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記憶の街へ

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50歳過ぎると、記憶の街から、出会った人たちが遊びに来ます。 彼らとの思い出話を書き留めてみました。
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2024年3月の記事一覧

【記憶の街へ#11】言葉で伝えられなくても伝わっている

【記憶の街へ#11】言葉で伝えられなくても伝わっている

(2501文字)
高校生1年生から2年生にかけて、週に3日くらい千代田区神保町にあったカウンターだけのカレー屋でバイトをしていた。
牛丼チェーン店などでよくある、店員が動くスペースをコの字で囲んだようなカウンター。客席は12〜15くらいだったと思う。
埼玉からわざわざ東京までバイトに通っていたのは、神保町の隣にある御茶ノ水の中古レコード店に寄るためだった。
手渡しだったバイト料が入るとディスクユニ

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【記憶の街へ#10】彼女の写真

【記憶の街へ#10】彼女の写真

(927文字)
先日、実家に帰った時に近所を少し散歩した。古い住宅街の中を歩いていると、カタカナのコの字に入って行く道があった。
そしてその道には見覚えがあった。

小学6年生の時、好きな女の子がいた。
彼女は確か、5年生の時に引っ越して来たはずだ。同じクラスになったことはなかったが、どういう訳か、廊下で会うと彼女が追いかけて来てボクが逃げるという関係になっていた。何がきっかけでそうなったのか、全

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