【保育の場から】本来の力を発揮できるとき

小児科病棟で働いているときに、よく感じていたことがあります。
お子さんが回復してきた頃に思うのです。
「あなたは本当はこういう人だったのね」と。

当然なのですが、入院してきたときは体調が非常に悪い。
だから機嫌も悪いし、普段はできることでもできなくなっていたり、甘えたい気持ちがとても強くなっていたりします。
たくさん泣くし、パニックにもなるし、表情が乏しくなってしまう子もいる。

それが徐々に入院生活にも慣れて病気から回復してくると、楽しく遊びたい気持ちが大きくなってきます。
そうなると、笑顔が増えたりはしゃぐ姿が見られる。
こちらの話が通じているなという感覚を得られる。
自分でできることをやろうとする。
お子さんの本来の姿が見られるというのは、やっぱりとても嬉しいものです。

現在勤務する一時保育室でも同じことを感じます。
お子さんが保護者の方から離れるのが初めてだったりと、まだ保育に慣れていない場合などは最初のうちは本当に荒れて大変なこともあります。

何十分も大きく暴れながら泣いたり、行動を制されることを極端に嫌がったり。
私たちの話が通じているのかな?と思うくらい、自分の思うようにしか行動できなかったり。

それを何回か繰り返しているうちに、子どもが変わってくるのです。
気持ちを自分で切り替えてすぐ泣き止めるようになったり
私たちの話にちゃんと耳を傾けることが増えたり
片付けができることが増えたり
「トイレに行こう」と言うと、自分でおもちゃを置いて部屋の出口に向かったりするようになるのです。

本当に感動します。
根気よく仲良くなろうとしてきて良かったなと。
その子本来の力をついに発揮できるようになったのだなと。

お子さんにとって、「安心できる」ということはとても大きなことなのだなとあらためて感じました。
不安な環境では、自分を守ることや自分の欲求を満たすことでいっぱいいっぱいになってしまうのかもしれません。

先日、まさしく「心配だなぁ」とみんなで感じていたお子さんのひとりが開花しました。
笑顔で「キャー!」と言いながら駆け寄って抱きついてきてくれたときは、とても嬉しかったなぁ。

お子さんはみんな、様々に自分の力をちゃんと持っている。
もしかしたらそれは、時には大人が期待する形とは少し違うかもしれないけれど、その子が安心して力を発揮できたら、それが一番いい形。


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