き出しちゃう。またその笑顔が見たいと思ってしまう。
単純なんです。
あとはその水の流れを感じながら、女性の方からも少しアプローチしつつ循環させるわけですね。
これが上手いのが夜のお仕事のお姉様方ですわな。
彼女たちの喜び方はまぁ、お見事。
でも、素人があっちでもこっちでもポンプをペコペコさせちゃうと、ルー大柴語で言うところのハッポービューティ(八方美人)って言われて同性から嫌われるので要注意。

それじゃ、男の場合はといえば…
それが分かっていれば苦労しませんよ(笑)
ボクはまぁ、至って普通の人間なので、学生時代にカバンに入りきらないほどのバレンタインチョコを貰ったとか、下駄箱を開けたらラブレターがドサっと落ちてきたとか、そんな武勇伝はない。
っていうか、表現が古いな。
そんなボクでも、今までに一度だけありましたよ、いわゆる「モテ期」が。

24歳の時、生まれ育った埼玉県を離れて宮城県仙台市に引っ越して一人暮らしを始めたわけだけど、それから1年くらいの間かな、なぜかモテました。
実際に告白されたり、人伝てに伝えられたり、明らかにそんなそぶりを見せられたり。複数の女性にモテました。
あれは何だったのか。
当時はその実感もなかったし、早々に今の嫁さんと付き合い出したからモテ期終了となったけど、何が原因だったのか。
自分自身は何も変わったつもりはない。
もちろん急に色男になったわけでもない。
でも、今になって考えると、原因は「違和感」じゃないかと思うんですよね。
宮城県で生まれ育った女性たちにとって、全く違う場所で育ったボクは何か異質な感じがあったんだと思う。

やっぱり地方っていうのは、その地域の歴史や地理的要因によって、大まかなローカル常識があると思う。
それは宮城県に30年暮らした今、非常によくわかる。
もちろんみんな、そんなことは意識していないんだけど、やはり全く違う場所で生まれ育った人間にはどこか違和感を感じるのだと思う。
それが排除の方向に動くこともあるだろうけど、男女間においては「気になる存在」となり、恋愛感情につながっていくのだろう。
なぜそうなるかといえば、そう、遺伝子ですよ。
自分から遠い遺伝子を持った相手に惹かれる。
生物としてそれが自然な感覚。
前にも書いたと思うけど、遺伝子が遠い人の体臭は臭く感じないとか、そういう実験結果もあるわけで。
かといって、実際に遺伝子を検査するわけじゃないので、無意識に違和感のある人に惹かれるんじゃないかと思う。

ここまで読んだら、賢明な男性諸君はもうお分かりですよね。
どうしたらモテるのか。
モテる秘策とは何か。

そうです。

引っ越しです。

モテたいのなら、今すぐ、なるべく遠くに引っ越しです。
さぁ、旅立て男どもよ!

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