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食と気候変動や社会問題①

食分野における気候変動の問題は、世界ではエネルギーやモビリティについで食産業の環境負荷が高いといわれており(総排出量の1/3といわれている)、早急に脱炭素化を進めていかなければいけない分野といわれています。

日本ではまだあまり気候変動や環境の話をするときに食の分野が語られることやその関係性を理解している人が少ないと感じています。
せいぜい食品パッケージの脱プラやフードロスくらい。
パッケージの脱プラも大事ですが、これは食に絡んではいるけれど本質的には梱包材の問題で、ごみ問題や海洋汚染に繋がるもの。フードロスもすばらしいことで日本人的なもったいない精神で取り組もうとしているけれど、輸入に伴うカーボンフットプリントの観点やロスをなくすことよりそもそも余剰を作らないという環境問題や気候変動に伴う理解までは及んでいないんじゃないかなと思うことが多いです。

今日は食の分野に関わる気候変動やその他の社会問題について、私が関心がある範囲のことを羅列してみようと思います。

まずはこの4年一番学んできた、食と脱炭素(気候変動対策)における、インパクトTOP3です。

①プラントベース化(脱畜産)
②オーガニックや自然栽培、無農薬など環境にやさしい栽培方法をとること(脱農薬)
③ローカル化(脱輸入、サプライチェーンの適正化)


①プラントベース化(脱畜産)

最近ヴィーガンやプラントベース、代替肉や代替乳(ソイ、オーツ)が環境にやさしいものとして紹介されていますが、どうして環境にやさしいのか知っていますか?

それは世界では、畜産業、特に牛の飼育にかかる環境負荷が非常に高いからです。(牛、羊、豚、鶏の順に高いと言われており、特に牛と羊が高いです。)
牛の飼育には広大な土地や餌が必要で、そのために世界では多くの森林を切り開いて畜産用の土地や牛のための飼料を育てる場所にしています。
貴重なco2の吸収源である森林を切り開いて牛舎や土の放牧地にしてしまうことで、co2の吸収源が減ることや、飼育のためにたくさんの水を使用したり、工業型畜産でホルモン剤などを投与された牛の排泄物で土地が汚れます。また牛のゲップのメタンも温室効果ガスとして地球温暖化を加速させています。
要はやりすぎているということです。
動物愛護の観点のヴィーガニズムは別問題として、環境問題としては、昔ながらの牧場の範囲は否定されません。工場型畜産はやりすぎなので、環境に悪いのです。

ちなみに動物愛護の観点やなんとなく健康の観点からはグリーンフェッドビーフ(牧草を食べて育った牛)のほうが良いと思われていますが、大量の芝生を食べるので、そのために大量の水が使われて、より環境には悪いと言われています。
(こうやって複雑で面倒だから社会問題を考えるときにはいろんな視点を考慮してから取り組まないといけないですよね。)

脱畜産は環境だけでなく、貧困/食糧問題解決にも繋がります。間接的に気候変動解決による貧困を抑えるだけでなく、直接的に牛のための飼料を育てている土地で人間が食べられる穀物や野菜を育てることでより多くの人に食糧が行き渡ると言われています。

この他にもわたしがこの4年プラントベースフードに関わる中で、100%プラントベースフードはだれでもが安心して同じものを食べられるユニバーサルデザインなフードであることがよいと感じています。
サステナビリティに関心がある人、動物愛護に関心がある人、宗教上の制限、アレルギーのある人、なにもないがおいしいものを食べたい人。おいしい100%プラントベースフードはだれとでも共有できて共感できるダイバーシティにも貢献できるものだと考えています。ここでプラントベースは100%であることが重要で、中途半端に卵を使っていたり出しに動物性のものが入っていては、ホントの一部のニッチな人にしか需要がない中途半端なものになってしまうことも加えておきます。またどこかでその話は。


本題に戻ります。

②オーガニックや自然栽培、無農薬など環境にやさしい栽培方法をとること(脱農薬)



次に環境負荷に貢献できることとして、食物の栽培方法の改善があげられます。
森林と同様に地球上の土壌も貴重な温室効果ガスの吸収源です。 
土壌が炭素を貯蓄するには土壌の中の微生物の働きが重要ですが、効率化のために農薬や単一作物栽培では、土壌の栄養や微生物が使い果たされてしまいます。
そのために環境に配慮された栽培方法であるオーガニックや自然栽培、不耕起栽培、無農薬栽培や単一作物栽培をやめて輪作にすることが重視されています。

参考

オーガニック(有機)は、本来このように自然環境を尊重する栽培方法のことで、かならずしも健康を目的とするものではありません。しかし、化学物質を使用した農薬は、地球にも生物である人間の体にもよくないため、健康にもよく安全とされています。
ただし(特に健康の側面においては?)オーガニックは、オーガニック認証団体から認証を受けた製品で、必ずしも無農薬ではありません。オーガニック認証団体から環境に配慮されていると認められている農薬については、日本においては使用量に制限がないことなどもあります。
なので確実に有機物のみで栽培された食品を応援したい場合には、自然栽培や無農薬と明記されたものを選んでください。
最近では日本にもたくさん環境配慮型農業をしている農家さんがいます。そういう方から直接説明を受けて購入できるファーマーズマーケットやSNS,HPなどでお気に入りの農家さんを見つけるのが一番確実で安心です。

またオーガニックは高級というイメージがあります。これは山や丘陵地が多く、農地が限られている日本では、慣行に比べて効率の低いオーガニック農法では収量が限定されてしまうことや多くのオーガニック食品は輸入されるものであることが原因です。
広大な農地があるブラジルなどではオーガニックは決して高級なものではなく、むしろ安価なものであることもあります。というのも、例えば広大な土地に小麦を巻き、不耕起や無農薬でむしろ慣行よりも手を抜いて作って土地に対する収量が減ったとしても、そもそも広大な土地に膨大な量を巻いているので十分な量を収穫できるからです。
ただし前述の通り、日本においては制約があるのも事実です。食料自給率をあげないといけない問題もあります。
そういった中では今後、土地にあった作物を栽培していくことやAIやロボットなどテクノロジー(化学ではなく)でオーガニック農法の効率をあげていくことが必要かと考えています。

長くなってきたので後半へ、、、


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