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【保育の場から】「子育て」へのリスペクトと「保育」の専門性について考えた

先日とあるバラエティ番組を見ていると、少し前からよくメディアに出るようになっている保育士さんが出演されていました。

テレビで子育てに関するアドバイスを話すと必ずSNSなどで「子どもがいないくせに」みたいなことを書かれる、と憤慨されていました。

その方の発言内容や発信内容についてここで云々言うつもりはありません。

私が今回注目したのは、子どものいない保育士が「子どもがいないくせに」みたいな言われ方をする場合がある、という事実についてです。

「子どもがいないくせに」って言う人は子育て中の方なんだろうと仮定して、そう言いたくなる原因について想像しました。

・アドバイス内容への不満
・アドバイスしてきた人との信頼関係の有無
・「私のしんどさに寄り添ってくれてない」という不満
(上から目線で言われてる、みたいな感じ)

などかな。

私はここにさらに追加して、保育士という仕事の専門性が世間に認められていないということが背景にあると感じました。

保育士の役割には、保護者の方々の支援というものがあります。
子育てができない時間帯にお子様をお預かりすることもそうですし、子育てに関して相談に乗るといったことも含まれます。

基本的に保育士は保護者の方々に寄り添う必要があるし、安心したりやる気になるような伝え方をしなければならない。
だからまぁ、アドバイスに不満を持たれたとしたら、自身の言葉の選び方や伝え方を省みる必要があるんだとは思うのだけど。

ここで、保護者の方の「子育て」と我々の仕事である「保育」ということの違いが出てくるのかな、と。

基本的に「子育て」と「保育」は異なるものです。

私には子どもがいません。
だから、「子育て」については想像するしかないんですが。
プライベートな時間に子どもがずっといて、常に安全を保証し成長について気にかけないといけないんだなって思うと…
いやいやいや本当に大変ですわ。
子どもを一生懸命育てているすべての方々にリスペクトです。本当に。

だけど、私は「保育」の仕事をしています。
私自身まだまだ不勉強な部分も多いとはいえ、子どもの発達について勉強しているし、言葉がけの仕方や接し方ひとつについても、子どもの成長にとってプラスになるものを選び取るように意識しています。

保育士はさまざまな子どもたちと関わっているので、「こうすると子どもはこう反応することが多い」とか「こうするとこういう力が育ちやすい」みたいな経験上のデータみたいなものを各保育士が持っていると思います。
保育園で行われる活動は、楽しみながら子どもたちの発達を促したり能力を高められるように保育士が考え計画しているのです。(基本的にはそのはずだ)

だから、子どもがいなくても保護者の方々に「こうしたほうが子どもにとっていいこと」とアドバイスするわけです。
保育士という仕事をしている以上、それができるようになっていかないといけない。

ただやはり世間的には、「保育士は専門性の高い仕事だ」という認識があまりされていないのかなって感じるのです。
とりあえず子ども預かってくれる人たち、みたいな。
子どもにいろいろ経験させてくれてしつけもなんかしてくれる人たち、みたいな。

「親の代わり+α」みたいな感覚だから、「子育て」経験のない保育士に対しての信頼度が低くなることがあるのかな?と思ったんです。

「子どもがいないくせに」発言をする方々がどういった属性なのかは知らないので、もしかしたら保育園をあまり利用していない人たちかもしれないし、保育士の子どもの有無についてあまり気にしていない保護者の方々だってたくさんいらっしゃるとは思うんですけどね。

あと単純に、子どもがいない保育士は年齢が若い場合が多いから、単純に経験値の低さが表れていて信頼度が低くなるっていうこともあるでしょうが。

なんかね、子どものいない保育士のひとりとして、実際の能力に関わらず「子どもがいない」という事実だけで話をまともに聞いてもらえない可能性があるとしたら悲しいなって、単純に思ったんです。
実際職場でも、子どもがいなくても素晴らしい保育をされる大先輩がいらっしゃいます。

だからテレビを見ていて、いろいろ考えてしまいました。
「底辺の職業」とか言われていたのも、世間の認識のあらわれ。
子どもの専門家として世間から認知してもらえるよう、私たちも研鑽を続けなければ、なのですね。
ふぅ、がんばろ。


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