見出し画像

さようなら、ありがとう、パンプス

靴箱の中に眠るパンプス。
普段から履くわけでなく、スーツの時しか出番はない。

「ヒールの高い靴は美脚効果がある」
といわれているけれど、
慣れていない足に馴染むことはない。

だから、私の選ぶ靴のヒールは最大5cm。

10cmなんて想像しただけで恐ろしい。
「はい!今から300m以内に脱げて転けます。」
という状況が生まれそうでならない。


今日は3月31日。所謂、年度末の日。
最近スーツを着たこともあってか、
昨夜なんとなしに靴箱をあけた。

入社してから何足のパンプスを
履き潰してきたことだろう。

その度に、新たな歩きやすいパンプスを求めた。

靴箱にはそうして残った、
数足の黒のパンプスが履かれる時を待っていた。

嗚呼、ごめんなさい。
たぶん私はもう、あなたたちを履かない。


#KuToo運動が叫ばれていたときは、
何とも思っていなかった。

けれども、自分を大事にしはじめたら、
いつの間にか、平たいクッション性の高い靴ばかり
選ぶようになっていた。

それでも、まだ納得のいく一足には出会えていない。

ごめんね、今までありがとう。
私と一緒に出かけてくれて嬉しかった。


今はもう靴箱にいないパンプス達のことを思い出すと、
その場面や気持ちが蘇るような気がして、
胸に手を当てる。

さぁ、明日から新年度。
私は「希望に満ちた」という感じではないけれど。
変わらぬ日常というのも、それはまた良い気がする。

パンプスがそれを教えてくれた。

新入社員の皆さん、
足をどうか大切に。自分を大切に。

とい。

この記事が参加している募集