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料理は絵ではないと思うんだ

私は、西洋料理で、時間をかけてソースで抽象画を描き、小花やハーブの芽で細心の注意を払って盛り付けたモダンな西洋料理がどうも苦手です

盛り付けに時間がかかり過ぎてソースが乾いて割れていたりするとゲンナリします

私は出来立ての熱々から、それが冷めて行くまでの味の変化の臨場感も美味とする古の日本の価値観に生きる男ですので「あーもう良いから、その焼き立ての肉をそのままさっさと持って来て食わせてくれ!」と思ってしまうのです

私にとっては、皿を色々な色で飾り立てる事によって生まれる視覚的効果や、味や香りの複雑で微細な演出よりも、例えば肉なら内部の溢れんばかりの肉汁がその香ばしい焼色の表面から溢れているような臨場感…「シズル感」や「時間」の旨さ、そして「メイン食材のストレートな力」の方を好みます

一皿の料理の食材の組み合わせやテーマが細か過ぎて結局何を言いたいのか分からない料理は、知的には多少面白くも感じるも、別に美味しくはないと感じます。それはまるで5人の人から同時に議論を吹っ掛けられているかのように感じます。加齢のせいかも知れませんが・・・

また、和食で素材の味をカスカスに抜いてしまってから濃い出汁を含ませたような少し前の時代の丁寧な仕事とされた「見栄えは良いけども味や風味が単調な料理」や、季節感を大切にする和食と言えども「まるで舞台装置のように過剰な季節の演出」のされた盛り付けが苦手です

和食は、実質的な味わいを超えた独自の観念的な部分も大切ではありますが、演出過多なものは無粋だと思います


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