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ディスって文法を伝える本

思えば、私が外部で文章を学びたいと思ったのは文法的なテクニックがないと感じていたことが一つのきっかけだった。

「どちらでも伝えていることは間違っていない」言い回しの違いを、上司に指摘される。私も上司も書きものの専門家ではない。正直「なんでそう修正するの?」と言いたくなることがよくあって、でもそう抱く違和感の理由も大して説明できなかった。

私には、基準となる言葉のルールがなかったのだ。

週末に受講している講座で、とある講師の方がこの本を取り上げた。

本多勝一の「日本語の作文技術」。

講師の方は、「この業界に携わるなら読んでいないと論外」だと吐き捨てるように紹介していた。まずい、読んだことない。いや、なんなら名前さえ知らなかった。この講義をオンラインで受講していた人たちは幸運だったと思う。そんな風に青ざめる顔を見られずに済んだからだ。

受講からしばらく時間は空いたものの、近くのショッピングモール内にある大きな本屋でひっそりと1冊だけ売られていたこの本を購入し、私は読み始めた。

表紙がいかにも古臭そう。発行してからずいぶんたつ本らしい。書かれている前提や取り上げられる例文が古い。

そして何より、徹頭徹尾他人の文章をめちゃくちゃ否定する。「完全に無意味」とか。「ヘドの出そうな言葉」とか。ここまで過激に否定されると最早ふざけているのかと思ってくる。表紙がまじめな本だから笑う場面ではないのだろうとは思うが、ところどころで吹き出してしまった。

しかし、この本は私が講座の中でもらいたかった「文法・句読点」のテクニックが網羅されていた。しかも、今までよく耳にした文法テクニックで<違和感>を抱いていたある手法を真っ向から否定してくれている本だった。信頼できる。好感度が上がった。

文法のすべてが学べるわけではないが、今すぐ使えるテクニックがちりばめられていて、読み終わるころにはツイートひとつにも自分が書いている文法が気になった。

この文章だって、ある程度は気を付けて書いているが、どうだろうか。

またしばらくしたら読み直したい。

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