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毎年新入社員を迎えると思い出すこと

2019年4月1日、今年は18名を新入社員として迎えることができた。新卒採用を行っている者として、1年の中で最もうれしく、最も身の引き締まる日でもある。そんなぼくも約8年前(2012年入社)は新卒の社員として入社したわけで、入社から研修が終わって営業所配属になるまでの出来事は今でもよく思い出す。その一部を紹介したいと思う。

◆目次
・有休マイナス1日
・社会人初粗相
・まず目の前のことに一生懸命取り組んだ


◆有休マイナス1日

ぼくが社会人になったのは2012年3月。大学時代に留学をしていた関係で、同期からは2年遅れて社会に出た。新卒で入った会社の入社式は3月25日ごろだったと記憶しているが、ぼくは直前に身内に不幸があり、入社初日から欠勤することになった。

制度的には慶弔休暇など使えるのだろうが、まだ何もしていない(しかも何もできない)新入社員の身分で忍びなかったのでぼくからは会社に問合せなどはしなかった。

次の日からは通常通り出社したのだが、1日働いていないので当然その分の給与は引かれていると思っていた。しかしその月の給与明細をみてびっくりした。まだ付与されていない有給休暇が「残日数:-1日」と記載してあったのだ(6か月後に10-1で9日付与された)。しかもこの対応について会社側からは「やっておいたよ」などの言葉はなく、人事部の計らいでしてもらったのだと思う。

この対応(しかも何も言わずに)を受けてぼくはとても感激したし、今でもこの先もこの経験を忘れることはないと思う。規則だからといって一律で処理するのではなく、その人の事情を理解したうえで適切な対応をする、そうすることでみんなが良い気持ちになることができるということを身を持って体験した。

いまは自分が制度の運用を考える立場になった。自分がしてもらった経験があるから、ぼくはそのようなことがサラッとできる会社を作りたいと思っている。


◆社会人初粗相

同期にとっての社会人2日目は、ぼくにとっての初日である。同期たちはどこか連帯感ができあがって、出遅れているぼくはどこかやりずらかった。

「今日から永田くんも合流しました。早速みんなが昨日やったみたいに自己紹介してもらいましょう!」と人事部長が言った。

そうかみんな昨日やったんだな。早くみんなと仲良くなりたいし、ここは一発小ネタでも挟んで同期との距離を縮めよう!そう意気込んで、学生っぽいちょっと笑える話をしたつもりだったが、笑いが起こらない。なんならみんなひきつった表情だし、もう一押ししたら凍り付きそうだ、何かがおかしい。すると内定者時代から仲の良かった同期のAが口を開いた。ちなみにAは関西出身で大学も関西。お互い大学までスポーツをやってきたという共通点もあり、一緒に飲んでちょっと騒いだりするなどかなり意気投合していた。

A:永田さん
私:はい。(永田さん?いままでそんな呼び方されたことない)
A:私たちはもう学生ではないので、しっかりと社会人の言葉で自己紹介をするべきだと思います。先ほどのお話は、まだ学生の気分が抜けていないような内容だと思います、切り替えていきましょう。ニヤリ(彼は一番前に座っていて、人事からAの表情は見えない)
私:はい。(このやろう、裏切りやがったな!)

8年たった今でも、彼とは良い友達だ。


◆まず目の前のことに一生懸命取り組んだ

全体での研修後、各事業部に分かれての研修がスタートした。ぼくは工業用貴金属製品を取り扱う部署に配属になった。そこでの研修は金属(Auなど)を析出させる際の化学式を覚えるなどで、文系で化学は「沈殿」あたりで文字通り完全に底に沈んでしまったぼくにとってはとてもハードルの高いものだった。

でも不思議なことに、「この仕事、自分には合っていないのではないか。」などは考えなかった。とにかく早く会社の一員として認めてもらうために必死に食らいついた。合うとか合わないとかそういう問題ではなくて、自分で選んだ就職先(職業)なんだから、とにかくまずはとことんやってみる、判断するのはそれからでも遅くはないはずと思っていた。

同期の存在も大きかった。同じように文系で化学はよくわからないという仲間と一緒に、助け合いながら前に進む感覚はなんとも言えないものだ。このことは毎年入社してくる新卒社員には必ず伝えている。


HRとして仕事をする上で、この時の出来事が原体験としてかなりの影響を与えていることは間違いない。


2019年4月29日 永田勇気

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