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会社なんて、いつだって「ベータ版」

ぼくは「いい会社」をつくりたい

あの、、前回も言ったんですが、ぼくはとにかく「いい会社」をつくりたいと思っています。

なんで「稼ぐ会社」とか「世界を変える会社」とかではなく「いい会社」なのか?

それは、こんな思いがあるからです。

オネエちゃんのケツ触ってるような社長

前職では経営者にたくさん会う仕事をやっていました。47都道府県ぜんぶを回って、数千人の社長さんとお会いさせていただいてたんですね。

いろんな社長さんがいたんですが、さまざまな困難を乗り越えてこられた社長の言葉はカッコよくって、ピュアに「すげえな」と思ってたんです。

……ただ……

社長以外の人たちは、目が死んでる会社がけっこう多くって。社員さんは別にモチベーションもないし、社長が言ってる「かっこいい会社像」や「立派なビジョン」との乖離が目立ってたんです。

「事業に専念する」というよりも「毎晩飲み歩いてオネエちゃんのケツ触ってる」みたいな社長さんをけっこう見てしまって。(それ自体は悪いことではないと思うんですが、優先順位はあるかな、と。)

ふとしたとき社員の方と話すと、社長の文句を言っていたり、給湯室で愚痴を言い合ってたりしていて。(もちろん「全員が納得する」みたいなことは厳しいし、それも仕方のないことだとは思うんですが。)

そこで思っちゃたんですよね……。

「いい会社って、意外とあんまりないのかな」って。

で、「だったら自分でつくりたいなー」というのを思うようになったんです。もちろん中には、めちゃくちゃ一体感があって、事業もめっちゃ伸びてて、すごい空気がいい会社もあって、そういう会社に出くわすと「こういう会社がつくりたい!」と強く思うようになりました。

中小企業が変われば日本が変わる……かも!

日本は会社のほとんどが「中小企業」なんですよね。たしか9割以上かな。だから「中小企業が変われば、日本は変わる」といっても過言ではないんじゃないか、と思って。でも、なかなか変わらない。よくも悪くも長年のいろんなものが染みついちゃっているんですよね。

そこで考えたのが、「いい会社」をつくって、しかもそこに再現性があれば、いい会社はどんどん増えるんじゃないか、って。小学校でイケてる子がサッカーをやってたらみんなサッカーをやってたように、いい会社ができたら「いい会社をつくりたい!」「その会社に入りたい!」って人が増えていくんじゃないかなって。

たとえばそういう会社が地方にあったら、近くの若者たちが「なに、この会社? すげえ」って言い始めて、マネする会社が出てくる。一方で、サボってる会社が淘汰されていく。そういういいスパイラルが起きるんじゃないかなと思ったんです。

そういう意味で、ぼくがいい会社をつくることで一石が投じられるんじゃないかなと。もちろん「誰にとってもいい会社」というのはつくれないかもしれないけど、いろんな種類の「いい会社」が増えていく、というのは、働く人にとっても選択肢が増えていいんじゃないかと思ったわけです。

朝3時まで歌い続ける伝説のマスターに学んだこと

その「いい会社」の原体験というか、「こういう場所をつくれたらいいなー」と思ったことがあります。

大学時代、HEART&SOUL」というライブバーでバイトしてたんですが、あれがめちゃくちゃ人生の転換期でした。実は「カクテルメイク」という社名にしたのも、そこから来てるんです。

そこのマスターは原さんという人で、横浜の関内では伝説的な人です。今、60歳くらいなんですけど、もう30年以上続いている有名店です。

原さんは、接客が神がかっています。

しかも、自らステージに立って歌うんです。バリバリの現役。夜7時から朝3時まで1日に6ステージ。1ステージ40分。それを毎日やり続けて、もう、30年。レパートリーは2000曲以上。紙に「この曲やってください」ってリクエストを書くと、往年の洋楽の名曲はだいたいその場でやってくれます。

お店は100席くらいあるんですが、平日でも満席に近い。お客さんは横浜の人も多いですが、海外からも来たり、芸能人も来てたり、超有名店です。

働いている人たちもめっちゃカッコよくて。そのお店、お客さまに「すいませ〜ん」と言わせたら、裏で怒られるんです。「なんで、すいませ〜んと手を挙げさせる前に行かないんだ」って。

いろんなことを徹底していった結果、ボトルキープが3000人とかになった。めっちゃリピーターがいるわけです。何回も通うお店で、すげえな、と思って。

「お客さんは何しに来てるかわかる?」

一回、オーナーの原さんに「どうやったら、こんなお店がつくれるんですか?」と聞いたことがあります。すると逆にこう聞かれました。「うちの店にお客さんは何しに来てるかわかる?」と。ぼくは「音楽を聴きに来てるんですかね? お酒を飲みに来てる、とか?」と答えました。

「まあ、それもそうなんだけど。お客さんは空気を食いに来てるんだよ」と言うんです。「おいしい空気があるから、うちに、おいしい空気があるから、空気を食べに来てるんだ」と言うんですよね。

「音楽がいい」とか「料理がうまい」とか「お酒がいい」とか「接客がいい」とか、そういうパーツパーツの話じゃなくて、全体的な「なんとなくの空気」が素晴らしいから、空気がおいしいから、それを食べにいらっしゃってるんだよと。だから、「おいしい空気をつくることを考えなさい」って教えられたんです。

原さんが言ってきたことを下の人たちがマネして育っていって、「いい空気をつくる」というところに向かって全員が走っていった。それが「ハート&ソウル」というお店なんです。「そうか、だからここってめちゃ愛されるんだ!」とわかった。そこでぼくは「いい空気」の会社をつくろうと思ったんです。

会社って、すぐに定量的な「数字」に目が行きがちですけど(もちろん超大事!)、もっと定量化できない、曖昧な「定性的」なものも大切にしたいんです。その「定量化できない曖昧なもの」それこそ「哲学」とか「会社の考え方」とかの浸透が、最終的に「定量」として数字にも反映されていきやすい時代なんだろうなと思うんです。

いい会社をつくるための試行錯誤

じゃあ今うちがいい会社なのか、というと、たぶん全然できていないし、まだまだです。でも、それを目指して実践していることがいくつかあるので、少しご紹介します。

ひとつめは「笑いながらダメだしできる空気にする」ってことです。

「言い合い」とか「ケンカ」とかは、たまにみんなやってて、それは悪いことじゃないと思ってます。ただ最初に前提だけ共有します。それは「人格は否定しない」ってことです。

あと「あくまでこれは事象の話であって、あなたのことを嫌いだからしゃべってるわけじゃない」ということ。そのルールだけは絶対に守れ、って言っていて。そうすると言いづらいこともちょっと言いやすくなるし、ダメなものはダメって言える。

たとえば「ボトルネック」っていうちょっとネガティブな言葉も、事象として捉えると別にネガティブなことではありません。だから「今のボトルネックって、〇〇チームっすよねー」とか普通に言い合える。「まあ、それが終わったら次のボトルネックはぼくらのチームなんですけどね」と笑いながら指摘できる。そういう「場づくり」を心がけています。

「ほどよい自由度」の飲み会

月末は「仕事は早く切り上げて、飲んじゃおうぜ」と言ってます。「プレミアムフライデー」にちなんで「プレミアム会議」というやつをやってるんです。18時ぐらいから1ヶ月の振り返りをやったあとに、みんなでピザ食って、何か飲むみたいなやつは定例でやってたりします。

この飲み会は強制参加ではないんですが、乾杯するまではいちおう「一ヶ月の振り返り」だからやろうね、って。そのあと乾杯したら勝手に帰っていいよ、みたいな。個人の選択の自由はあるけど、揃えるところは揃えて一体感を出そうと思ってます。

別に集まりたくない人もいるし、飲みたくない人もいるし、群がりたくない人もいると思うので、そこは別に強制はする必要はないかなと。ただ乾杯まではさせてね、っていう。

会社なんて、ずっとベータ版

なーんて言ってますけど、メンバーから不満は出ます。ぜんぜん出る。でもぼくは、「不満や違和感は口に出してくれたほうがいい」と思ってるんですよね。「早めに言ってね」って。「怖いから怒る前に言ってね」みたいな。

みんなで共有してるのは「別に会社なんてずっとベータ版やってるようなもんだから、別にいいとこも悪いとこもあるでしょ」っていう。文化や制度というのは「目的」じゃなくって、ビジョンのために動いた結果生まれたもの。だから、変化によって変わらないほうがおかしいし、むしろずっとベータ版じゃないとダメでしょと思っていて。それに不満があって、変えたほうがいいなら変えればいいし、って感じっすね。

それで言うと、インターネットのサービスもおんなじだと思ってます。

インターネットのいいところって、ずっと「ベータ版」でいられることです。もちろん「その時点で全力のものをつくる」のは前提ですが。お客さまの不満があればそれに向き合って、必要であれば改善していく。不満を聞いたら、ぼくらは「ごめんなさい! まだできてません!」って正直に言う。「ただこの機能は必要だと思うので3ヶ月くらいでできます!」って言うんです。

で、がんばって2週間とかで「できました!」って持っていくと、超喜んでくれたりします。できてないことを喜んでくれるっておかしいんですけど、永遠に完成しないからこそのよさがあるんです。

正直で誠実な改善ができる会社が、これからもっと伸びていくんだろうなあというのは肌感で思ってます。

そして、たぶん組織も同じなんだろなと。まだ今はできていないことでも、ちゃんと誠実に、いろんな課題に向き合ってるよ、というのを示していけば、お客さまにとっても、社内のメンバーにとってもいいのかなと思ってます。

でも。まだまだ全然できてません!!

なにが正解かわかんないし、どれが答えかわかんない! けど、それを探し続けて、改善し続けることができる会社が「いい会社」なのかなって思いながら、社長をやらせてもらってます。



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