日記「ただ会いたいだけ」

平井堅さんが花束を持って歌うのがとても印象的な『ノンフィクション』。人生のやるせなさをつらつらと歌い、サビでは「人生は苦痛ですか？」と問いかけてくる。そして最後に「あなたに会いたいだけ」と締めくくる。おそらく誰もが共感し、平井堅さんの歌声に聴き惚れてしまう一曲。自ら命を絶った友人への鎮魂歌らしい。

「信じたいウソ」「効かないクスリ」「帰れないサヨナラ」。自ら命を絶つ行為は周囲の人々にたくさんの影響を与える。親より先に死ぬのは不幸者、という言葉を聞いたことがある。けれど死は、病死、事故死、災害死、事件死、それぞれ。本人にはどうすることも出来ず、順番が前後してしまうことも多々ある。いつからか私は自死もその一部であると思ようになった。

初めて聴いた時は「あなたに会いたいだけ」というフレーズが頭に残り、恋愛の歌かなと思って『ノンフィクション』というタイトルがよくわからなかった。詩は読み手や聞き手によって解釈は自由だから、恋愛の歌として聴くのも間違ってはいないと私は思う。

もうひとつの解釈の仕方として、私は自分の中の自分を想いながら聴く。

私は自分に問いたい。
「人生は苦痛ですか？」「成功が全てですか？」「人生は悲劇ですか？」「何のため生きてますか？」「誰のため生きれますか？」「人生を恨みますか？」
どの問いにも答えられない。
「消えそうな炎両手で包むように／生きることを諦めきれずにいる」
曲の中盤のこの言葉が全てである。まだ生きることに希望と夢を抱く小さな自分がいるのなら、そいつに会って花束を渡してやりたい。だから叫ぶ。そんなあなたに会いたいだけなんだと。

似た人生があったとしても誰ひとり同じ人生はない。ノンフィクションで溢れた世界だ。それは死んだ人にも、いま生きている人にも、これから産まれてくる人にも。

ぜひ平井堅さんの素敵な歌声をお聴き下さい。 

↓YouTubeよりどうぞ

#日記 #平井堅#ノンフィクション