#6  成田空港・スーツケースをドバーッと広げて、恥ずかしく預ける・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月1日(木)1日目・・・6

成田空港で、ANAのおねえさんにチェックインをしてもらい、その他諸々親切をいただいた次は、スーツケースを預ける。
スーツケース16㎏、ボストンバック3㎏。余裕でしょ、と安心しきって台の上にドンと置いた。

突然パスポートの提示を求められた。 え?そうなの? パスポートは命と同じくらい大切だと考えていたので、襷がけ鞄の中の、もうひとまわり小さな襷がけ鞄の中の、ポーチの中の、紙封筒の中に、入れ込んでいた。だから、急に出せと言われると焦る。すぐに出せないので、おねえさんを待たせることになってしまい、余計に焦る。早く、早く。
慌てる私におねえさんは、
「ゆっくりでいいですよ」
と言いながら、案内書を差し出して質問してきた。
「これらの物は入っていませんか?」
パスポートを出すために、襷がけ鞄の中をひっかきまわしつつ案内書をチラッと見ると、そこには、ハサミやライター、スプレー缶など、危険物のイラストが描かれていた。
あ……あ……、ある。 スーツケースの中にライターが1つ入っている。

実は、勤務先の隣りのビルの1階にタバコ専門店があり、頼まれていたタバコが、もしも空港で買えなかったときのことを考えて、1カートンだけ購入していた。そのときにオマケに貰った使い捨てライターが入っていたのだ。
一瞬、面倒なので入っていないことにしてしまおうかとも思ったが、
不正が好きではない私は、
「ああっ!! ライターが入ってますっ!!!」
と正直に申告した。
襷がけ鞄の中をひっかきまわしたあと、今度は荷台の上でパンパンに荷物が入った16㎏のスーツケースを広げ、重ねて詰め込んだ服を掘り返し、タバコを入れたビニール袋の中から、小さなライターを引っ張り出して、機内持ち込み荷物の中に入れた。
 
荷物を預ける前に、〝時々あそこで何かあって荷物を広げてる恥ずかしい人いるよな~、私も気をつけなくっちゃ〟と鼻で笑っていたのだが、まさに自分だった。何ともお恥ずかしい。
 
パスポートを取り出すのにもたつき、荷台の上の荷物をダダーッと広げ、明らかに迷惑になっている私は、何度も焦りながら詫びるも、スタッフたちは優しかった。
 
スーツケースとボストンバックを預け、襷がけ鞄1つと身軽になったところで、解放感に満たされすっきりした。
空港に着いてから、Starbucks で1人お祝い会をし、Wi-Fiルーターを借り、
両替をし、チェックインの手続きをしてもらい、出国後の免税店でタバコが安く買えることがわかり、一通りのミッションはクリアした。

さぁ、空港内を探検しよう。振り返り勇んで歩き始めようとしたその時、
ふと気がついた。
預けたボストンバックの中に、コートを入れたままだ。機内での防寒用にと、スーツケースを預けるときにボストンバックから出そうと思っていたのだが、空港内が快適だったことと、ライター騒動ですっかり忘れていた。

慌てて振り返り、荷物預けカウンターのおねえさんに訴えたが、一旦預かってしまった荷物はベルトコンベアーで流されて、もうどうにもできないところに運ばれてしまったとのこと。例外として薬や母乳など、命にかかわる物だけしか取り出せないとのことだった。

その時の私は、薄手のシャツ1枚の上に、七分袖の薄手のカーディガンを羽織っていただけだった。人一倍暑がりだし、空港内はそれで充分だが、ネットのクチコミに書かれていた〝機内は思った以上に寒い〟のコメントが気になっていた。短時間寒いだけならまだしも、14時間も寒いのはいくら暑がりの私でも耐え難い。
しょんぼりと肩を落としても後の祭り。仕方がない、寒かったら機内で毛布をたくさん借りることにしよう。
気を取り直して、空港内を探検することにした。
 
天井まで届く広くて大きなガラス窓の向こうに、これまた大きな大きな飛行機が何機も鎮座していた。近くで見たくなって、窓に向かって歩き出した。

外は快晴、ドピーカン。雲1つ無い青空がきれい。
眩しい日差しが空港内に差し込んでいて気持ちがよかった。

この写真を写したときには少し雲が出ていた

Starbucksから始まり、ミッションをクリアし、気づいたら空港到着から2時間半が経っていた。 

コート1着では済まされない、大きな忘れ物に気付かされたのは、この後、搭乗間際になってからだった。

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