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まわりの社長がスゴすぎて正直、吐きそう

ベンチャー社長なのに「普通」と言われます

ぼくは「普通」って言われます。知名度もありません。

社員からも「うちの会社に知名度がないのは、社長が目立ってないからだ!」「もっと発信してよ! メディアに出てよ!!」って言われます。

……いやいや、あれ、すごい人たちだからやれるんだって。。。

ぼくもいちおう「ベンチャーの社長」としてがんばっているのですが、まわりの社長がスゴすぎて、正直吐きそうなんです。

すごいキャリア、すごい生い立ち、すごいビジョン……。情報発信もうまい。ぼくもツイッターで仕事のTipsとかつぶやきたいのですが、なかなかうまくいきません。

ほんと「Forbes」の「UNDER30」とかに選ばれたい人生でした。

ぼくの話って、全部「なんとなく」なんですよね。投資家の人からも「動機が弱い」とか「結局何がやりたいのかわからない」とかめっちゃ言われて。「原体験がないのか?」みたいな。「いや、原体験ってなんですか?」って感じで。

社長の話っていうと、だいたい原体験がありますよね。海外放浪してたり。ぼくもバックパッカーはやってましたけど、別に人生が変わるような「インスピレーション」はなかったしな……。

「ちゃんとやってるのに、地味だよねー」

というわけで、家入一真さんに相談に行きました。「ぼくに足りないもの、あえて一個だけあげるとしたらなんですか?」と質問をしたら、「派手さ?」と言われて。「結構ちゃんとやってるのに、すごい地味だよねー」みたいに言われて。まあ、それはすごいうれしかったんですけど。

で、今度は派手になりたいと思って「どうしたら派手になりますか?」ってGOの三浦さんに相談したら「むしろ凡人を推していこう」と提案されて。また、戻るという……。

「普通だよね」「なんかパッとしないよね」。思えば起業してから言われまくってきました。

昔から夢もハッキリしていたわけじゃないし、佐賀のいちばん小さな町に生まれて、特にこれといった特技も才能もなく。そもそも経営者になりたいと思ってたわけでもないし――。

ただ、そんな「普通」で「凡人」のぼくでもそれなりに経営者をやっています。カクテルメイクという会社で、従業員数は約30人。代々木にバーカウンターつきのオフィスも構えました。それなりにがんばってやっております。

自分なんてすごくない。

ずっとそう思ってたんですが、そんなぼくだからこそ発信できることがあるかもしれない。同じように「普通」であることにコンプレックスを持っている人をちょっとでも勇気づけられたらと思って、これまでのことをnoteを書いてみることにしました。

もともとは「ブラック企業」のサラリーマン

もともとぼくはサラリーマンでした。

いわゆるブラック企業といわれるような通信系の会社で営業をやってました。その会社を選んだのは理由があります。

大学2年ぐらいのときにリーマンショックがあったんです。これから世の中やべえぞみたいな流れになった。ぼくは大学で遊びほうけてたんで、まずいなと。特別なスキルもないし、自信もない。

そこで、とりあえず2年くらいいちばん厳しいといわれるところで働いたら、とりあえず死にはせんだろうと思ったんです。で、ネットで「ブラック企業」って検索してみたんです。すると一番上に「✕✕✕✕(某大手通信企業)」が出てきたんですね。

当時、✕✕✕✕は社員の満足度ランキング2年連続ワースト1位だったんです。で、「ここだ!」と思って入社することにしました。

✕✕✕✕に入ってみたら、東京勤務と言われてたのに、いきなり福岡に飛ばされました。待っていたのは1日300軒の飛び込み営業。それも2日くらい研修やって、そのあと先輩がちょっとお手本見せてくれて「はい、あとよろしく」みたいな感じで。地図だけ渡されて、訪問したビルに「✕」をつけていく。名刺を何枚交換できるかみたいな世界でした。

ただ、なんか、楽しかったんです。怖い人の事務所とか入っちゃって4時間ぐらい監禁されたりもしたけど、やべえって思いながら楽しんでました。

理不尽のなかでどう「遊ぶ」か

✕✕✕✕で2年くらいがんばろうと思ってたんですけど、たまたま飛び込んだ営業先の会社に引き抜かれたんです。「社長.tv」というサービスをやっている、まだ5人くらいの会社でした。営業してたら、急に代表に「お茶しませんか」と。話してたら、そのままなぜか入社することになっていた。

結局、2ヵ月半で転職です。✕✕✕✕の上司からはボロッカスに言われて。「お前絶対そんなんじゃろくな大人にならない!」「すみません!!」っていって出てきました。まあ至極あたりまえなんですが。

「社長.tv」は、経営者に会う仕事だったので、電話をかけまくってたり、飛び込んだり、手紙を書いたり……いろいろやりました。ほんと、ゲーム感覚ですね。ぼく、理不尽ってなんだかんだ嫌いじゃない。理不尽のなかでどう遊ぶかを考えるんです。

「車中泊」しながら全国一周

めっちゃがんばってたんで、すぐにトップセールスになりました。(まあ、人数少なかっただけなんですけど。)そこからどんどん仕事を任せてもらえるようになって、3ヵ月後には「全国展開するから、全国開拓してきて」と言われました。車一台渡されて「これで中国地方回ってきて」みたいな。

で、旅が始まるんです。車中泊しながら、携帯でアポ取りながら、日本中の社長に営業する仕事です。めっちゃ楽しかった。車に泊まりながら仕事をするなんて、絶対、誰もやりたがらないじゃないですか。

しかも、宿泊費とか出なかったんです。「どこ泊まるんですかね?」「えっ? 車に泊まるんじゃないの?」って。だから、ある意味ぜんぜん✕✕✕✕よりブラックだったんですけど。

道の駅みたいなところに駐車して、夜寝て朝出て行くみたいにやっていました。たまに奮発してマンガ喫茶の「ナイトパック8時間コース」とかで、足伸ばせるときはすげえうれしかったです。幸せの閾値がすごい低いのかな? 超ぜいたくでしたね。

そんな感じでその会社で3年働きました。会社も大きくなって、人数も100人くらいに増えて、ぼくは取締役になっていました。年収も1000万くらいはありました。

ただ会社がほぼ解散になっちゃう事件が起きるんです。資本政策とかビジネスモデルとか、いろいろ失敗しちゃって。そのタイミングで退任することになりました。

完全に「流れ」で独立

というわけで、25歳で突然独立せざるをえなくなりました。

年収はけっこうあったけど、先輩に「27歳までは貯金するな」みたいに言われてたので、会社のメンバーとかにぜんぶおごってて貯金もほぼなかったんです。冷静に考えたら「やばいな」と思って。どうしようかなと。

たまたま、ぼくが辞めたタイミングで、100人くらいいた会社の60人くらいが辞めたんです。その中で仲のいいやつらと家賃15万の一軒家を借りて、シェアしようぜみたいな感じで。とりあえずそれで細々と仕事を受け始めて。これも楽しかった。

みんな金ないけど、食費はとりあえず当番制でご飯をつくるみたいな感じです。業務用スーパーで1キロ100円みたいな蕎麦の塊を買ってきて、毎日そば生活をしていました。

「受け仕事」からの脱却

とりあえずできることは全部やってました。

本当に二束三文でよくわからない仕事を受けたりとか、動画をつくったりとか、ホームページとかシステムつくったりとか。なんでもやってました。

まわりに「会社辞めました」と言うと「え、辞めたんだ。ちょっとこれできない?」みたいな。だから、営業はしてませんでした。ありがたいことに相談が来るんです。社員も5人くらいになりました。そこそこ儲かってました。

ただ、頼まれ仕事をずっとやっていても普通の制作会社になってしまう。受託がいい悪いとかではなく自分に合ってなさそうだったので、自社サービスも平行してつくってました。20個くらいはつくったかな。ただ、全部リリースする前に「なんか、これセンスないな」と思って閉じちゃったんですけど。

なぜ自社サービスがうまくいかなかったか? それは受託をやっていたので、自社サービスに力が入らなかったんですよね。いつでも受託に戻れるから自社サービスを軽視しがちで。「いつでもできるや」みたいな。

しかも優秀な人ほど、受託のほうに取られちゃう。そうすると、いつまで経っても自社サービスが生まれないんです。

退路を断たないと、自社サービスはうまくいかない

「で、どうする?」という話をみんなでしたときに「これはもう、一回ぜんぶ断って、会社がつぶれるのか、サービスが成功するのかというリスクをとらないと前に進めないよね」ということになりました。

受託の仕事があるとどうしても安心感があって自社サービスに力が入らない。ここのジレンマで悩んでいる会社は多いと思いますが、やはりある程度のリスクをとらないと前に進めません。ぼくらはこのときの判断がよかったのかなと思います。

制作でちゃんと稼ぎながら、新しい自分たちのサービスをやろうと思っている人は結構聞きます。でも、ぼくらのように苦戦しているところが多い気がします。いつでも戻れちゃうから。制作をやれば食えるからです。

それはそれでいいのですが、なかなか楽にはなっていかない。実績はどんどん増えて、営業は楽になるでしょうが、そのあとは一件あたりの単価を上げていくか、量をたくさんこなすかになる。

しかもぼくらの動画の世界は、YouTuberが台頭してきたこともあって、コンテンツの価値がすごい下がり始めていたんです。そうなったときに、めちゃくちゃ質の高いクリエイティブを目指すか、圧倒的に量を行くのか。絶対、前者はいけないと思ったので、やはりサービスをつくらないとまずいという危機感があったんです。

自社サービス「RICHKA」の誕生

本格的にスタートアップに舵を切ろうとなってから、サービスを2つ作りました。

ひとつは動画制作のディレクションツールというか、編集の修正指示が簡単にできるサービスです。国内で最初に出したんですが、大した規模にならないことがわかったのと、「制作会社さんがちょっと楽になるだけ」というのはインパクトが弱いなと。

次につくったのが「RICHKA」です。これがこれが思った以上に反響をいただきました。

よくお客さんや友だちから「2000円くらいで動画つくれないの?」といわれることがあって「ナメとんのか」と思ってたんです。めっちゃ時間かけて作ってるのに「高くない?」とか言われて。

ただ、ちょっと立ち止まって考えてみると「たしかに、URLぶち込んで勝手にコンテンツにしてくれるサービスがあったらいいな」と思いました。そこで簡単に動画が作れるサービスを作ったんです。するとリリースした途端にめちゃ反響があって、そっちに舵をきっていったという感じですね。

「RICHKA」の原型ができたのが2017年の秋。正式リリースが18年の春。今、ちょうど1年くらい。おかげさまで伸びています。

「動画2・0」ってなに?

というわけで、映像や動画のサービスをやっているのは、たまたまなんですよね。恥ずかしながら確固たる信念があって「動画を極めました」という感じじゃない。たまたまやってたという。

だから「動画の時代」とか言われてるのが、ぼく、ぜんぜんよくわかってなくて。動画って、ただの表現手段のひとつで。じゃあ「写真の時代」があったのかという話で。なにか、動画だけすごい神格化されてるのがよくわかんない、というのが正直なところです。

ぼくらは「動画」というよりも「リッチコンテンツ」をつくっていく、というイメージです。あらゆる情報はもっと「豊か」になる。その選択肢のひとつが、たまたま動画だったというだけのことなんです。

「世界をよくしたい」よりも「いい会社をつくりたい」

つらつらと自分語りしちゃいましたが、ぼくみたいに普通でも凡人でもなんとかなるよという話です。ベンチャー社長のなかにもこんな感じのやつもいるんだよ、ってのが伝わったのならうれしいです。

ぼくの思いは「動画で世界を変えたい」とか「自社のサービスで革命を起こしたい」といったものとは、ちょっと違います。

もちろん世界がより便利に、より良くなればいいと思っていますが、それを実現するのがぼくらじゃなくてもいい。

それよりも強く思っているのが、とにかく「いい会社」にしたいってことです。

「社長.tv」のときに日本中の会社1000社ほどを見て回りました。でも、多くの会社でキラキラしてる社長の目とは対照的に、社員さんの目が死んでいたんです。だから、中小企業がカッコよくなれば、世界ももっとよくなるんじゃないかなと。

自分の力で世の中を変えたいというよりは、お手本となるような「カッコいい会社」「楽しくて、いい会社」をつくりたい。そっちの思いのほうが大きいんです。

「自分の原体験ってなんだろう?」ってずっと考えていたのですが、やっとそれが見つかったんです。

ぼくは正直「絶対にこの事業じゃなきゃイヤだ」という領域はありません。時代を変えるとか、世界を変えるとか、そういう感じでもない。それよりも「いい会社」をつくるところに、めちゃくちゃ執着してるんです。だから、サービスがほめられる以上に、関わったスタッフの人たちがほめられるほうがめちゃくちゃうれしいんです。

それこそ今、出資いただいている投資家の人たちとか、ツイッターとかでも、みんな「カクテルメイクはいい会社だね」って言ってくれます。いい人たちがそろってる。会社のステージも変わり、スペックの高い人たちもどんどん入社してきてもらってるんですが、そんななかでも素直でいい会社、というのはよく言われます。それがめちゃうれしいんです。

こんなこと、ベンチャーキャピタルの人たちに言ったら笑われるんですけど。スタートアップって短期で成長しなければいけないから、マーケットから入っていくというのは絶対正しいと思うんです。かたや、ぼくが「いい会社つくりたいです」って言ってたら、どっちに投資するかといったら、ぼくだってマーケットを見てる人に投資するかもしれない……。

でも、中長期視点でみたら「いい会社だから、いい人が集まってきて、いいサービスが生まれる」ということもあるんじゃないかって思うんです。

5年先なんて見えてないけど

ぼくはいまでも地元の友だちと飲むのは楽しいです。「どこのパチンコ屋の玉の出がいい」とかそんな話ばっかですが、楽しい。

一方で起業家と数字の話をするのは、ちょっとだけ苦手です。経営者同士で飲みに行くと、みんなめっちゃビジョンが明確なんですよね。「5年後は〇千億」とか「〇〇で世界一になる」とか。「で、お前は?」ってなってモゴモゴしてます。なんか、もはやぼくがすごくないんじゃなくって、みんながすごすぎるんすよね。

家入さんはなんだかんだいって眼光鋭くて遅刻しても怒られないし、GOの三浦さんはツイッターでもインタビューでも実際の広告でもやたら強い圧をかけてくるし、heyの佐藤さんはそもそもわかりやすくイケメンな上に言うこと全部クリティカルで納得しかないし、近い業態の明石ガクトさんは見た目からしてあれだし、、、。

みんなキャラ強いしクレバーだけど、そうじゃない社長がいてもいいし、そうじゃない社長だからできることって、たくさんあるのかもしれない、と。あと、そうじゃない社長だから、みんながいい雰囲気になる会社を作れることもあるんじゃないかなあと思うんですよね。

(なんか、言いすぎてます??)

みんなすごい。めちゃロジカル。だから、なにしゃべっていいかわからないです、本当に。ぼくは5年先も見えてない。でも、いい会社にしたいってことはハッキリと見えています。まわりがスゴすぎて吐きそうになりながら、いい会社つくりたい、って本気で思ってます。

平成は「数値」、令和は「価値観」

最後に。

また「なんとなく」の話で申し訳ないんですが、平成って「数値化できるもの」を求めてた時代だったと思うんです。でも令和になってから、「価値観」とか「空気感」、フワフワした「言語化できないもの」がすごくフィーチャーされてきたな、と思っていて。

そういえば、違和感があったのがインターネットの「メディア」です。これまでの「メディア」と呼ばれていたものって、主婦の方がお小遣いにもならない金額で書きまくっていた記事も多くありました。とにかく「数字」を追い求めて量産された記事の山。正直、「あれのなにがメディアなんだろう?」と思ってたんです。

それが最近、グーグルの方針転換で質の低いものが検索上位に上がらないようになってきた。SEO対策をやって、とにかく記事を量産してきた「メディア」が沈んでいく中で、今もう一度見直されるのが、雑誌とか、ちゃんとコンテンツにお金をかけている人たちなんじゃないかと思うんです。

これまでは、グーグルの検索の仕組みを攻略をした人たちが勝ってきたと思うんですけど、これからはちゃんといいものをつくっている人たちが上がっていくんじゃないかと思ってるんです。

「数値」よりも「価値観」。

それは会社のあり方にも言えるんじゃないかと思うんです。「カッコいい会社」とか「いい会社」とか。「いい空気をまとっている会社」に、いい人が集まってきて、結果的に儲かってました。みたいな時代が来るといいな。何かよさそうとか、何か悪そうみたいな、「何か」って言語化できないと思うんですけど。そういうのがすごい大事になってくるのかなって。そう思っています。

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赤裸々な会社概要はこちら
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編集協力:WORDS

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カクテルメイク代表取締役。最短1分で動画広告が作れる「RICHKA」というプロダクトを作ってます。飛び込み営業で飛び込んだ5人のベンチャーにそのまま入社。取締役として2年で20倍に成長するも失敗。25歳で起業して今に至ります。

コメント3件

私はいつも凄そうな肩書きや経歴を持つ人と話すときは、スティーブ・ジョブズやマークザッカーバーグに比べたら、私と同じ凡人と考えるようにしてます。すると、緊張もせず、同じ人間と思えます笑
苦境でもポジティブになれる力って、素晴らしいと思います!
何か明確なビジョンがなくても、仕事が楽しいとか、目が死んだ社員は嫌だ、とかでも十分いいのではと!
ごめん、松尾くんのどこが平凡なのかこの記事からは感じ取れなかった!!
「いい会社だから、いい人が集まってきて、いいサービスが生まれる」
これは私も肝に銘じます。
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