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全社員をカスタマーマニア化する、ログラスのCSインターン制度

ログラスのカスタマーサクセスチームでは全社一丸となったサクセス体制を構築するために様々な施策をやっているのですが、昨年から実施しているカスタマーサクセスインターン制度(以下、CSインターン制度)がかなり効果的に進んでいる実感を得てきたので、記事にしてみようと思います。

できるだけみなさんにわかりやすく書くように心がけますが、
・カスタマーサクセスをミッションとして取り組んでいる
・顧客の声をプロダクト開発に取り込んでいきたい
・全社を巻き込んでカスタマーサクセス文化を強化していきたい
・BtoB SaaS未経験だが、どんなチームで仕事しているのか興味がある
といった方の参考になれば幸いです。

*なお、取り組みは事業や組織の成長に合わせて随時アップデートされていきます。この記事は2022年1月時点での内容になります。

はじめたきっかけ

昨年、GainsightのCEOであるニック・メータさんが「新・カスタマーサクセスの10の原則」を発表されて話題になりました。

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今回注目いただきたいのは原則その1なのですが、「カスタマーサクセスを会社のコアにしよう」ということが掲げられています。
意味は言葉のままですが、実際に実現していくのは難しいことだというのはBtoB SaaSに関わる方であればわかっていただけると思います。

ログラスでもカスタマーサクセスは事業組織のひとつのFunctionではなく、全社で体現していくものだと考えています。1つの機能を開発する際においても、「この要件はお客様のペインを解決するか?実際に活用するユースケースに応えられるのか?」というものを必ず問いかけるようにしています。

一方、どんどんと各職種で社員が増えていく中で、お客様のペインについて理解を深める機会が相対的に減ってきている課題を感じていました。そんな中で「お客様を理解しよう!」と言葉だけで済ますのではなく、いっそ全員でカスタマーサクセスやるのがいいのでは?という発想をきっかけにスタートしたのがこのCSインターン制度です。

今回はまさにカスタマーサクセス10の原則にも強く紐づく取り組みとして、代表の布川はじめ、社員全員が賛同してくれて実現しました。

なにをやっているのか

CSインターン制度は、下記の要領で実施しています。

対象:全職種 *新入社員は原則参加、手をあげればいつでも参加可能
期間:おおよそ1.5〜2ヶ月程度
内容:CSチームのメンバーと一緒に、下記の様な業務を一緒に進めます。
・新規導入企業さまのオンボーディング支援
・お客様からのお問い合わせ対応
・VoC(お客様の声)をもとにした開発への要望
その他:
・期間中の対応リソースは各チームとも擦り合せの上、本人と合意して決定
・お客様対応の全体オーナーはCSチームがもつものとする

場面としては、特にお客様のオンボーディングで関わってもらう機会が比較的多いです。ドメインの特性上ハイタッチサポートでご支援することもあるので、お客様との定例MTGへの参加や、自身がプロダクトを使って初期設定のマニュアルサポートなどもCSチームと一緒にやっています。

当初は任意参加で始めたものの、後述しますがやらない理由がないくらいに効果が高かったので、現在は全職種を対象に、新入社員の方には原則参加していただくことにしました。

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*1番に反応してくれた、PdMチーム(以降も立候補多数でした)

すでにここまでセールス、BizDev、PdM、エンジニアなどの全職種がこのCSインターンに参加した実績があります。

効果はどうだったか

結論、やらない理由はないくらい素晴らしい施策になっています。

1.お客様のペインをその場で感じることができた

CSインターンの中では、当然ながらお客様との接点が多くあります。
もちろん普段からCSチームから開発側へVoCをフィードバックすることもあるのですが、実際にどんなペインがあるのかというのを、経営管理という複雑性の高いドメインで共感するのは非常に難しいことです。

CSチームが色々な声を届けても、前提となるドメイン知識やお客様の理解がないと社内では「そうなんだ」くらいにしかなりません。共感するには、相手を理解することが何よりも重要です。

インターンの中ではCSチームがお客様の業務フロー整理やドメイン知識の補足サポートを行いながら進めていきますので、その場でイチから理解を進めていくことができます。

2.本当の意味でのプロダクト理解が進んだ

セールスならデモプレイ、開発チームならQAとして各種機能に触ることはありますが、機能の細かな仕様を理解したり、実際にお客様の業務の中でどのように使われているかなどはなかなかインプットする機会がありません。

CSインターンを通してお客様の一連の業務にあわせて自身も機能に触れることで、どんなユースケースに対応できるのか、逆に今時点で対応できないものは何なのかを深く理解できる効果がありました。

結果的に各職種でお客様の活用を解像度高くイメージした上で業務に取り組めるようになり、商談や開発MTGでも活かされていると聞いています。

*管理会計特有の「配賦」の設定をしています

3.CSが上げる開発要望が完全に進みやすくなった

上記1.2にともなって、参加者からは「もっとこんな機能があった方がいいのでは?」という声がたくさんあがってきます。そして、それらが実際にプロダクトの改善にも活かされていることを実感しました。

まず、「CS起点の開発の優先順位・スピード」が明確にあがりました。
CS1人の声ではうまく吸い上げきれなかった要望などが多く集まってくるようになると、明確にプロダクトの課題として認識されるようになります。
特に開発チームが実際に触ってもらうことで、その場で解決のための要件定義や見積を立てていくことができるので、かなりスピード感高く実装までもっていくことができている実感があります。

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*お客様やCSの要望をDBに蓄積しています

4.「素人の視点」から本質的な改善点が出てきた

また、「CSでは気づけなかった視点でのUX改善」が進む様になったこともとても大きな効果です。
CSチームはある意味、社内外でも1番プロダクトに触れている立場なので、慣れによりちょっとした不便さも許容してしまったり、最適化されて何も感じなくなっている時が往々にしてあります(笑)
そんな中、インターン生がエンドユーザーに1番近い新鮮な目線で機能に触れてくれることで、CSチームでは気づけなかったプロダクトの改善ポイントをたくさん見つけてくれます。実際に、この声をきっかけにして生まれた機能も複数あります。

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*CSインターン制度を通して、要望をあげてくれるPdM釜井

5.実務サポートはとても助かった(CSチームとして)

最後は完全にCSチームにとってのプラスなのですが、、実務を一緒にやってくださることで自身がもつタスクが削減され、本当にめちゃくちゃ助かっています。

こういった取り組みについては運用工数が膨らみ、結果的に運営チームに負担がかかるのでは?といった懸念があがりやすいと思うのですが、

・この取り組みの目的や意義を全社員に理解してもらうこと
・しっかりと参加者にコミットしていただくことを約束すること
・対応が難しくなったら、必ずはやめにヘルプをあげてもらうこと

を徹底することで、運用としてはうまくできるかなと思います。

今回の場合、全員が能動的にキャッチアップしてくださり、CSチームが手間が膨らんでしまうことは全くと言っていいほどありませんでした。

始めるにあたっての注意点

これは当たり前なんですが、

・カスタマーサクセスが提供するサービス品質が下がってしまう
・お問い合わせ対応のスピードが遅れてしまう
・お客様に対して間違ったご案内をしてしまう

など、お客様への価値毀損になるような状態をつくってしまうと本末転倒です。なので、今回の様にオーナーはCSチームが担うなど、あくまでタスクの責任者はインターン生以外がもつようにするのがおすすめです。

また、全員でサクセスにコミットできる素晴らしさを分かち合うためにも、プロジェクトオーナーはこの活動の成果と、インターン生への感謝を全社に発信していくことも大切です。

*社内の週次全体MTGにて(SNS投稿OKとなっているコマです)

インターン体験者の声(PdM:釜井)

この取り組みを発表した際に、体験者の声として一筆書きますと言ってくれたので、弊社PdMの釜井に感想を書いてもらうことにしました(笑)

前職ではto BプロダクトのPdMでありながらも、黎明期はセールスもCSもPdMもすべて自分でやる必要があり、おかげでCSが感じること・お客様が感じることを深く理解しながらプロダクトづくりを進めることができました。
ログラスでも早々にその状態に到達したいという思いから、浅見に「お客さんのオンボーディングを手伝わせてほしい」とお願いして携わらせてもらいました。

誰しも、プロダクトを提供する側にいると徐々にその機能に落ち着いた背景や実装上の制約などの知識が溜まってしまい、現状を疑う力が徐々に失われてしまいます。また他方で、新たに参画したメンバーがプロダクトに習熟する上での課題(プロダクトの仕様を把握するコスト/難易度が高い、仕様の背景にあるユースケースや課題意識がわからない、等)も簡単には解決できるものではありません。
特にto BのSaaSは業務に使われるものであり、ユーザ視点でプロダクトと向き合うことが難しい。その業務ドメインの実務経験者でなければ尚更です。

そうした中でCSインターン施策は、参加者が
・ユーザの業務に触れてドメイン知識が深まる、ユーザ視点を獲得できる
・お客様のフィードバックを直接受け止めることができる
・お客様の気づきを(良いことも悪いことも)感じ取ることができる

上に、開発サイドとしても
・メンバーが新規参画する度にフレッシュかつ批判的な視点で改善の種を得られる
・繰り返し声が上がることで、UX改善の優先度を上げやすくなる
・CSがマンパワーをかけて解決してくれている部分の負荷を体験でき、プロダクトを適切にスケーラブルなものへ進化させられる

といったご利益もある最高の施策であると感じました。

釜井からいただいた感想原文ママ

CSインターンを通して、私もいろんな気づきを得られています!いつも本当にありがとうございます!

おわりに

このように、本当にいいことづくめの施策となりました!
ログラスに関わらず、BtoB SaaSの事業組織全般に活かせる取り組みかと思いますので、もしカスタマーサクセスの浸透に悩んでいる場合は、ぜひ試してみてください。(やってみたいからより詳しく知りたい、などあればいつでもご連絡ください!)

こちらの入社エントリでも少し綴っているのですが、カスタマーサクセスという仕事の奥の深さ、難しさ、面白さを肌身に感じながら日々を過ごしています。

世の中的にも徐々に浸透しつつあるカスタマーサクセスという概念ですが、まだまだそれらをレベル高く体現できている企業は少ないです。

私たちもまだ道半ばという状況ですので、これからも全社でサクセスを追求し続けていきたいと思います!手前味噌ながらログラスの素晴らしいなと思うところは、チームみんながお客様への関心が高いところです。
今回のインターン以外にもCS主催で顧客理解ワークショップなどのイベントもやっているのですが、そこにも多くの方が参加してくれます。
こういったCSチームの取り組みも、ちょっとずつ発信していく予定です。

宣伝コーナー

会社のことを書いたnoteの最後なので、当然ながら採用告知です!

ログラスは全職種で愛と狂気をもって採用活動を進めています。
事業の成長スピードはめまぐるしく、そこにあわせて会社や組織もどんどん進化しています。

私は30歳になるタイミングで、はじめてスタートアップにチャレンジすることを決めました。自分の腕一本で勝負するこのゾクゾク感はとても刺激的で、チームにも恵まれながら本当に充実した日々を送っています。

もし共感してくれた方、私と似た様な環境にいらっしゃる方は、まずカジュアルにお話できればなと思いますので、MeetyやTwitterなどからお気軽にご連絡ください。


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