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「A子さんの恋人」聖地巡礼 往復する中央線と回る環状線編


「A子さんの恋人」近藤聡乃(KADOKAWA)

29歳――半人前の大人たちが繰り広げる、問題だらけの恋愛模様。29歳のえいこさん。誰といっしょになるとか、どこで暮らしていくとか――そろそろ決めなきゃいけない問題も増えてきた。とはいえ、答えなんてすぐに出せない(出したくない!)わけでして……。ああでもない、こうでもない、と思い悩むえいこさんの厄介な日々を綴った『A子さんの恋人』、待望の刊行スタート! 注目作家・近藤聡乃が、初の長編連載のテーマに選んだのは“恋愛”! 恋人・友達・家族と絡まりあう29歳女子の日常描写は、連載開始から「リアル過ぎる」、「“あるある”の連続!」と話題騒然。そう、この漫画の中には、あなたも、あの子も、あいつもいるのです。

カドコミ

以上があらすじ。
ニューヨークに住む恋人A君からプロポーズされ、保留したまま帰国。東京(阿佐ヶ谷)に戻ると元カレのA太郎からも復縁を迫られ、悩むA子と、その周辺を描いた作品、という感じ。

先日たまたま読み返していたら東京に行く予定ができたので、人生初の聖地巡礼をした。
A子が住んでいたのは、JR中央線が通る阿佐ヶ谷。駅を出るといくつもの商店街があり、賑やかで暮らしやすそう。道ゆく人もリラックスしていてとても良い感じ。散歩や旅行などで知らない街に行く、スーパーや通えそうな飲食店があるかなどをチェックくる癖があるのだが、改札から出てすぐ、わぁ!こんなところに住めたら良かったのに!と思った。
阿佐ヶ谷に宿泊しようとホテルを探したが2件しか探せず、目立つ旅行者があまりいないのも生活の地と感じ、良かった。

扉絵に何度も登場する
「たいしておいしくないものを食べたいわ」

1巻第1話「英語のAと書いてA子」
ニューヨークから帰国した英子は、スカイツリーの土産物屋で名入れサービス付きのマグカップを購入する。「英語の英と書いて英子です」と店員に伝えると、A子と書かれたマグカップを渡される。そこでアルファベットに置き換えられると気づいたえいこは、けいこ、ゆうこにも、K子、U子と名入れしたマグカップを購入。アメリカ土産だと伝え、甘味処で2人に渡す。
さらに、
2巻第18話「巡り会う女たち」
えいことけいこ、そして2人と何となく波長の合わないあいこが気まずいまま何となく散歩を続け、最後は上野公園で花見をする。帰宅したA子がスカイプでA君と話しながら食べていたのが、テイクアウト用【みはし】のあんみつ。

2話でテイクアウト用を購入していたことで1巻1話の甘味処もみはしなのでは…と思っただけなので、実際は分からない。行きつけの甘味処が複数あるのなら渋くてかっこいい。

これは、みつまめ あんずが美味しい

2巻第11話「バレンタイン顛末記・前編」
元々A太郎がえいこにあげた金魚が、まわりまわってゆうこに渡り、さらにけいこの元に。餌を買いに行った熱帯魚屋で店員に恋をするが、その店員はA太郎に一目惚れする。
作中での店名は阿佐ヶ谷アクアマリンだが、阿佐ヶ谷に観賞魚屋はここしか見当たらなかったので【あくあしょっぷ石と泉】へ。作中では"HPがダサい"という設定が加えたられたので、店名も変えたのかもしれない。(あくあしょっぷ石と泉さんは普通のシンプルなHPです)。店内は小さい水槽がズラリと並んでいて、迫力があった。看板も威勢がいい。

店頭の水槽には色々な水草が

4巻第30話「大人たち・後日談」
A太郎とゆうこが飲みに行き、浮気だと誤解したゆうこの彼氏ヒロくんがA太郎を殴り、冷静さを取り戻すために入った【喫茶gion】
天井から鎖で吊るされブランコになっている座席があり、殴られたA太郎はブランコに座りながら「僕は文科系最弱の美術系だぞ‼︎」と激怒し、ヒロくんはブランコに座りながら謝る。
入店すると店内はほぼ満席で、ナポリタンが食べたかったが「注文が溜まっているから」と断られ断念。レモンジュースを頼む。レモン1/2個分入っているらしく、濃くて酸っぱくて美味しかった。ブランコの席は地元の奥様が座っていて、新聞か何かを読んでいた。ブランコのある生活、うらやましい。インテリアはカントリー調でファンシーなものや観葉植物が所狭しと置かれていたが、異世界のような独特な照明ゾーンもあり不思議だった。

緑が元気で、店内に入ると、森の中のような雰囲気
すっぱくて美味しい!レモン半分入っているらしいが、レモン1個バージョンも選べる

4巻第31話「あいこの乱・谷中センチメンタル編」
A太郎に大学生時代から想いを寄せるあいこ、あいこに大学生時代から想いを寄せる山田。
山田のSNSにA太郎が映った画像が続々とポストされ、あいこはA太郎に会いたいがために投稿の画像を頼りに台東区、文京区、荒川区を奔走する。その1箇所が不忍池だった。結局山田は時系列で画像を投稿しておらず追い付くのは不可能だった。山田があいことA太郎を会わせないために順不同に投稿したものなのかは明記されてはいないが、ふふふと意味ありげに笑う山田が小さく描かれている。

不忍池


5巻第38話「中央線の女たち・酔いの口」

えいこ、けいこ、ゆうこ、ゆうこの彼氏ヒロくんが集まった【ミスティ・オーパース】無邪気なヒロくんは、えいこに100個くらい質問をしてうんざりされていた。
1階と2階に座席があり、えいこ達がいたのはおそらく2階。私も運良く2階に通してもらった。地元のお母さん達が趣味の話で盛り上がっていた。カレーも美味しそうだったが、私はサーモンのソテー。あんかけ、ソースなどは季節によって変わるのかもしれない。居心地がよくてダラダラ喋って居座るのも分かる気がする。
外観。天井が高いので、扉も縦に長い! 

身長2mでも余裕ぽい
サーモンソテーランチ 


5巻番外編U子の恋人(朝)

ゆうことヒロ君が、ゆうこの実家へのお土産を買いに、
6巻第45話「余熱」
勢いで来日したA君えいこが一緒に訪れるジェラート店【SIN CE RITA】
A君とえいこが食べていたのと同じように、店頭で食べると気持ちいい。テラス席とか、居酒屋でも店先にテーブルが出してあると、少しピクニックのような気持ちになって浮かれてしまう。
自転車に乗った女の子がジェラートを食べる大人を見て「うらやましい!」と言っていた。大人は食べたい時にジェラートを食べられるので楽しい。

トリプル670円
どれも美味しそうなので、みっつ選ぶの大変

私が頼んだのは

・メルノワ(はちみつとくるみのジェラートで2011年ジェラート世界大会3位を獲得)
・ウバ茶
・八朔とマスカルポーネのトリプル

濃厚なのにアイスとは違う少しシャリシャリした食感でさっぱりしていて美味しい。ウバ茶がちゃんとほろ苦くて美味しかった。


最初に読んだときは、A太郎とA君どっちを選ぶ?!と盛り上がったものだが、何度も読み返すうちに、どちらにするか選ぶ物語でなく、A太郎を救うためのお話だったと感じる。
一緒にいると居心地が良くて楽しい相手が、居心地がいいまま少しずつ恋愛から外れていくことがある。マンネリとはまた違う、恋人や夫婦関係に限定した、決定的な合わなさのようなもの。
ああ友人であればずっと一緒にいられたのに、離れるには惜しい、居なくなるのは寂しい、というようなこと。

生きている人間の見えない部分、性別や感情や性格は全てグラデーションで、時には対極を往復したりもする。「一生会わない」「恋愛に付随する一切の関わりを断つ」など未来の選択を失くすための決断を迫るのは、無理があるのではないのか。


「他人にとって えいことか けいことか ゆうこは 漠然と エーコ ケーコ ユーコなのである。」1話冒頭

A太郎にとってA子は最後まで英子だった。
英子は瑛太郎をA太郎にできなかった。

自分が思う程他人は自分に興味がないことと、
自分が想像するより自分は他人から大切にされていることは、同時に起こっている。
前者は悲しいことでも辛いことでもない。
というか、ただそうであるだけで問題ではない。
忘れたくないのは、
悪口を言い合っていても、
名前の漢字が思い出せなくても、
離れていても、
会ったことが無くても
大切に思っていてくれる人たちのことだ。


携帯で書いてるので
改行がめちゃくちゃかも
ごめんなさい

では
おやすみなさい。

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