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ワーキングメモリシリーズ1 不注意はなぜ起こる?

1)ワーキングメモリが弱いとは

 ワーキングメモリはかなりメジャーな言葉になってきました。
 多くの方が、ワーキングメモリは「短期記憶」ということで理解されています。
 つまり「ワーキングメモリが弱い=忘れっぽい」
 これは間違いではありません。
 しかし、一つの現象にしかすぎません。
 大雑把に言って次のワーキングメモリの機能があります。

 ①脳のメモ帳(短期記憶)
 ②脳のレコーダー(聴覚短期記憶)
 ③脳のデジカメ(視覚短期記憶)
 ④今 集中するところを決める(フォーカス)
 ⑤活動を切り替える(シフティング)
 ⑥長期記憶との中継地点(エピソードバッファ)
 
 各項目の支援は今後のnoteで記述することにして、今回は、不注意について書いていきます。

 

2)不注意状態は、ワーキングメモリのオーバーフロー

 不注意状態の子供達をよく学校現場では見かけます。
 実はこの子達の多くは、
 「ワーキングメモリの使い過ぎによる「オーバーフロー状態」のことが多いのです。
 ワーキングメモリが弱いので、ちょっとした短期記憶の負荷がかかると
すぐに疲れてしまいます。
 皆さんもちょっと疲れると、今やっている作業や学習を一旦止めて、外を見たり、席を離れたりしますよね。
 誰もが一つの作業を集中を切らすことなく続けることはできず、ちょっとした休憩をとります。

 ワーキングメモリの弱い子ほど、「この疲れやすさが大きく」「休憩の頻度も多い」のです。
 不注意状態はワーキングメモリのオーバーフローの表れでもあります。

3)不注意状態は、切り替えの苦手さ

 実は切り替えの苦手さも関係します。
 ワーキングメモリは、切り替えの機能も持っています。
 学習や生活は次々にタイムラインに流れてくる「タスク(作業)」を次々に切り替えてこなすことが要求されますね。
 「朝ごはん」を例に取りましょう「目の前の箸をとる」「お茶碗を持つ」「一口食べたらお茶碗をおく」「味噌汁椀をもつ」・・・・
 このように次々にタスクを処理しなくてはなりません。
 この時の切り替えの時に、他の刺激があるとそこに行ってしまうのです。
 「テレビやスマホ」がその刺激になりやすいですね。
 また授業や学習でも「切り替えが苦手」だと、先生は指示した次の活動に移れなくなっていて「不注意状態」とみなされることも多いですね。

4)不注意状態への大人の対応ポイント

不注意状態になったら大人ができることを示します。

①話が長くないかチェック

 話が長いと「オーバーフロー状態」を生み出します。
 まずはオーバーフローしない話し方を大人が心がけることです。

②複数のことを伝えていないかチェック

 複数のことを伝えると「オーバーフロー」はもちろんのこと、「切り替え」もしづらい状態になります。
 1回で一つのことを伝えるようにしましょう。

③分かりにくく伝えていないかをチェック

 分かりにくさは「不注意状態」を生みやすくなります。くっきりとイメージできる言葉、一つのこと、「箸を片付けて」のように何をすべきかがすぐにわかる伝え方をしてくださいね。

この3つをまずは大人が意識すること

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