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ウィーンの天才ヴァイオリニスト、クライスラーを聴く ための日#28

今日にぴったりな、今日の音楽を紹介

フリッツ・クライスラー(1875-1962)/  シンコペーション

ものすごく間が空いてしまった。秋に遠くに引っ越しをする予定があって、その準備やら何やらでものすごく追われる毎日を過ごしていた。なんだかすごく不運なことが続いて、身の回りの大切なものを失ったり無くしたり、自分の力では到底どうにもならないような出来事たちに見舞われていた。ここまで大変なことが続けば、新生活はたのしいに決まっている。そう、ところで、そんなどうにもならない日々ももちろん毎日音楽を聴いた。そして多くを支えてくれた。
今日は、なんだかおもしろくてお気に入りの作曲家クライスラーをご紹介。


ウィーンの天才ヴァイオリニスト、クライスラーを聴こう

彼はとにかく、おもしろいと思う。
ウィーンの開業医の父のもとに生まれたフリッツ・クライスラー。幼い頃から音楽愛好家の父の影響でヴァイオリンを始めると、みるみるうちに才能を開花。
なんと彼がパリ音楽院を首席で卒業したのは12歳の頃(!)
(もしもモーツァルトが同じ時代にいたら、なんてことを考えてしまう)
実はドイツ系の血筋だったこともあり、つらい戦争の時代を生きた彼だが、明るい性格や気さくな人柄で多くの友人に囲まれていたそう。
晩年はニューヨークで過ごしている。

たくさんヴァイオリンのため曲を残した彼。小品が多いが、どれも彼の性格を表したようなおどけた様子を伺えるようなものばかりで、聴いていておもしろい。
そのなかでも、なんだかとても魅力を感じるのがこの『シンコペーション』
シンコペーションはリズム形態を表す用語である。強拍と弱拍が通常とは違う位置に変えて演奏するものでなんともやみつきになるものだと思う。

この曲を含め、彼の作品は今でも多くのヴァイオリニストによって演奏され続けている。短い作品の中にヴァイオリンの魅力を最大限に吹き込んだ作品ばかりだからだと思う。彼はどんな思いでこのモダンでおもしろい(個人的にその表現がぴったりだと思う)作品を生み出し続けたのだろうか。
彼にもロマンスを感じる。



クライスラーは若かった頃「図書館で有名な作曲家たちの未発掘の作品を見つけた!」と言って自分の作曲したことを秘密にして演奏をしていたことがある。その素晴らしい作品たちに聴衆は魅了されたが、30年ほど経ってそれらが嘘だとバレてしまう!という事件もあった。なんとおどけた人なんだろう。


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