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顔で笑って、心は泣いているのかもしれない。

こんばんは!ゆきやまのトコです。
冷たい空気と暖かい日差しのコンビネーションは、新しいことが始まる春を思い出させてくれる気がして、毎年なんだかそわそわワクワクしちゃいます。

✳︎✳︎

『自転しながら公転する』を読みました。

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「本屋大賞ノミネート!」の帯に反応して購入という非常にミーハーな動機でしたが、

わーっとかき乱され、最後はぎゅっと暖かい。

そんな至極の一冊でした。

東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作小説。

都がぶつかる悩みは、どれも共感できるものばかり。

いままさに!というものもあれば、
悩んだことあったなあ、というものも、
きっとこれから悩むんだろうなあ、というものもあり、


その都度、自分の経験を重ねて胸がざわざわとしました。

そして、何度か物語の視点が変わることによって、

私の母も、仲良しの友人も、
ぱっと見なんてことない様相で過ごしているように見える身近な人みんな、
きっと色んな悩みや葛藤を心の内には抱えているんだろうなということを、ぐっと感じさせられました。

中学生の時に出会った、BUMP OF CHICKENの”fire sign”という曲。

誰かの為に生きる という 
思いを込めた旗を抱き
拾ってきた笑顔の中に
自分の笑顔だけ見当たらない。
いつか聞こえた泣き声をずっと探していたんだね
少し時間がかかっただけ
自分の声だと気づくまでに

これは私のことだ!
人の心配はできるくせに、自分の辛い苦しいは発信できない私のことだ!

当時はそんな風に感じて、涙が滲みました。

けれど今改めて聴くと、

きっと、こんな気持ちを抱えている人はたくさんいるんだろうな。

そんな風に感じる自分がいます。

SNSを通して、その人の日常が簡単に垣間見えるようになり、考えていることも知ることができるようになったようにも思います。

けれど、
そうやって「見えている姿」と、実際の心の内は、
一層大きく乖離するようになっているのかもしれない。

この仮説を忘れずに、
深く思い遣ることができる、優しい眼差しを持てる人でありたいな。

そんなことを考えさせてくれた一冊でした。




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