見出し画像

NPO法人の社員(会員)について

NPO法人を立ち上げたいという人からの相談で、質問が多いのが「社員ってなに?」というものです。

NPO法人を立ち上げる際、最低10人の社員が必要となります。
それだけ聞くと、いきなり10人雇わないといけないのかと驚かれる方も多くいます。
実際には、違います。

社員というのは法律用語で、一般の使われ方とは違います。
NPO法でいう社員は、一般的には正会員を指す言葉です。
実際給与をもらって働く人は、職員なりスタッフと紛らわしくないように使っている団体が多いです。

正会員:議決権を持つ会員。NPO法人の運営にも継続的に関わりたい人。

この議決権を持つ会員が、立ち上げには10人必要です。NPO法人は公益の増進、不特定多数のための活動、かつさまざまな特定の人の利益のための活動ではないという性質があり、運営に多様な人の意見を入れるようにということで、総会の開催が義務付けられており、社員(会員)数も10人以上と求められています。
また、この会員の内訳にも親族の人数制限があるなど、特定の個人の思いだけでは運営できない仕組みになっています。

○会員制度について
NPO法人を立ち上げる際、まずは定款を作成することになります。
その中で、会員制度をどうするのかも検討しなければなりません。
多くのNPO法人は、いくつかパターンを設けていることが多いです。
例えば
1.正会員:年会費5,000円。議決権あり。イベント参加の割引等特典あり。
2.準会員もしくは賛助会員、利用会員:年会費1,000円。議決権無し。イベント参加の割引等特典あり。
※金額や特典も、団体ごとに異なります。ただし、正会員については、○○大学卒業、会費○十万円というような、明らかに特定の人間しかなれないというような得喪(とくそう。ルール)を設けることはできません。

○実際どうなのか
 正会員と団体との距離感は、さまざまです。人数が多い団体になればなるほど濃淡があります。イベントがあるたびに、毎回参加する人。さらに一歩踏み込んで、ボランティアとして手伝う人。逆にお金だけ出しているだけという人までいます。目的も当然違います。本人や家族が利用者でお世話になっているから。その活動を応援したいから、学びたいからという比較的強い思いを持った人もいれば、活動している人が知り合いで、お付き合いで(名前貸し)という人までいます。
 10人初めに集めることが難しい場合は、友人や知人に頼んで始めたという人も多いです。

○正会員の責任
 たまに名前貸しをお願いされたという人からの相談をいただきます。なってもいいものかどうか。

 正会員の役割としては、
①会費を納入すること、
②総会に参加し議決権を行使することが求められます。

 ①については、年会費となるので払わなければ退会となります。②については、重要な役割です。総会では、事業計画や事業報告といった、法人運営の承認を行います。事務局が説明し、議決権を持つ正会員が、可否を判断します。仮に、正会員の多くがその議案を否決した場合、法人運営ができなくなります。また、総会の開催にあたっても、書面ないし対面での参加人数が2分の1、または3分の1以上必要となり、手続きをしないままだと、総会が開けないという自体になります。
 このように、議決権を持つということは、1票を持つことです。これが軽いと思うのか重いと思うのかは、人それぞれ。
 また、責任と書いたので気になると思いますが、団体が負債を負ったり、事件を起こした時の責任が正会員にもいくかどうかについては、責任追及された事案は聞いたことありません。
 会社でいうところの株主で外部の支援者的な位置付けです。

※理事も名前だけ貸してと、頼まれる人もいますが理事は、法人運営サイドの意思決定機関となるため、注意が必要です。法人運営を決定していたり、事務局の掌握も役割となっているため、場合によっては訴えられる対象になる可能性があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?