見出し画像

#83 顧客は誰? Entrepreneurship #3

Twitterまんがの「社長と魔法のランプ」とのコラボ企画の第3弾,今回は「顧客は誰なのか?」について書きたいと思います。

シーズ発想とニーズ発想

マーケティング計画を立案する際によく言われるのが,シーズ発想とニーズ発想の違いです。シーズとは種のことで売り手側の売りたいものから発想するのに対して,ニーズ発想は顧客の望むものを察して適時的確に提供するということです。近代が始まる前のモノの無かった時代から,産業革命を出発点としてマーケティング・コンセプトプロダクト・アウト(シーズ発想)からマーケット・イン(ニーズ発想)へと移り変わってきました。

マーケティング・コンセプトの変遷

ペルソナ・マーケティング

現代マーケティングでは,顧客=ユーザー目線で戦略を立てることが基本とされます。代表的な手法として,顧客の具体的な属性を詳細に設定してペルソナとして活用するマーケティングが良く知られています。これは米国の犯罪捜査でプロファイラーが行う手法をマーケティングに応用したものです。

ペルソナ・マーケティングについては,Soup Stock Tokyo がペルソナとして設定した「秋野つゆ」の事例がよく知られています。秋野つゆは,独身37歳の都心で働くキャリア・ウーマンであり,社交的でありながらも自分の時間を大切にする人物(実際のペルソナはもっと詳細)としてペルソナ設定されました。そしてSoup Stock Tokyo は,秋野つゆが好むストア・コンセプト設計をして店舗を現実化させていきました。
https://www.soup-stock-tokyo.com/about/

UX: 顧客体験価値

また,顧客体験価値(UX=user, customer experiece)についてもよく目にします。UX では,製品やサービスそのものだけではなく,その背景や歴史などの文脈=コンテクスト物語=ナラティブについてどの程度顧客の共感を得られるかが重要になります。

例えばレストランの選択の場面では,料理や価格といった基本的なマーケティングの4Pだけでなく,オーナーシェフの性格やこれまでの経験といったバックボーン,提供時の接客や選出のコト消費,アフターフォローでのファンづくりなど,すべての顧客接点でのマーケティング戦略を考える必要があります。そしてそのような顧客体験価値びフローを「旅」として表現したものが,カスタマー・ジャーニーになります。

顧客は追いかけるな!

ところで,そのような現代マーケティングのセオリー通りに顧客中心で発想すれば利益は確保できるのでしょうか。そのような疑問に対しては,これまでの説明とは視点の違う「顧客は追いかけるな!」という本があるのでご紹介しておきたいと思います。

題名だけ見ると顧客中心の現代マーケティングに対するアンチテーゼのように見えますが,シーズ発想に逆戻りをするというのではなく,顧客との価値共創(CSV=Create Shared Varue)に重きを置いています。自分の顧客に対するミッションを明確にすること,理想的な顧客を思い描くこと,そしてそれらの理想的なコラボレーションしているところを明確にイメージすること,というような内容になっています。

H. ミンツバーグが「MBAが会社を滅ぼす」の中で,定型的なMBAのフレームワークが戦略の差別化を生まず競争優位性を創出できない,というようなことを述べています。そのような問題提起の中で,最近注目されてる新しい発想「エフェクチュエーション」について,このシリーズの後半で紹介したいと思っていますので,どうぞご期待ください。

社長お助けランプの精 G. G.

中小企業お助けまんが「社長と魔法のランプ」


正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html