マガジンのカバー画像

easy poem

35
簡単な詩を掲載。自由に。詩誌に投稿はしないだろう詩、のちのち推敲して投稿するかもしれない詩。
運営しているクリエイター

#忘れられない恋物語

easy poem「白」

easy poem「白」

白は正しい
白は清い
白は美しい

白星
白衣
白無垢
美白化粧品

校則
白い下着以外は着用禁止

警察
奴にはアリバイがある白だ

私は牛乳が飲めません
薄茶色の豆乳で育ちました

私の胸に赤い痕があります
あなたがつけた痕です
正しくないのか
清くないのか

乳白色の入浴剤を入れましょう
白い泡をいっぱい立たせましょう
それから一緒に白い湯に浸かりましょう
そうして私たちは真っ白になりましょ

もっとみる
easy poem「陸橋」

easy poem「陸橋」

電車は西に向かっている
日の入りの太陽を
追っているわけではない
私は私を追いかけて
あるいは
あなたがあなたを追いかけて
北へ向かっているように

音が変わる瞬間の
車輪の決意は
遠くへ響いてから
私の耳に食い込む
その瞬間がとても好き
耳の裏のGIVENCHYが
鼻腔をくすぐる
河川敷を歩く犬たちに
感ずかれているに違いない
それならば、おもしろい
紐を操る人を困らせるほどに
走ってみたらいい

もっとみる
easy poem「境目」

easy poem「境目」

ひと雨ごとに
季節が進むことは
私だけに与えられた
特別な感覚だと思って
ずっと生きてきた
ある人が時候の挨拶として
「ひと雨ごとに寒さが
増してきますね」
と、メッセージを送ってきて
私は特別ではないと知った
あるいは私とある人にだけ
特別に与えられた特別な感覚
なのかもしれない
あるいはそう思いたいだけ
なのかもしれない

春が好きではないらしいので
ある人は秋が好きなのだ
と、勝手に思って

もっとみる
easy poem「海」

easy poem「海」

波が高ければ高いほど
私の乳房は大きくなります
砂浜の砂は
全然さらさらしてなくて
私の食道に余韻を残します

波が重なれば重なるほど
私の身体中にひろがって
喉がとても渇きます
でも海水は絶対に
飲んではいけないよ
って難破船の船長が
言っていました

水平線はいつも
地球はまるいでしょ
って教えてくれるけど
海水が空にこぼれない理由も
全部が地面にくっついてる理由も
よくわからないまま
大人に

もっとみる