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#31 クリステンセン教授,死す

~イノベーションのジレンマ,破壊的イノベーションなくして進歩なし~

「イノベーションのジレンマ」で,破壊的イノベーションの必要性を提唱したクリステンセン教授が死去しました。本来イノベーションは非連続的で破壊的であるにもかかわらず,大企業ほど過去の成功体験に固執し持続的イノベーションまでにしか踏み込めない,という構造を解き明かしたのが,クリステンセン教授でした。

大企業に限らず,どのような業界でも慣習や伝統がくびきとなって革新的な動きを阻害するものです。筆者の個人的なことで恐縮ですが,その昔,筆者が中小企業診断士の免許を取ったばかりのころ,仕事の仕方をベテランの先輩に尋ねたところ,こんなことを言われました。「公的支援機関の担当者が仕事を依頼する際にもっとも大切にすることは何だかわかるかい?それはね,その人がどんな人かを知ってるかどうかということ,つまり人脈がないと仕事をできないんだよ。」これを聞いて筆者は唖然としました。人脈がないからどうしたらいいか尋ねているのに,人脈を作ることが答えだといわれても,全く答えになっていないではないですか。これまでのやり方を変えない中小企業診断士は,ベテラン先生の鞄持ちをして,地道に公共支援機関との人脈づくりをするという選択をするしかなかったのです。

筆者は,そういった旧態然としたスタイルを避け,かつ中小企業診断士としての仕事も極力避け(実際,その時から筆者は名刺の表に中小企業診断士と書いていない,自分のことを「経営コンサルタント」と称することにしています),自分自身でマーケティングして仕事を開拓する民間コンサルティングの道を選びました。そして今まさに,コンサルティングスタイルをフロー型からストック型に変えるために破壊的イノベーションを行っているところです。この半年で20近く新しい取り組みを行い,現在残すべき活動を半分くらいに絞り込み,当然この note も残したもののひとつです。

「チーズはどこへ消えた」を読んだことのある方は多いと思いますが,いつもチーズが置いてあった場所にチーズがなくなって,行動を変えようとする小人の物語です。結局,環境変化に憤ってみても嘆いてみても何も現実は変わらない,環境を変えられないのであれば自分が行動を変えるしかないのです。これはまさに,現代ビジネス界の寓話といえるでしょう。

筆者は経営者の方には,「会社が現在の3倍に成長するときには,これまで積み重ねて築いてきた効率的な経営システムをいったん破壊して新たなマネジメントシステムを構築しなければならない」とお伝えしています。経営者は決断の連続,その中で過去の成功パターンや過去のしがらみを切り捨てないといけないときも来るはでしょう。その時,どれだけ勇気をもって破壊的になれるか,がその後の10年の方向性を決めるのかもしれません。

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正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html