easy poem「あっちの空」
ひときわ大きなゴールデンレトリバーの吐く息がとても白く、それは昔テレビで観たたばこを吸うゴリラの吐く煙に似ているが、私の吐く息は少し白いだけであり、朝のお散歩にはマスクを外すようになって日々その白さは濃さを増しているように思うも、ゴールデンレトリバーはマスクをしないから相変わらずとても白いままであるのが少しうらやましい朝で、あっちの空は晴れており影のあるのとないのと境い目はどのあたりなのだろうか気になり、どのくらいか歩いた先にお散歩中の犬さんたちが日向ぼっこをしているのを想像すると、犬さんたちの目の先には二月のまだ弱い朝の太陽があり、ところであっちの空まで正確にどのくらいの距離があるのだろうと、しばらく歩いていると雲が切れてきてもうひとりの私が地面を黒く這いはじめて、思い切って外に干してきた洗濯物は乾くだろうし、空は繋がっているというけれどその距離はいつまでたっても測れない。
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