#3  成田空港に到着・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月1日(木)1日目・・・3

自宅を出て、途中で乗り継ぎ、普通電車に揺られること1時間半。
電車遅延もトラブルもなく、12:30頃に成田空港第一ターミナルに到着した。

10ヵ月前は、次女の留学出発を見送る側だった。あの時は出発便案内掲示板を見ながら〝このまま一緒に出国手続きをして、New Yorkに飛んで行ってしまいたい〟と、強烈に思っていた。
空港まで来ているのに飛行機に乗れず、New Yorkへも行けない悲しさと、
1年近く次女と離れ離れになる淋しさが入り交じり、やりきれなかった。
でも今日は違う。私は生まれて初めて国際線の飛行機に乗れるのだ。
そして憧れの聖地、New Yorkに行けるのだ。
そう思うと、スーツケースの重さも、襷がけ鞄の煩わしさも、段々と心地良くなってきた。
スーツケースのタイヤがゴロゴロとたてる音にさえウキウキし、スーツケースを押すこと自体、楽しくなってきた。
 
成田空港第一ターミナル駅の改札を出ると、あちこちの壁際に、箱の上に乗ったガードマンが何人も立っている姿が目に付いた。
真顔で睨まれているように感じて、少し怖い。
でも、大丈夫なのだ。ガードマンは自分の任務を全うしているから厳しい表情になっているだけで、私を睨んでいるわけではない。私にはやましいことは何1つない。何よりこれから私は35年以上憧れ続けたNew Yorkに、3週間の一人旅に出るのだから。
何ならセキュリティのお兄ちゃんに、自慢したいくらいだった。
〝私、New Yorkに行くのよっ! 35年以上憧れ続けたNew Yorkに、一人旅に行くのよっ!! 素敵でしょっ!!!〟って。
 
ウキウキとドキドキを引き連れて、スーツケースを押しながら進み、その先のStarbucksへ入る。10ヵ月前に次女を見送った後に、空腹を満たすためと、淋しい気持ちを落ち着けるために入ったのだった。
10ヵ月後の今、これから出発するワクワクとともに、サンドイッチとミルクラテで、ささやかなお祝いだ。

 「ご出発ですか?」
試飲のコーヒーを勧めながら、店員さんが声をかけてくる。
「どちらへ行かれるんですか?」
「New Yorkです」
「そうですか! お気をつけて行ってらっしゃいませ」
お互いの笑顔が良い空気を作った。 
【〝どこへ行くのか?〟〝New Yorkへ〟】このやり取りがしたいと、何百回、何千回願ったことか! ついに現実となり、傍らに置いたスーツケースを見ながら、この上なく幸せな気持ちだった。 

成田空港第一ターミナルのStarbucksで、一人お祝い会を終えて、4階の出発ロビーへ向かう。広いコンコースを進みながら、そういえば、10ヵ月前に来たときに【YOUは何しにニッポンへ】というテレビ番組の撮影クルーを見かけたことを思い出す。あのときは、あと10ヵ月したら私も出発できる、それまでは何でもない日常を、しっかり頑張ろうと思った。
あの日から10ヵ月が経ち、今、私は、New Yorkへ向けて出発しようとしている。
初めて行きたいと思った時から35年以上経って、やっとここまで辿り着いた。嬉しくて、ドキドキしていた。

初海外、初一人旅、初海外で迎える初誕生日。行くとこ見るもの初めてづくめの3週間。まずは、初パスポートに初スタンプをおしてもらうことと、
初機内食が楽しみだ。

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