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日記「朝が好きになった日」

外に出ると一気に冷気が身体に絡みついてくる。歯がしみる程の冷気。11月も晦日。例年の11月より今年は寒いように思う。畑が白い。家々の屋根が白い。車のフロントガラスが白い。有明の月が白い。ゴールデンレトリバーの息が白い。白い朝。

朝のお散歩を始めてから半月が経った。すっかり習慣化し距離も時間も伸びてゆく。私の身体も心も朝のお散歩が気に入ったらしい。

今朝は幹線道路まで川沿いの遊歩道を進み幹線道路を少し歩いて工場の脇を遊歩道に戻るコースを歩く。これは約20分のお散歩コース。

〇〇化学工業は何かの特殊な液体を扱う工場。遠くから白い煙か水蒸気がまっすぐに昇るのが見えた。無風の朝。幹線道路まであと少しの所で工場の正面が見える。赤、黄、青、の警告灯がくるくる回りながら光っている。何台もの大きなタンクローリーがライトを光らせ工場から幹線道路に出てゆく。まだ日の出前の薄暗い時間に賑わいを見せる工場。この街に住んで15年、早朝の〇〇化学工業を見たのは初めてだった。日中は比較的静かな〇〇化学工業がこんなに賑わっている。驚きだ。これは工場夜景ならぬ工場朝景だっ。

数年前に工場夜景というものをテレビで観た。綺麗だった。京浜工業地帯を海から眺める夜景クルーズに乗ってみたいなぁと思っていた。生(なま)の自然とは対照的に人工的で無機質でどこか冷血な感じがする。でもある人が言っていた。「全然、無機質じゃないよ。奥には無数の夜勤者がいて、機械のメーターの針の位置に目を凝らしているのを感じるよ。機械の冷たい人工的な、そんなことないよ。」
って。

フェンスにもたれて、しばらくきらっきらに光る〇〇化学工業を眺めた。作業着を着た人がたくさんいる。タンクローリーの運転席に慣れた動作で飛び乗る人がいる。作業着姿の白髪のおじさんの動きがとても俊敏でかっこいい。工場夜景はたくさんの人達の熱気でできているものなんだぁ。私は工場夜景の外側しか見ていなかったんだなぁ。その人には「テレビで観ただけで本物をみたことがないから」って言い訳させてもらおう。

東の空が桃色から橙色に染まり変わってゆく。気がついたらいつもより景色が明るくなっている。

ん?

スマホをみる。

うぉっ!?

タイムオーバー。約20分のお散歩コースが30分を超えている。やばい。走る。急げ。走る。工場の白髪のおじさんのように俊敏に走るのだ私。走る。あたし朝が好きかも。笑う。

#日記  #朝 #散歩 #工場夜景 #月 #日課






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