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知り始めた頃に事故を起こすのはどの分野でも同じ

車の運転時の事故は、免許を取得してから1年ぐらいして慣れて運転が楽しくなって来た頃に起こしがちですよね。

仕事や趣味などでも、自分が1〜3年ぐらい経験し、ある程度知識と実体験が積み重なり、いろいろな事が連鎖的に分かってくる楽しさで有頂天になる頃が危険なのは、社会人であれば周知の通り・・・

そういう時にいろいろな大失敗をするものです。

仕事や趣味で、そのような時期には

・・・自分はいろいろな事をこんなに深く分かっちゃってるのだ、こんなに短期間でここまで分かっちゃうのって自分、天才?あのちょっと名前の出ている人は実はたいした事はなくない?あの先輩はどうしてあんなにトロイんだろう?こんなこと、こうやれば解決じゃん、どうしてみんなそうしないんだろう?みんなバカ?・・・

・・・などなど

「分かり始めた頃特有の全能感」で観察眼がおかしくなり、謙虚さが無くなり他人を低く観るようになり、自己評価が青天井で高くなってしまうのです。

プロの仕事の現場であれば、諸先輩たちはそういう後輩が生意気を言ったり手痛い失敗をするのを観てニヤニヤしながらフォローしてくれたり、カミナリを落としてくれたり、時に陰湿なイジメをするので「そのイタイ後輩」は「仕事を知り始めの者が陥る恥ずかしい全能感」に気づき、赤面し、ブラックホールがあるなら飲まれたいと思い反省出来る事が多い・・・

そういう経験によって、その後輩は、自分がその業界の事は全部分かってしまったかも、自分は天才かも、みんなこういう風にすれば良いんだよ、なんて思っていた事は、実際にはその程度の事はプロを目指す人なら誰だって考えつくし、知っているし、経験しているのであって、しかしそういう思考の連鎖が起こるようになって、やっとプロになるためのスタートラインに立てたのだと気づけるのです。

自分がやっと地下からピラミッドの底辺に到達して、底辺であっても一応ピラミッドの住人になれたから、いろいろ観えて来ただけであって、頂上どころか半分から上は雲にかかって見えやしない、という事実に「後輩」は打ちひしがれ、そこでその仕事を辞めてしまう場合もあるし、もっと頑張ろうと思う場合もありますが、一応そこで「プロの最底辺には所属出来た」とも言えます。

優れた先輩の場合は、そのようなアホな後輩が得意気に語るアイデアの中にも何か有用なものがあるかも知れないと、面白がって聴く事もあるわけですが、後輩を〆るところは〆ます。

しかし趣味やSNSの世界ではそういう事も起こりにくく、そのまま「イタイ人」のまま何年も経ってしまい、さらにこじらせてしまう事があるようです。

以前、SNS上での知り合いで、ご自分で和裁をし、それを自ら着用している男性がおりました。

その人は、学歴はあるようでしたが、社会に出て何か形にしたものはなく、長いあいだフラフラしている感じに観えましたが、しかしご本人は自分は天才だから社会に理解されないだけだ、と思っていたようです。

その人が和裁を始め、数年し、自分で仕立てた男着物を売るようになりました。

その人は「自分は腕の良い、かつセンスのある普通の和裁士とは違うアーティスト和裁士」と思っていましたので、和裁の世界でおそらく一番有名な人のSNSのコメント欄に気安く、自分は和裁の事を分かっている調子の事を書くようになりました。

和裁どころか、和装業界のプロの人達はその様子を観てヒヤヒヤしましたが、その有名な和裁士の方は大人なので、適当に相手をしておりました。そのうち、誰かにたしなめられたのか、その「分かり始めた頃特有の全能感で暴走した男性」はそのような事は止めたようです。しかし、その有名人には止めただけであって、他の人にはやっていたようです。

その有名な和裁士の方も、もし相手がプロだったら容赦なくその場で叩き潰したと思いますが「まあ、アマチュアで勘違いしてこうなっちゃう人は多いよね」という事で、その無礼をスルーしたのだと思います。そういう失礼をウンザリするほど沢山ご経験されているのでしょうしね。

そんな感じで、SNSでは、そのような「暴走した人」を時折見かけます。

SNSには、自分が何か現実的で適切な事をしたわけではないのに、自分が大きな事を起こしている気になったり、何か特別な存在になった気になりやすい特徴がありますので、勘違いする人が増えるのは仕方がないかも・・・とは思います。

何にしても「どの分野でも分かり始めた頃が一番危ない」という普遍不変の事実はいつも心に置いておく必要があると思うのであります。

年齢は関係ありませんし、何かのキチンとした実績がある人でも、他の分野では「分かり始めた頃の全能感」に狂わされてしまう事もある、誰にでもある危険ですので・・・私もどこかでやっている可能性だって・・・((((;゚Д゚)))))))


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