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井の頭公園で朝食を。「カルピス朝飯会」

あなたは「カルピス」はお好きですか?
 
(おそらく誰しも一度は飲んだことがあると思いますが)

カルピスは日本生まれの飲み物で、
牛乳のような味もしますが、ヨーグルトのようなかすかな酸味があります。
 
わたしが子供だった頃は、
今ほどたくさんの種類のジュースや
子供用の飲み物は
ありませんでした。
 
ですから、カルピスは
ちょっと特別な飲み物だったのです。 
 
もし、井の頭公園でカルピスとともに供される
特別な朝食会が行われていたら、
あなたは参加してみたいですか? 
 
実は「カルピス朝飯会」という名の朝食会は
過去に実際に井の頭公園で
行われていたのです。 
 
自宅で書類の整理をしていた時、
三鷹市が発行した情報誌「みぃむ」を
見つけました。

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面白くてパラパラめくっているうちに、
目に飛び込んできたのが
「カルピス朝飯会」
の文字。 
 

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「朝食会」ではなく、「朝飯会」。
 
しかも右始まりの横書きの広告なので、
「いつの話だろう?」と思ったら
1935年(昭和10年)、
今から85年前のことでした。 
 
なんでも、当時の井の頭公園は
東京市民(当時は東京都ではなかったので)の
学校遠足の目的地として、そして
健康増進のために活用されていたとか。 
 
都心から井の頭公園方面を結ぶ
当時の「帝都電鉄井の頭線」でも
公園訪問者むけの催しとして
朝食会を開催し、
参加者には往復運賃を割り引くサービスも
行なっていたそうです。 
 
「でも、なぜカルピス?」と思いませんか? 
 
当時、公園内にはカルピスが経営する
アンテナショップ「カピー」があったため、
帝都電鉄とカルピスが協力して
カルピスの主力商品を提供する
「カルピス朝飯会」
を開催することになったとのこと(^^)
 
1935年8月2日付の朝日新聞に掲載された
「カルピス朝飯会」
の広告を拡大して読んでみました。 
  

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献立を見ると
(拡大しても読めない部分もありますが)
 
1. 朝飯前のカルピス
2. 特製サンドイッチ
3. (「茶粥或は御飯」に見えますが、
サンドイッチの後でそれはないですよね、汗)
4、ツクダニと香ノ物
(これが間違いでなければ、やはり3は茶粥か御飯?)
5、半熟タマゴ
6、食後のカルピス 
 
「カルピス朝飯会」の名前通り、
カルピスに始まって、
カルピスで終わっていますね(^^)
 
「御予約」については
「『前日までに』ハガキ又は電話で
左記へお申込下さいますと御便利です」
とあります。 
 
「ハガキ」というところに時代を感じますね。
 
実際の「朝飯会」の写真があったら
みてみたいなと思いました。 

画像4

(東山魁夷画伯の絵?と思ったら、
川瀬巴水という方の描いた「井の頭の春の夜」
という美しい作品でした)  
 

この情報誌にはふむふむと読んでしまう記事や
たくさんの美しい写真が掲載されていて、
思わず片付けの手を止めて
読んでしまいました(^^)
 
それでは、今日も素敵なお時間を
お過ごし下さいね。 
 
今日も最後まで読んでいただき、
 
ありがとうございました。
 
*この情報誌「みぃむ」は
三鷹市が発行している
「エコミュージアム情報誌」で
みたかエコミュージアム
Mitaka Eco Museum Excursion
の頭文字をとって名付けられているそうですが、
もう一つの意味についても書かれていました。
 
MEMEは生物学者の
リチャード・ドーキンス氏が
「利己的な遺伝子」という著書の中で
ヒトの文化における社会的に共有される情報
(社会的な遺伝子)のことを
名付けた言葉でもあるのです。
 
(数年前に自己啓発の学びの中で
この言葉に出会ったことも、
懐かしく思い出しました) 
 
広報誌の名前に
この言葉が選ばれていることにも
三鷹市の文化の香りを感じました。
 
ドーキンス氏の考え方の中では、
ヒトは遺伝子の乗り物なので、
偶然のように三鷹に住むようになったわたしも
 
三鷹の文化的・社会的遺伝子を
貰い受け、伝えて行く役割を担っているのです。  

そう思うと、なんだか嬉しく感じました

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