#36 初対面でいきなりおトイレへ案内を頼む・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月2日(金)2日目・・・7

忘れられた約束だったが、New York在住者でコミュニティの代表者は、電話をしてから5分ほどで、待ち合わせ場所である、Chelsea Marketの入り口に現れた。

「初めまして、YUKIEです」
と挨拶もそこそこに、
「お会いしていきなりで大変申し訳ないんですけどお手洗いに連れて行ってください」
と、一気に言った。言うというより、まくし立てたと言った方がいいかもしれない。
初対面で会っていきなりおトイレに連れて行けなど、なんともまあ失礼な、と思ったが、失礼は百も承知、早く、早く。

私の焦りがすぐに伝わったらしく、代表者は人でごった返しているChelsea Marketには入らず、歩いて数十mの近くのホテルに、急いで連れて行ってくれた。
もう、待ったとか忘れられていたとか、不安とか、悲しいなど、どこかに吹っ飛んでしまい、ひたすらおトイレに向かって一直線!

ホテルの、清掃が行き届いたきれいなおトイレを借り、やっと気持ちが落ち着き、ホッとできた。
おトイレの前のロビーには、ソファとテーブルがいくつか並び、ゆったりとくつろげるようになっていた。代表者の話しでは、こういう公共の場は自由に使えるのだと言う。
ただし、外から見る限り、その建物がホテルだとはわからない。
実際に入ったホテルは出入り口さえ通りから見えていなかった。
ご近所の住人か、よほど詳しい人でなければ、気づくことさえ難しそうな造りになっていた。

ロビーらしきところに並んだソファとテーブルは、ホテルのスタッフからは直接見えないようになっていたのだが、そうかといって、まったく人目につかないわけでもないので、人目を気にせず ゆったりと話せた。
広い空間も心地よかった。

代表者は20年以上もChelseaに住み、正真正銘の日本語が通じるNew Yorke。会えて嬉しくなり、私が若い頃からNew Yorkに憧れ続けていて、今やっと来られたこと、これからの3週間にワクワクしていることなど、ハイテンションで意気揚々と話した。

ところが、代表者は私とは真逆で、New Yorkでの生活に早く見切りをつけて、ヨーロッパに移住したいとのことだった。
New Yorkの何に、どんなことに不満があるのかは、敢えて聞かなかった。
自分の中に、New Yorkのマイナス部分の先入観を入れたくなかったし、マイナス部分があったとしても、それは自分で体験し、自分でジャッジしたかったから。

代表者は、New Yorkに対してワクワクと胸躍らせている私を見て、一瞬マイナス感情を語ろうとした場面はあったのだが、それをとっさにのみ込んだことを、私は見逃さなかった。

長年の夢が叶いテンション高くワクワクしている私に対して、そろそろNew Yorkに見切りをつけたいと、低いテンションのNew Yorkerの代表者とは、温度感が違いすぎていた。
そして、どうやら代表者にとって、私は都合のいい美味しい人物ではなかったらしく、最後まで大して盛り上がることなく、1時間半ほどでお開きとなった。少し残念な気分ではあったが、これもNew Yorkでの経験の1つ。素直に受け入れた。

別れ際、この後どうするかと聞かれたので、特に予定を立てていないと話すと、Chelsea Market前の9番街をまっすぐ行くと、Times Squareまで歩いて行けると教えてくれた。
暗くなるころには宿に帰るつもりでいたが、せっかく教えていただいたのでさっそく行ってみることにした。

長年憧れ続けた、世界で1番の場所Times Square。歩いて行けるなんて嬉しいではなか。行かない手はない。よし! 歩いて行くことに決めた。

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