長期的な取り組みの苦手な子どもへの対応は?

こんにちは、辰巳です。


音楽講師の皆様、小さい子どもさんをレッスンされる事も多いと思います。

小さい子ども達へのレッスンは、音楽的技術よりも、子供達との関わり方が難しい事もありますよね。色々と困る事があると思います。

たとえば、

一回弾いて出来なければ「もうやりたくない」

「こんなの難しくて出来ないよ!」

弾けていないのに合格出来ないと泣いちゃう子、


などなど、このような事はありませんか?

今日は、発達心理学を応用しながら、このようなケースへの対応のお話です。


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小学3年生位までの子どもには、

⭐︎先の見通しが立てられない

⭐︎内容を言葉より視覚で理解する


などといった特徴があります。

先生は、これらのポイントをどのようにレッスンで応用するのかが鍵になってきます。


何か曲を仕上げるには、数週間から数ヶ月かかりますよね。

1日練習したからといって、一曲スラスラ弾けるようにはならない事が多いでしょう。

先生方や大人であれば、少しずつ練習すれば数ヶ月後に出来るようになる、というイメージが理解出来ます、コレが「見通しが立てられる」という事です。見通しの立っている事であれば、すぐに出来なくても受け入れられます。

しかし、3年生位までの子どもは、この見通しが立たないため、「今、目の前の状態」しか目に入らないのです。そして、それがずっと続くような感覚になってしまうのです。


ここで先生方が、

「少しずつ練習すれば弾けるようになるよ」

と話して聞かせたとしましょう。

しかし、子ども達は、その説明だけでは漠然としていてあまりピンと来ないのです。

ここで、「子どもは視覚から理解する」という特徴を利用します。

私は自分のレッスンで、生徒さんが「こんなの難しいよー(>_<)」と言って泣き出したら、

こんなイラストを一緒に書いたりします♪

上の列が「頑張った人」、下の列が「サボった人」です。

画像1

「今はここにいて、こんなお顔だよね(>_<)」

「練習しても、来週もたぶんこんなお顔(-_-)」

「でも、そのまま練習してたら次はホラ!こんなお顔になるよねぇ(^ ^)」

、、、こんな風にお話していると、泣いていた子どもの表情は、イラストの顔と同じようにみるみる明るく変化してゆきます(^^)

「練習していたら、来月にはこんなお顔になってるよ(^^)」

「お誕生日の頃かなぁ」

「そうだね、楽しみだね♪」

「下のお顔の人には絶対なりたくない!」

「だよね〜」

このように、イラストを使いながら「弾けるのは具体的にいつ頃か」と話してあげる事で、小さな子どもでも見通しを立てる事が出来るのです。

また、何度かこういう事をしていると、子どもは自分で見通しを立てられるように勝手になってくれます♪


このイラストを生徒さんのノートに書いておいてあげたところ、生徒さんが進捗状況に合わせて「今の自分の表情」の顔マネをしてくれる事もありました、笑。こうやって、弾けていない過程も楽しんでくれる様子が見られるのは嬉しい事です。

おうちでもお母さんと一緒に「今のお顔」と遊んでくれたりもするようで、おうちの方も巻き込めればより効果的ですね♪


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もう1つ例を挙げます。

先程は「曲に取り組んですぐ」というシーンでしたが、次は「なかなか合格出来なくて機嫌が悪くなる」というシーンです。

こういう事ありませんか?

だいたいは弾けてるんだけど、先生としてはまだ合格にしたくない、本当はもう少しちゃんと仕上げてから次に進みたいけど、本人がそれを望んでいないから、ついついオマケで合格させてしまう、、

あるあるかと思います(^_^;)

ここでも、イラストを使います。

こんな感じで、練習を山登りに見立てます。

画像2

「ずいぶん良くなって来たね。先週はこのあたりだったけど、今週はここまで来たよ!でも、あとちょっとだけ、もう一息かな!」

このように、「まだ合格ではない」という表現ではなく「前よりどれだけ進んだか」という切り口で話すのです。

同じ出来栄えでも、否定の表現ではなく肯定の表現で伝えるのです。

そして生徒に、

「あと何を頑張ればてっぺんまで登れそうかなぁ?」

と聞いてあげましょう。自分で課題を見つけてくれるかもしれませんし、分からなければそこで先生がアドバイスをすると良いでしょう。

オマケ合格を望んでいた子どもも、このイラストを見てしまうと、「あとチョット」登れていない部分が残っていると気持ち悪いですよね。

そして、「あとチョット」の課題を、生徒と先生で共通認識すれば、お互いに気分良く「合格!」となるわけです。

「オマケ合格」でもどかしい思いをされている先生がおられましたら、イラスト作戦、是非取り入れてみてくださいね♪


イラスト作戦、他には、


強弱記号の横に大きさを連想させる動物のイラストを、速度表記の横には乗り物のイラストを、発想標語の横には顔の表情を描いたりしても効果的です。


このように、私は子どものレッスンでよくイラストを描くのですが、、、

私、絵がすごく下手なんですよね(^_^;)

それで、ある時、当時3年生の生徒さんに、

「もっと上手く描けたらいいのになぁ」

って話すと、

「先生、はじめから上手に描けないのは当たり前やで?練習すれば上手くなるよ!」

と言われました。

私にとって、育てていた種から芽が出た瞬間でしたから、

その時は内心「ヨッシャー(≧∀≦)♪」でした。

生徒さんの口からこんな言葉を言わせられたら先生の勝ちですねっ( *´艸`)


そして、小学生の女子のこういう所、ホント可愛いです(o˘◡︎˘o)


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ピアノをはじめ、楽器の練習は、少しずつ成長しますから、「少しの変化や成長」をいかに見つけられるかがとても大切です。

僅かであっても「やった分だけ」進歩はしているはずです。そこに気付けるように働きかけるのが先生の役割です。


種を植えて水をやっても、すぐに芽が出て花が咲くわけではありませんね。

見た目に変化はないけれど、来る日も来る日も水をあげる作業は練習に似ています。

芽が出るまでの長い期間を、

「毎日水やりしてるのに全然芽が出ないよ!」

と、イライラしたり落ち込んだりして過ごすのか

「早く芽が出ないかなぁ( *´艸`)」

と、ワクワクしながら楽しみに過ごすのか、

これを分けるのは、先生の言葉のかけ方にかかってくるのかなと思います(^ ^)


芽が出るまでのイラストを一緒に描いたりしながらお話する時間を持つ事もオススメです。

一緒に絵を描く事で、「考えの押し付け」ではなく「自分と先生が一緒に見付けた楽しみ」というイメージを生徒さんが持ってくれるようにもなるのです。


イラストを描いたり、お話をすると、レッスン内で弾く時間が減ってしまうなぁ、、と思ってしまう事もあるかもしれませんが、

そこは急がば回れです♪

目に見える表面的な事を急ぐよりも、大切な事であれば時間をかける価値はあると思います。


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見通しの立たない事がどれほど不安か、皆さまコロナで身をもって実感されている事と思います。

せめてレッスンでは見通しを!ですね(^^)

お読みくださってありがとうございました♪

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