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明日は夏至だよ、魔女たちに気をつけてムソルグスキーを聴こう。 のための曲 #15

今日にぴったりな、今日のための音楽を紹介

モデスト・ムソルグスキー(1839–1881) /   交響詩『はげ山の一夜』

なんだか生活が動き始めるとカラダは動いているのにアタマは止まってしまったみたいで、くらくらしてしまう。カレンダーの日付を追いかける毎日。気がつけば6月も半分終わっていて梅雨になっていた(そういえばものすごく可愛い合羽を買った、幼稚園生の頃に着てたみたいな、そんな柄の、大丈夫かなあ)
そして明日は、夏至らしい。日本って夏至にあまり敏感じゃないけれど、今日は夏至にまつわる音楽を。

明日は夏至だよ、魔女たちに気をつけてムソルグスキーを聴こう

ムソルグスキーといえば、展覧会の絵を含めロシアの重要な作曲家として今では名高い。しかし、彼は生きていた頃、音楽家としてあまり日の目を見ることはなかった。生きた時代も悪かった、ちょうど農奴解放令(1861)で裕福だった家庭が一気に没落してしまう(個人的にロシアの作曲家ってこの頃から第一次世界大戦後くらいまで本当に災難が多くてかわいそうだなあ、といつも思ってしまう、だから生まれた音楽たちだけれど)
この、『はげ山の一夜』も彼が生きていた頃には発表されなかった作品の一つ。
不気味な三連符から始まるこの曲は、ロシアなどで行われる夏至の祭りを題材にしている。実は、この祭りの夜に魔女たちが出てきて大騒ぎするという言い伝えがあるのだ。彼は生前、この魔女たちの騒ぎを音楽にすることを熱心に考えていたそう。

地下から響く不気味な声。魔物たちとチェルノボーグの登場。チェルノボーグの賛美とミサ。魔物たちの宴。教会の鐘の音が鳴り魔物たちは去る。夜が明ける。

これはこの曲のそれぞれの標題である。不気味なシーンなんかでたまに使われていることがあるくらい、ムソルグスキーは魔女たちを巧みに表現している。

(パユがものすごく若くて貴公子感がすごい、ベルリンフィル入団したての頃)


こちらはムソルグスキーの死後に友人であった、リムスキー=コルサコフが編曲した版。実は、長い間こちらが主流だった。ちなみにわたしはいつも、魔女たちが去って夜が明ける頃のフルートとクラリネットのソロを今か今かと胸を躍らせながら曲を聴く。そしてそれが聞こえると、なんだか安心してしまう、やっと朝がくる、と。要するに何度聴いてもそのくらいに臨場感を味わうことができる。

聴き比べも、ぜひ。



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