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ノロウィルスに罹って愛について考えた話

大阪の生活史が出ています。 

大阪市旭区森小路「松久」の三代目大将かっちゃんにインタビューしました。何を食べても美味しい飲食店としても酒場としても最高なのですが、地域のコミュニティとしての役割が大きい。もちろん出会いの場でもあるが、もっとささやかな、ちょっと寂しい気がする、て時のセーフティネット的お店。この寂しさを放っておいたら大きな悲しみになり飲み込まれそう、と漠然と不安になったら、きっとここに来て。
お礼と、本を渡して軽く飲んで帰宅。

仕事が大変で泣きながら働いていたら「ほな休みなさい」と言わんばかりに家族全員同時ノロウィルスに罹患し、よーいスタート!の嘔吐から2時間ほどで布団もカーペットもドロドロに。職場の同僚や友人からひっきりなしに「何か必要なものはないか」「病院に行ったか」など連絡が来る。関節も頭も痛く、何もできない。ウトウトするが、夢が現実か通行人の声か定かでないような夢に魘されて起きる。玄関から黄緑色の着物を着た文珍師匠が入ってきた夢だけ覚えている。夕方ごろで、夕焼けに黄緑色の着物が照らされていた。

水すら飲めなかった時に、舌に染み込ませたOS1の美味しさ、ゆっくり水分が摂れるようになった時に一口食べたすりおろした林檎の強烈な甘み、少し動けるようになった頃作った、米から炊いたお粥の香り。私の体はこれが欲しかったのかと分かりやすく、涙が出て脳がびりびり痺れるほど美味しい。少しずつ回復しているのが分かる。

夫は看病されるのが嫌いなので、1人ポカリと菓子パンで耐えていた。嘔吐恐怖症の私は「寝室で寝ときな」と言われ、戦線を退く。
あっという間にハイター2本とバスタオル全てを使い切ってしまった。夜中、近所に新しくできたコインランドリーに行った夫が「ホームレスが泊まり込んどるぞ」と教えてくれた。

2日目は短いモッパンの動画を見続けていた。人が食べているところを見るの、なぜこんなに気持ちいいんだろう。この前友人に「繁殖目的以外の愛って何なんですか?」と聞いたら、生存率を上げている!と即答され成程となったが、そこから派生しているものかもしれない。「なんか食べてるか?」と友人から体調を心配したLINEは届き続ける。食事が摂れない娘は苦しくて辛くて見ていられない。たくさん食べている人間は、それだけで力強い生命力を感じて安心できて快感だ。

仕事は2日休み、その後在宅で繋ぎ今日からやっと出勤。クリスマスの飾り付けがされていた。泣きながらやっている業務の進捗を聞かれるが、進捗が無いくらいぐちゃぐちゃになっている。私にできることはもう無いほど。ずっと外部のエンジニアとZOOMを繋ぎ知恵を絞ってはいるが、順当ではなく奇跡を待って進めている感じだ。私がグズグズしていても会社は業績を伸ばし、年商は去年の2倍に。もっと大きい会社のただの歯車になりたいと思う時もあるが、どれだけ辛くても裁量でかい今の会社の楽しさから抜け出せない。

アキ・カウリスマキ「浮き雲」みた

生きていれば悲劇は起こるので、都度淡々と対処して1番楽しく生きられる工夫を続けられればいいね。相変わらずいい部屋、いい車、いいレストラン。テーブルに直に置かれるバターと、賢すぎる犬も。新作楽しみだな。


明日から冷え込むそうだ。
煙草に火をつけて深呼吸しよう。
今まで嫌いだった冬に見つけた、唯一の楽しみ。

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