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#82 Logos, Ethos, Pathos 周囲を巻き込めるか:Entrepreneurship #2

Twitterまんがの「社長と魔法のランプ」とのコラボ企画の第2弾ということで,今回は「周囲を巻き込めるか」ということについて,思うところを書き留めておきます。

自分の描いた絵を現実にできるか

経営者は創業時から自分の夢を語ります。ソフトバンクの孫正義氏は,創業のころ「私は豆腐屋になりたい,一兆(丁)二兆(丁)と数えるような」というようなことを言って周囲を驚かせたと言います。自分の mission を明確にして実現させたい絵を描く,つまりできるかどうかを考える前に,やりたいことを言葉にするというのも大切なことでしょう。

自己啓発本の古典ともいえる「思考は現実化する」の著者であるナポレオン・ヒルは,思考が現実化するフローは,思考→行動→習慣→結果だとしました。またP. ドラッカーは,成果を出すのは才能や技術ではなく習慣だ,とも言いました。これらからも,起業家に必要なのはアイデアを発見することもさることながら,それを活かすために意志を持ち,行動し,あきらめず習慣化する,つまり現実化させることに commitment することが大切なのだと知らされます。

周囲を巻き込めるか

成功する起業家は,自分の夢を語って周囲の理解と協力を得ることに長けています。周囲を巻き込みその気にさせるためには,独りよがりの理想論ではなく,納得性の高いビジネスプランを示す必要があります。ビジネスプランの策定に関しては,セオリーに沿ってフレームワークを活用することで,収益性と実現可能性を兼ね備えた「魅力的な絵」を描くことができるようになります。ただし,ビジネスプランはあくまでも机上の論に過ぎないので,そのプランの実現に対して起業家がどれだけ enthusiasm =情熱を持っているかが大切になります。

起業家に求められる周囲を「巻き込む」力

Logos, Ethos, Pathos

ところで,欧米では起業家が投資家に対してビジネスプランをプレゼンテーションすることを,Pitch と言います。そしてこの Pitch で重要とされているのが,Logos,Ethos,Pathos です。これらはギリシャ哲学からきた言葉で,ロゴスはものの道理,エトスは倫理,パトスは情熱を意味しています。つまり Pitch では,ビジネスプランの実現可能性をロジカルに説明できる証拠があり,そのビジネスがなぜ社会に必要かという倫理観や使命感が明確で,それを実現したいと思う起業家の情熱が示されていなければならない,ということなのです。これを考えると,周囲を巻き込む力に必要な要素である,mission =使命感,commitment =責任感,enthusiasm =情熱,とほぼ一緒であると感じます。

人は調子に乗ると,つい出来もしないことを言ってしまいがちです。自分で拡げた風呂敷は自分の手で畳む,自分でできないことは大言壮語しない。周囲の環境と与えられた資源を正確に見積もり,自分に与えられた責務を確実にやり遂げる,「天使のように大胆で悪魔のように繊細な」起業家に投資家は動かされるのかもしれません。

社長お助けランプの精 G. G.

中小企業お助けまんが「社長と魔法のランプ」

正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html