見出し画像

父の「荒地の魔女化」と母の「終活という名のスタイリング」

おはようございます!ゴールデンウィーク真っ只中いかがお過ごしですか?わたしは、久しぶりに(3年ぶりくらい?)実家へ娘たちを連れて行ってきました。

母曰く、80才近くになる父の様子がヤバい!というので、とりあえず様子見に♡

父は、家では我慢強く寡黙な性格。仕事で外に出る時はコミュニケーション上手。どちらが本当かといえば、家の方だろう。外では家族を支えるために、仕事として身につけたコミュニケーションスキルだと、娘のわたしからすると思う。

一方で母は、先祖は「口」だなというくらい、一人で喋っている。思考したことは余すことなく全て声になって口から出てしまう。母は、思考のおしゃべりの達人だ。

そんな父と母だから、父は右から左へ母の声をスルーするスキルを身につけ、母は父の口を何とかこじ開けて会話しようと襲い掛かる猛獣と化している。

ただ、母は北風と太陽でいうなれば、北風だ。とにかく力技一本で攻めることしかできない。だから父は頑なにスルーするのだ(笑)そして娘として、父のその気持ちは大共感なのだ(笑)

母という「思考のおしゃべりの達人、口から猛獣」に対峙するには、スルー力を磨くほかなく、それが最大の防御であり、最高の攻撃力にもなっている(笑)

最近、父の衰えを感じる母は、<選ばれし者>になってしまわないかを心配している。<選ばれし者>とは、我が長女が言ったことなのだが、大学での選択授業で心理学を学んだとき、その講師が「認知症は選ばれた人しかなれない」と言った。

その言葉を聞いて、長女は「勇者と同じ」と思ったらしい(笑)そのときから認知症と聞くと「選ばれし者」と思うらしい。

もちろん、その状態の人を支える家族の苦労と苦労と苦労は想像できる。だから、すべての認知症の方をそう言いたいわけではなくて、今現在、父の衰えを訴える母と、その様子を見に行った時点での主観的な感じ方の話なので、認知症がなんぞやという議論をしたいわけではないので、そこはご理解ください。

谷本家の捉え方

確かに、母の言うように、足腰も弱くなって、昔の覇気はなくなり、無表情&無関心といった感じだ。

このままじゃ選ばれし者が確定していってしまうと焦る「祖先が口」の母は、必死に話しかけている!と対処法を教えてくれた…。例えば、勝敗で機嫌が決まってしまうほどジャイアンツ大好きな父だからと

母:「お父さん!昨日は巨人勝ったの?負けたの?」
父:「勝ったよ」
母:「ふ〜ん!よかったね」
父:「…」
というように、「私はボケちゃ大変と思って話しかけてるのに、お父さんは全く話さないのよ!!」と。。。

きっとその時の母の頭の中はこうだ。

お父さんがボケちゃ大変だわ!
あ、そうだ!話をさせなきゃ!
あ、巨人の話題したら話すわね!

父の頭の中はこうだ。

ん?巨人?勝ったよ

父の頭の中

母は、思考のおしゃべりの達人すぎて、上記のようなものを「会話」と呼んでいる。

わたしも長女も「・・・。」言葉にならない。が、そこは様子見に行った身としては、何か言わなければならないので、母に「それは会話じゃね〜っす」と伝えた。きっと理解しないけれど、会話ってどういうことか?を実践してみた。(特に真意は伝えずに自然に)

わたし:「最近のジャイアンツって、お父さん的にどうなの?

父:「坂本が登録抹消されちゃったから、チームを引っ張る奴がいないんだよ。キャッチャーも3人で回してるから、精神的にもドンと構える奴もいないし、昨日なんてポロポロポロポロと内野がエラー連発してさ〜」

わたし:「プロ野球じゃなくてポロ野球だ」

父:「そうなんだよ〜ポロ野球だwww」

わたし:「少年野球だね〜」

父:「そうだよそうだ、少年野球みたいだったよwww」

わたし:「昔はさ、山倉ってキャッチャーいたね、地味だけど良いところで打ったりして活躍するね」

父:「そうだな、山倉はどしっとしてたな」

わたし:「あの時代は華やかだったね〜、オロナミンCのCMの小さな巨人の篠塚もいてね」

父:「うん、篠塚は守りがうまかったからな〜。今はそんなに守りのうまいのはいないんだよ。ポロ野球だからwwwwwww」

…etc

こんな会話をしていたら、母に向かって長女が一言…
長女:「ばあば、これ、会話ってやつ」
母:「ふ〜ん、ママ(わたし)が話しかけたから、じいじも嬉しくなって喋ってんでしょ」
長女:「いや、全然違うし」

母はやっぱり思考のおしゃべりの達人、マウスモンスターだ(笑)もっと言うなれば、母は、会話がしたいのではなく、自分の「不安」を解消させたい。そのために父に話をさせたいのだ。

だから、YES or NOとしか答えられない、閉じた質問でしか話かけられない。会話の肝である「相手への興味関心」がない。

人というのは、社交辞令で話しかけられている、機嫌を取られている、心のうちを探られてる、心ここに在らず、など、相手の話しかけてくる目的を感じ取れる生き物だ。

人が話すというのは、少なくとも自分の中の何かを満たすことができそうだから行う欲求充足のための「行為」なのだ。

だから、話しかけられて答えるときも同じく。

相手の中の欲求を満たすために「話してあげる」ことで、自分の中の何かが満たせると思い、答えるということを選択する人もいれば、いない人もいる。

父は、返事はする(母の行為に最低限の反応)が、それ以上の「母の真意=不安の解消」という欲求に対しては、関心もなければ、不安解消のために話してあげるという高度なコミュニケーション能力もなければ、衰えとともに、そんなエネルギーも使いたくはないのだ。

母には、YES or NOで答えられるような話しかけはせず、相手が頭の中で「思い出す」「思考する」はずであり、しかもそれを喜んで行ってしまうようなことを話しかけよう!と伝えた。思考のおしゃべりの達人 マウスモンスターには無理難題すぎるが…。それでしか思考のおしゃべりの達人 マウスモンスターの不安解消にはつながらないのだ。


そんなこんなの実家での時間も、思考のおしゃべりの達人 マウスモンスターの不安解消サポートに邁進することになる。

父との会話問題を、納得したかしないかはわからないが、お次は「終活問題」だ。
クローゼットに連れていかれて、正絹の着物はこれとこれで、死んだらこの正絹の着物をお棺の中の自分に着せるのは難しいから上からかけて納めてくれ!とか。

この時のわたしの思考は…「お棺の中のオカンにかけるのね」と少々不謹慎だ。だから口には出さない思考のおしゃべりの達人 マウスモンスターの娘である。

そして、「このコートは高かった、でも着て行くところがない、最近は病院に行くくらいだから」「この服は1回しか着てない、でも着て行くところがない最近は病院に行くくらいだから」「この服は、〇〇のときに買ったっきり、着ていくところがない、最近は病院に行くくらいだから」という話をしばし聞き、わたしがスタイリング提案をする番だ。

「これはこれとこうして着ると普段も着られる」「これはこの組み合わせ」「これもいいよ」などと、次々に提案する。(スタイリングでどうにもならない服はその場でゴミ袋へ)

提案するたびに、横で見ている長女が「いいじゃんいいじゃん、それいいよ!病院行くとき着てけっ」「おお〜、めちゃおしゃれじゃん!病院行くとき着てけっ」「似合う似合う!若々しいよ!病院行くとき着てけっ」と言う。長女は頭の回転が早く、ツッコミ上手のところがある。だからオチも考えてあるはず(笑)

母は「病院にこんな格好して行く人はいないわよ」と笑っているが、長女は「病院しか行くとこないなら、着て行くところは病院しかないでしょ〜www」と。さすがだ。母もそりゃそうだと爆笑している。

終活に向けて、服を処分したいはずが、スタイリングされてクローゼットに再び戻っていく服。

柔軟vs頑な だけど、やっぱり柔軟が勝つんだよな〜と、わたしも面白くその場を見ていた。思考のおしゃべりの達人 マウスモンスターは、自分の思考に支配されているから、「〜べき」「〜が当たり前」が強すぎて、時折、思考vs感性での誤作動が起きるが、人ってもんは感性の生き物ゆえ、感性が刺激されたら前向きになるもの。病院以外に着ていく場所を見つけ出すかもしれない。

さてさて、そんなことをしている女性陣を横目に、父はというと、ハウルの動く城にでてくる魔力を抜かれた「荒地の魔女」のような可愛さで、ただただ次女とボ〜ッと座っていた。

父が選べれし者になるかならないか…わたしも思考のおしゃべりの達人 マウスモンスターと共に、試行錯誤はつづく。



わたしの世界観をデロデロと、キャハキャハと表現すると心に誓いました。サポートをしていただいた暁には、少しでも良い世界観を表現できるよう美意識の向上エネルギーに使わせていただきます♪そして肥えたわたしをこのnoteにまた循環させていきます♪