カメラを止めるな！と匂わせエスニック｜構造の共通点

こんにちは。
広告会社でプランナーをやっている
松本悠樹(マツモトユウキ)です。

今回はSNSで話題になったコンテンツについて気付いたことをまとめようと思います。

日清食品の広告

突然ですが、自分は日清食品の広告が好きです。

●ひよこちゃんがグレてデビルマンばりに悪魔化してしまう「アクマのキムラー」
●アオハルなタッチで麦わら海賊団を描く「HUNGRY DAYS」
●星野源さんと吉岡里帆のやり取りにニヤニヤしてしまう「どんぎつね」
●詩的な表現を盛り込みがちな不動産広告をパロった「どん兵衛」の交通広告

などなど

カレーメシCMの「麺より飯！」と叫びながら看板商品のカップヌードルを爆破するシーンは、色んな意味で腹を抱えて笑いましたw

そんな、記憶に爪痕を残しまくる日清の広告ですが、約１カ月ほど前に公開された動画が話題になりました。その動画がこちら。(縦型動画なのでフルスクリーンで是非！)

日清旅するエスニック「匂わせたい篇」

匂わせエスニック、ご存知でしたか？面白いですよね。
あ～インスタにこういう匂わせ投稿あげる人いるよね～とか、芸能界の不倫報道でもSNS上の匂わせ行為が話題になってたな～とか思いながら見ていると、見事に裏切られる展開。

「この動画面白いな～」と思いつつTwitterで検索してみると、出演者を起点に結構バズっていました。ただ個人的に凄いと感じたのが、広告の仕事をしていない（普段広告に興味がないであろう）地元・大学の友人たちが「これ面白かったよ！」とわざわざ連絡してくれたことでした。しかも１人ではなく複数人。

自分が広告の仕事をしていることを知っている友人たちなので、共有のつもりで送ってくれたようです。でも、このアクションってなかなか凄い。好きな曲や漫画の情報をシェアすることはあっても、広告ってなかなかその対象にならないと思うんです。

「匂わせエスニック」の構造

そこで、「面白い→共有しよう」まで行動させた魅力がどこにあるのか、匂わせエスニックの動画構造を分解してみました。
めちゃくちゃシンプルですが、こんな感じ？

「彼氏を匂わせるSNS投稿」に注目させて視聴者の共感を得た上で、その共感をドーーーンと裏切る構造。裏切り前と裏切り後のギャップが大きく、視聴者が想像していたオチとかけ離れたところに着地するので「そっちかーいw」「何これ、おもしろっ！」ってなるんでしょうね。してやられた。

あと、動画冒頭のアイキャッチも秀逸。匂わせネタを投下しつつ、アーティストのミュージックビデオ風に動画がスタート。YouTubeで流れる広告なので、最初の5秒でスキップされないようにする工夫ですね。
広告にしては90秒と長めの尺ですが、伏線回収パートも音楽に合わせてテンポ良く進行するので、最後まですんなりと見てしまいます。秀逸だなぁ。

と、この動画の構造について考えているときに気づきました。
こういう構造のコンテンツって沢山ありますよね！
大どんでん返し系の映画とかですね。

そこで真っ先に浮かんだのがこの映画。

「カメラを止めるな！」の構造

(⚠️この後、映画のネタバレを含みます⚠️)
略称：カメ止め。ネタバレ厳禁なストーリー展開で話題になった上田慎一郎監督の映画。

「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。」のキャッチコピー、映画を観た方は、なるほど！ですよね。「二度はじまる」の部分が裏切り。

構造を分解します。

「匂わせエスニック」と比較すると、裏切り前・後のネタはもちろん異なりますが、構造はほとんど同じです。映画のジャンルが180度変わる振れ幅の大きい裏切りがあり、伏線として積み上げられた小ネタをクライマックスでイッキに回収する流れ。

自分はこの作品を映画館（満員）で見ましたが、伏線回収パートは、自分を含め会場みんながゲラゲラ笑っていて、なかなか貴重な体験でした。（完全に余談ですが、自分は映画の中で提示された伏線は全て綺麗に回収してほしいタイプなので、「カメ止め」は見ていてほんとにすっきりしました。）

あと、「二度はじまる」という裏切り部分が、ストーリーの構造上最大のオチになっているので、観た人からすると、部分的にネタバレすることが難しく、「面白いから色々言いたいけど、言うと全部ネタバレになっちゃうからとにかく観て！」というようなクチコミがSNSで拡散したのかな、と思いました。

まとめ

ということで、構造のまとめです。それぞれの段階をもう少し具体的にすると、こういうことかと↓↓↓

こういう構造を自分の中に沢山ストックしていると、企画を考えるヒントになるので、なるべく物事を構造化して、似ているものは結び付けて整理するようにしています。
「この小説／漫画／映画／アニメ／広告も同じ構造じゃないー？」みたいな発見があれば是非教えてください！

ということで、最後まで読んでいただきありがとうございました！
次回は「100日後に死ぬワニ」と「ミステリー」の構造についてまとめてみようかと考え中です。

最後に、「匂わせエスニック」「カメ止め」と同じ構造で作られている海外の動画事例を紹介しておきます。一見心温まるラブストーリーに見えますが……とりあえずご覧ください。

松本悠樹｜P-room
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